週刊誌が報じた厚労省などからの批判、および反論
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「嘉山孝正」の記事における「週刊誌が報じた厚労省などからの批判、および反論」の解説
2010年4月、嘉山が国立がん研究センター理事長に就任。同時に長年におよぶ財政悪化の元凶と言われる厚生労働省からの出向ポストをほぼ排除し、借金を大幅に圧縮した。これに対し厚労省サイドからは「仙谷由人グループのお手盛り人事ではないか」などと批判が起きたほか、さまざまな情報が長妻昭厚労相(当時)やマスコミに流された。『週刊現代』の記事のなかで大村秀章自民党国会対策副委員長(当時)も、嘉山の理事長就任を「極めて不可解」とし、国会で「嘉山は民主党支持者で仙谷の人脈。脳外科専門でがん研究ではほとんど実績がない。選んだメンバーの名前も出せない、経過も言えないとは行政の私物化だ」などと追及した。 長妻厚労相は「理事長人事におかしなところはない」、嘉山も「人事がおかしいとかくだらないことを言う人はいるがフェアな選考だ。これまで厚労省に人事権からカネまで全部握られて現場にはなんの権限もない状態だった。そこを一から変えるためずっとヒアリングを続けている。アホなことを言う職員もいるが、『やる気になった』という職員からのメールもいっぱい来ている」「世界で初めて人がんの低酸素状態を証明するなど、脳腫瘍の分野では基礎研究も手術も含めて業績は十分。『民主党支持者』とあるが、舛添要一厚労相の時にも政府委員を務めており、大村の発言は事実を捉えていない」などと反論した。 また『週刊新潮』によると、国立がん研究センターのある医師の話として「三顧の礼で迎え入れた医師を非正規のまま放置し、その医師は数カ月で袂を分かった」とあり、嘉山の理事長就任直後にセンターを離れた別の医師も「破壊も必要だが(嘉山の)方針には再建策が見当たらない。理事長と院長の兼務は国立病院では通常ありえないこと。もっと部下を信頼すべきなのにイエスマンばかりで優秀な職員がいなくなる。独善的で『築地の金正日』と揶揄する職員もいる」と批判。2010年11月に厚生労働省関係審議会のがん対策推進協議会の運営に不満を持った患者代表委員が垣添忠生会長(当時)の解任動議を提出した際、嘉山は「この協議会は私が出た公の協議会の中で最低。トップが代わればやり方はいくらでもある」と垣添を公然と批判したが自身は解任動議への投票を棄権。結局動議は否決されたものの、他の委員から「言行不一致で信用できない」と批判された。2011年5月のがん対策推進協議会会長選挙では、投票直前に「あなたは人徳がない」「会議の中で怒鳴ったりしないでほしい」「話が長い」などと他の委員から言われたことなどもあり、対立候補の門田守人・大阪大学副学長に大差で敗れた。 これについて記事の中で嘉山は「門田のほうが長く委員を務めているので選挙結果は予想通り。人徳がないと言った人こそ人徳がない。金正日と言うが、職員を説得し納得してもらってリーダーシップを発揮している。私が理事長になって様々なことを公開しているし、権威を持って命令したことなどなく以前よりも民主的だ」と反論した。 さらにその後、『週刊新潮』記事で引用された発言は「エビデンスに基づいていないものであるため、記事自体がエビデンスに基づかない内容になっている」とし、『三顧の礼で迎え入れた医師を非正規のままで放置し、数カ月で袂を分かった』について「該当すると考えられる医師については辞職をしていない。センターでは医師を非正規のまま放置するということはない」、『(これまでの組織を)破壊』し、『方針には再建策が見当たらない』という記載については、数々の改革の成果を挙げた上で「発言者が国立がん研究センターが行ってきた取り組みを十分に知らないためなのか、悪意を持って事実と乖離した発言をしているかの様に感じる」、『トップが代われば、やり方はいくらでもあります』との発言は「『会の運営のやり方を変えてほしい』という提言を行ったものであり、罵ったものではない」、『あなたは人徳がない』発言については「がん対策推進協議会においてそのような発言はなく事実無根である」とする見解を発表した。 2012年4月からの2年間を任期とする次期がん研究センター理事長の公募には、嘉山を含む3名が応募。国立病院機構名古屋医療センター院長の堀田知光が次期理事長に選ばれた。これについて厚労省は選考理由、選考委員の名前等を一切明らかにせず、選考過程は極めて不透明と指摘されているが、これは嘉山が政治主導で理事長に選ばれたことのまさに裏返しであり、政治主導が当初のように機能しないなか、ノンキャリア官僚の天下り企業を切るなどの嘉山の一挙手一投足を「煙たく」感じていた厚労省が理事長交代を企てたとみる向きもある。 一連の改革の取り組みについて取材した毎日新聞記者の前田洋平は、その著書『国立がんセンターでなぜガンは治らない? 闇に葬られた改革』のなかで、再任を阻む勢力を生み出した原因が、この改革が単に一つの病院の立て直しにとどまらず(もちろん、それによる既得権益との対立もさることながら)、日本の医療政治の構造全体に影響を与えるものであったことにあると指摘している。つまり、それまでの医療政治の要をなしていた厚生労働省や医療産業界に代わって医療現場をネットワーク化する司令塔機能を立ち上げようとする構想(日本版NIH構想)まで掲げ、実現に向けて動き出したために、医療政治の仕組みが根底から覆されてしまうことへの危機感が広がったというのである。
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