遭難と漂流とは? わかりやすく解説

遭難と漂流

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/10 06:39 UTC 版)

良栄丸遭難事故」の記事における「遭難と漂流」の解説

遭難した良栄丸和歌山県西牟婁郡和深村(現・東牟婁郡串本町和深)に船籍を持つ42トン小型動力漁船1924年大正13年秋に建造され無水焼玉機関搭載していた。乗組員船長三鬼登喜造、松本源之助など12名。無線設備はなかったが、当時小型漁船には無線装備がないことが一般的であった12月5日神奈川県三崎漁港出港銚子100キロメートルほどの海域マグロ漁に従事したが、12月7日低気圧通過後に西寄り季節風強まり荒天となった三崎漁港に戻るため航行していた良栄丸12月12日午前機関クランクシャフト折れて航行の自由失い東方吹き流された。日誌には「十二日午前中突然機カイクランク部が折れチョット思案にくれた。仕方なく帆を巻き上げしが折悪しく西風にて自由ならず舟を流すことにした」とある(機関建造当初より不調で、製作した和歌浦鉄工所遭難前後倒産したようである)。季節風15日には収まったが、良栄丸銚子の東1,600キロメートル付近まで押し流されていた。乗組員らは、補助の帆(当時小型船機関出力低く補助として帆走設備があった)を上げるなどして西に戻ろう努めたが、再び季節風吹き出して徒労終わった救援得られず、船長漂流決意し、船に積載した食糧漁獲したなどから4か月食い延ばすこととし船員らも同意したその後も他船の救援なく、(日誌には漁船貨物船外航船目撃しフライキ(大漁旗)や焚火救難信号出した記述がある)西へ帆走失敗船長アメリカへの漂着考える。「二十日の朝八時にいたり風北にして穏やかなり、西風毎日強いゆえ思い切ってアメリカ乗り出すといふ太いことを船長相談致したところまた落着かず、兎に角アンカ三丁あげることにした」との記述残されている。12月26日アメリカへの漂着決め東航開始した日誌にも「二十六日いよいよアメリカ乗り出すことに決心し碇をあげ、帆を巻き上げ風を七、三に受けてノーイスに舵を向けて進みだした。二十六日十一時間風変わり流したと書き残されている。その後機関修理行った失敗したようである(日誌には1月18日機械修理出来上がり一八日午後より乗込む」の記述があり、発見時には一つシリンダー頭部外されボルト投げ捨てられていた)。食糧次第なくなり3月5日本日朝食にて糧食なし」となる。以降船体繁殖した海草、船に止まった渡り鳥主食となり、栄養偏りもあって、3月9日細井機関長死亡以降次第乗組員死亡していった。3月6日乗組員連名で板に遺書書いている。 和歌山県西牟婁郡和深村 船主 細井良栄丸)乗組連船長 三鬼登喜造 機関長 細井伝次郎 友取 桑田藤吉 寺田初造 直江太郎 横田良之助 井澤捨次 松本源之助 辻内良三谷寅吉 詰光勇吉 上平由四郎十二名大十五十二月五日神奈川三崎出発営業中 機クランク部破レ 食料白米壱石六斗ニテ今日迄命ヲ保チ汽船出合ズ何ノ勇気モ無クココニ死ヲ決ス 大正十六新三六日 板に遺書書いたのは、船が沈んで遺書だけは陸地漂着して国に帰れることを願ったものと思われる。[独自研究?]また遺髪として髪と爪を各自記名した封筒入れて保管していた。これとは別に船長三鬼登喜造は、罫紙2枚鉛筆カタカナ書き綴った妻子宛の遺書残していた。3月9日以降死者水葬日誌には水葬記述はない)に付したが、後述脚気など病気栄養不良衰弱し行動ままならず遺体船内放置されたままとなる。 最後まで生き残ったのは船長松本源之助の2名で、両名ともに重度脚気栄養失調により、身動きままならない態と日記記述にある。日記1927年5月11日分が綴られたところで終わっており、最後記述は 「 十一NNWの風強く浪高し、帆巻き上げたまま流船す。SSWに船はどんどん走っている。船長小言毎日泣いている病気であったそれ以降状況不明であり、両名とも数日のうちに死去したものと想像される。[独自研究?]良栄丸そのまま9名の遺体載せて東へ漂流1927年10月31日シアトル沖でアメリカ貨物船マーガレット・ダラー号により発見された。

※この「遭難と漂流」の解説は、「良栄丸遭難事故」の解説の一部です。
「遭難と漂流」を含む「良栄丸遭難事故」の記事については、「良栄丸遭難事故」の概要を参照ください。

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