美術史におけるグロテスクとは? わかりやすく解説

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美術史におけるグロテスク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/08 03:11 UTC 版)

「グロテスク」記事における「美術史におけるグロテスク」の解説

美術においては「グロテスク」は、花飾り小さく幻想的な人間と動物の像とを織り交ぜたアラベスク装飾的な配置であり、通常ある種建築構造周辺対称的なパターンとして配置されるが、これは確実なものではない。このような意匠古代ローマフレスコ壁画や床のモザイクなどとして流行していたもので、ウィトルウィウス紀元前30年頃)はこれらを無意味不合理なのであるとして退け文脈で実に優れた描写をしている:「カールしたを伴う葦が縦溝彫りに取って代わり渦巻飾りペディメント代わりとなり、枝付き燭台神殿彫像支持し、その天井には人間の顔が意味もなく載った細身の脚と渦巻飾り生えている。」 ネロドムス・アウレア15世紀末に偶然発見された時、1500年の間土砂埋もれていた部屋地下洞窟grotto)の様相呈しており、フレスコ繊細なスタッコによるローマ壁面装飾一大発見であった。この装飾ラファエロ・サンティとその弟子装飾画家たちによって紹介されグロテスクローマバチカン宮殿一連のラファエロ部屋」の一部構成するロッジアで完全な装飾体系へと昇華された。この装飾は、古典主義オーダー慣れ親しんでいたが、古代ローマ人たちが自宅においてはしばしばそうした規則無視してより幻想的かつ形式ばらない、軽快さと優美さ満ちた様式採用していたとは思いもしなかった多数芸術家たちを驚かせ魅了した。これらのグロテスク装飾では額石または枝付き燭台中心点となりえ、土台一種として周囲意匠一部となる渦巻模様へと延長されていた。軽快渦巻模様グロテスクは、付け柱中に閉じ込められることで整理されしっかりした構造与えられていた。ジョヴァンニ・ダ・ウディーネ英語版)は、近世ローマヴィラで最も影響力のあったヴィラ・マダマ(英語版)の装飾グロテスクテーマ採用したエングレービング通じグロテスク様式表面装飾スペインからポーランドまでに至る16世紀ヨーロッパ芸術上のレパートリーとなった。後のマニエリスム、特にエングレービングでは、グロテスク古代ローマ人ラファエロ用いていた風通しの良い充分に空間開けた様式比して非常に密に詰め込まれものになる傾向があった。グロテスクはすぐに寄せ木細工に、1520年代後半からは(特にウルビーノ生産された)マヨリカ焼きに、さらには書物挿絵その他の各種装飾にも出現するようになったフォンテーヌブロー宮殿では、ロッソ・フィオレンティーノとその弟子たちが、帯飾りストラップワーク)の装飾形式グロテスク組み合わせ石膏や木の塑像での革紐描画グロテスクの1要素とすることによりグロテスク語彙豊かにした。 バロックではあまり用いられなかったが、新古典主義グロテスクは再び息を吹き返しポンペイその他のヴェスヴィオ火山周辺の遺跡発見され古代ローマ作品からさらなる刺激受けたグロテスクその後帝政様式ヴィクトリア朝時代でもますます重厚になりながら用いられ続け意匠16世紀エングレービングと同じ程に密に詰め込まれ優美さ幻想性失われる傾向にあった18世紀イギリス建築家ロバート・アダムグロテスク模様洗練させたゴシック装飾を得意とし、アダム・スタイルと呼ばれた時間遡って語義拡張され中世装飾写本における、余白描かれ親指大の半人装飾模様である「ドロルリー」もまた現代の用語ではグロテスク呼ばれる現代挿絵芸術では、「グロテスク・アート」もしくは「ファンタジー・アート」と呼ばれるジャンルにおいて、口語的な意味での「グロテスク」図像がよく見られる

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