試験実施に関するもの
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 15:23 UTC 版)
「大学入試センター試験」の記事における「試験実施に関するもの」の解説
1997年度から、それまで「国語I・II」のみであった国語が、「国語I」と「国語I・II」の2科目に分割された。2科目は同一冊子の中で「国語I」「国語I・II」の順に印刷されていたが、両科目とも問題構成が同じだったため、本来「国語I・II」を解答すべきであった受験生が、違いに気づかずに「国語I」のみを解答してしまうといった事態が初年度に続出した。これ以降も同様の事態が度々起きているが、予備校などが実施する模擬試験ではこれに合わせて問題冊子を編集している。大多数の大学では、入試科目として「国語I・II」のみしか認めていなかったため、「国語I・II」のつもりで「国語I」を解答してしまった受験生は大幅に得点を失うこととなったが、これに関する救済措置はなされなかった。なお、「国語I」は2005年度を最後に廃止され、2006年度からは再び「国語」1科目に戻っている。 国語と同様に、地理歴史や数学もともに複数の科目が同一冊子に編集されており、さらに途中まで問題が似ているために、解答科目を間違えてしまうといった事態が、近年でも数は少ないものの起きている。 2005年度、電子掲示板(2ちゃんねる)に英語と国語の出題内容を示唆する書き込みがなされ、文部科学省は大学入試センターに対して内容流出の有無を含めた調査を要請したが、結局、書き込み自体は流出ではなく単なる偶然として処理された。 2007年度、20日に実施された本試験の科目のうち、公民と地理歴史の模範解答が産経新聞電子版に、発表解禁前に約30分に渡って掲載された。 2007年12月14日、大学入試センターは、2008年度のセンター試験で問題作成を担当している委員の所有していたパソコンとUSBメモリが盗難に遭い、一部の問題を差し替えることを発表して謝罪した。試験実施の約1か月前という時期に、急きょ1教科分の冊子を丸ごと刷り直したのは、センター試験が始まって以来初めて。問題作成に当たった「教科科目第一委員会」に所属する大学教員が11月下旬、問題の検討過程で作成した資料を入れた私物のパソコンとUSBメモリをセンター外に持ち出し、盗まれた。試験問題に関する資料をセンター外へ持ち出さないよう、問題作成委員には周知徹底されているが、盗まれた委員は「自宅でよりよい問題を作りたかった」と話しているという。資料は1年以上前のものだったが、センターによると、実際の試験問題を推測される可能性があるという。パスワードがかけられており、現時点では資料の流出は確認されていない。試験自体は予定通り実施された。センターは「該当人物の特定や受験生の混乱を避けるため、差し替えられた問題や盗難の状況などは試験実施後まで公表しない」としている。報告を受けた文部科学省は、センターに対して再発防止を徹底するよう厳重注意した。 2012年のセンター試験では、過去最大規模のトラブルが発生した。同年から、地理歴史と公民の試験について、10科目中2科目を選択し計120分で回答する方式となったが、本来ならば最初に地理歴史・公民の両方の問題冊子を配布するべきところを、公民の問題冊子の配布がされないなどミスが相次ぎ、大学入試センターは、影響を受けた受験生3,452人を対象に再試験を実施した。しかしその再試験でも、東京国際大学において、男子受験生1人について、再試験の受験希望を明確にしていなかったため受験を断ったが、その後約4時間遅れで受験を認めるというトラブルが発生した。 東日本大震災の被災地である宮城県気仙沼市で臨時に設けられた試験会場には、英語のリスニング試験に用いるICプレーヤーの到着が遅れ、試験開始が約2時間遅れるというトラブルがあった。 前述のトラブルとは別に、2012年のセンター試験では、群馬大学の桐生地区の試験会場では、リスニング試験中にカラオケ音が混じって流れるトラブルがあったことが判明している。 2012年の試験では、佐賀大学の会場で、難病による歩行障害を持つ女子受験生が、案内を受けた教室内で放置され、試験開始が遅れるトラブルがあった。同大学は、前述の問題冊子配布ミスなどへの対応に忙殺され、忘れてしまっていたとしている。 2013年の試験では、長崎市の活水女子大学試験場で「地理歴史」「公民」の試験時間中に、一時退出した女子受験生が問題冊子を不正に持ち出し、試験場の外にいた予備校関係者に渡すという不正があった。センター試験で試験時間中に問題が持ち出されたのは初めて。大学入試センターは女子受験生を不正行為で失格にした。 2013年の試験において、早稲田大学や関東学院大学など5大学を希望する受験生12人について、試験の成績データの大学への送付が遅れていることが判明。関係する計419大学へのデータ送付を一時中断する事態となった。 2017年の試験では、愛媛大学城北キャンパスで1月15日に行われた「数学II」の試験で、監督者を務めていた50歳代の男性教授が、試験中にいびきのような音を立てていてうるさいと受験生らから苦情を申し立てられるトラブルがあった。愛媛大学はこの教授について、次の「理科II」の試験から交代させた上で、処分を検討中である。 2018年の試験では、大阪大学豊中キャンパスで行われた試験において、試験官を務めていた40歳代の教授が、試験中に居眠りをし、いびきをかくなどもしていたとして、大学側はこの教授を訓告処分とした、また、会場の責任者らについても、監督責任を問う形で厳重注意処分にした。 毎年「試験が遅れて始まったのに定刻通りに終了した」「試験官のミスで定刻より若干早めに終了した」といった、試験時間の確保不足に関するトラブルが相次いでおり、近年でも数は少ないものの同様のトラブルが起きている。
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