能登線列車脱線事故とは? わかりやすく解説

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能登線列車脱線事故

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 23:16 UTC 版)

日本の鉄道事故 (1950年から1999年)」の記事における「能登線列車脱線事故」の解説

1985年昭和60年7月11日 14時21分【列車脱線事故能登線(のちに第三セクター化されてのと鉄道能登線変更、現在当該区間廃止古君 - 鵜川間で、金沢蛸島行き下り急行列車能登路5号」(キハ58系気動車4両編成)が、古君駅15分遅れで通過後、速度50 km/h力行運転中進行左側築堤盛土一部崩壊し線路浮いている場所に進入した直ち非常ブレーキ使用した全車両が脱線気動車の前3両が築堤の約8 m下の水田上に落下横転、4両目進行左側に約30傾斜して停止した旅客7名が横転した2両目気動車下敷きになって死亡32名(気動車運転士車掌従業外の国鉄職員)が負傷した事故現場築堤盛土水抜きパイプがなく、両端植えた古い方式土工法によるものだった。前日夜から当日朝まで連続雨量95 mm豪雨観測されていたが、事故当時降雨はなかった。豪雨時の運規制条件見直しと、同種の方式盛土一斉点検実施された。事故車両はすべて廃車となった付近累計雨量7月10日から11日8時まで約100 mmだったが、その後降雨無かった現場より約2 km離れた鵜川駅雨量計によれば6月30日より降り始めた7月1日までに107 mmその後7月4日から降り始めた8日まで降り続き5日間で445 mmにまで達した。続く2日降り止んだ後、7月10日から降り始め7月11日8時までに95 mm全体12日間に540 mm累計雨量だった。 開業以来最大連続降雨により盛土内水位が異常に上昇し安定損なわれクリープ破壊生じ始めたところに列車進入し急激な滑動至ったものと推定される盛土軟弱地盤厚さ2 mの上に高さ7.5 mで建設され盛土右側斜面接していた。盛土材料は粘性土だった。盛土崩壊線路中心から起き円弧すべり後述)により約3 m沈下生じた盛土のり尻付近ではあぜ道盛土とともに横移動田面隆起基底破壊引き起こされていた。崩壊の原因は、長期にわたる降雨による台地からの浸透台地上の表流水徐々に盛土本体および支持地盤浸透盛土および地盤隙間水圧上昇、また盛土重量増大したためと思われる降雨後約6時間を経て崩壊したのは、盛土材料が粘性土であり、台地粘性地盤であるために、降雨影響が及ぶのにタイムラグ生じたためであると判断されている。 土木工学上、円弧すべりは、盛土締め固め不足である、また排水工事が不十分である時など、土中により新し盛土が滑る、一般的な現象である。すなわち盛土内で飽和状態にあるにより滑り台のように盛土が滑る。円弧すべりによる事故としては、1938年6月山陽本線和気 - 熊山間の、半年前に新たに築堤造成し線路移転図った箇所で、長期にわたる降雨により築堤崩壊がおこり、列車横転死者25名、負傷者108名の重大事故起きていた(→日本の鉄道事故 (1949年以前)#山陽線列車脱線転覆事故)。1938年事故線路改良短期間起きたが、1985年当該事故は、建設後長期間経過し安定したかに思われる地盤においても、長期にわたる降雨とその他予想し得ない条件重なれば円弧すべり発生することを示したのである従来要領定められていた連続降雨および降雨量では危険性適切に評価できない長期にわたる降雨対す災害対策と運転規制については、日本鉄道施設協会内に、学識経験者交えた降雨時の災害防止に関する研究委員会」が設置され審議抜本的な見直しが行われた。 その後同様な崩壊発生する考えられる軟弱地盤上の粘性高築堤その他を、長雨重点警備箇所として指定、これら対象区間には、従来の運転規制基準加えひと雨降り止み降り始め定義する降雨中断時間48時間とする「累積雨量」による運転規制定め、この規制ルールにも対応し得る演算機能有する雨量警報装置(レインピュータ)の配備行った長雨重点警備箇所のうち、防護工の設置による対策講じられ土中水位断続観測によりその効果確認され長雨による後(おく)れ破壊が起こるおそれがないと判定されたものについては逐次指定解除が行われた。

※この「能登線列車脱線事故」の解説は、「日本の鉄道事故 (1950年から1999年)」の解説の一部です。
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