蒲生川流域の鉱山と荒金鉱山の鉱毒問題とは? わかりやすく解説

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蒲生川流域の鉱山と荒金鉱山の鉱毒問題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/19 23:49 UTC 版)

蒲生川 (鳥取県)」の記事における「蒲生川流域の鉱山と荒金鉱山の鉱毒問題」の解説

蒲生峠真下三日月山には、かつて因幡銀山があった。戦国末期の1593(文禄2)年に初め発見され当時鳥取城宮部継潤盛んに開発行った最盛期には700-800軒の家が立ち並び、1598(慶長3)年には当地産の銀9282余が豊臣秀吉献上されたと記録されている。これは生野銀山に次ぐ産出量だった。しかし、さらに鉱脈を得るために山を崩し川の水土砂流して採掘が行ったところ土砂崩れ招き銀鉱間もなく廃絶した関ヶ原の戦いの後に池田長吉が入封した時には既に銀山からは何も得られなくなっていた。 銀山対岸にあたる塩谷法正寺地区では、江戸中期から金や産する蒲生銅山開発された。最盛期には銅銭2万貫を鋳造するだけの産出量があり、「因幡銭」と称した。しかし10-20年のうちに産出量は激減し細々採掘される程度になった幕末から明治にかけて再び銅山開発盛んになり、明治中期からは「宝得鉱山」として民間操業が行われたが、明治末期には閉山になった一方、これらの鉱山と山を隔てた小田川支流荒金川上流には荒金鉱山がある。ここでは古代から金を産したが、精錬技術がなかったため鉱石のまま朝廷献上されており、そのために「鉱(あらかね)」が村の名前になったとされている。荒金川右岸には、当時鉱山管理のための役所跡ともみられる古代建物跡からなる広庭遺跡がある。しかし、鉱山採掘近世までほとんど行われておらず、明治中期にはいって露頭が見つかり、開発本格化した。鉱石新井地区まで陸送し、そこから船で運び出していたが、明治末期山陰本線開通すると、岩美駅から鉄道輸送するようになった。 しかし銅山開発によって荒金川小田川流域鉱毒汚染深刻化し一帯水田が無収穫になるほど悪化した銅山では金銭補償廃水中和するための石灰現物支給汚染されていないを引くための水路整備などを行ったが、こうした負担景気低迷によって鉱山経営下火になった。1923(大正12)年に鉱山大手久原鉱業経営権が渡ると、第一次世界大戦に伴う好況あいまって銅山最盛期迎え蒲生川沿いに岩井町営軌道敷かれ鉱石輸送担った一方、川の汚染銅山最盛期には最悪の状態を迎えた。かつて荒金川小田川には、フナナマズウグイウナギカニアユなどが生息していたが、昭和に入る頃にはこれらが全く見られなくなった汚染蒲生川にも及び、合流して海に注ぐあたりの死滅し蒲生川には全く遡上しなくなった。水田被害を受け、枯れて浮き上がったり、秋になっても結実しなくなった鉱山のすぐ下流院内地区では鉱山廃水避けるために別の谷に独自のダム設けて溜池作ったが、これだけでは一帯農地潤すには足りず多く地域ではやむなく廃水石灰混ぜて中和し利用した昭和に入ると産出量が落ちてきたが、1943昭和18)年の鳥取地震鉱山内の施設全壊するとともに、鉱泥を溜めた堰堤崩壊して周辺家屋押しつぶして62名の死者行方不明を出すに及び、鉱山経営行き詰った。さらに翌年大雨でこの鉱泥が広範囲流出して水田汚染し小田川流域一帯は米の収穫得られなくなった価格下落もあって経営が立ち行かなくなった鉱山閉山となり、廃水管理だけを行うようになったが、流域その後長年わたって鉱毒悩まされることになった鉱山営業末期には沈殿銅採集といって坑道の上側から沢水集めて注ぎ下流溶け出た成分化学的手法回収する方法がとられていた。銅山閉山になったあとも、雨が降る流れこんだ汚染水となって流れ出てくるため、永続的な廃水処理が必要となっている。いまも廃ス水処理行われており、回収した汚泥からの金属資源採取取り組みもあるが、収支見合うような成果得られていない川の水質は廃水処理によって漸次向上し1960年代になって、ようやく蒲生川本流岩井付近小鮎みられるほどに回復した

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