紙本著色四季日待図とは? わかりやすく解説

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紙本著色四季日待図〈英一蝶筆/正徳元年の自筆追記がある〉

主名称: 紙本著色四季日待図〈英一蝶筆/正徳元年自筆追記がある〉
指定番号 2018
枝番 00
指定年月日
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 絵画
ト書
員数 1巻
時代区分 南宋
年代
検索年代
解説文:  日待とは民間信仰行事で、前夜から潔斎【けつさい】して日の出を待つものであったが、近世には徹夜遊興が行われるようになった本図正月には仕舞人形芝居の二図、五月に楊弓ようきゅう】、碁、謡い、女舞等の一図、九月群舞長い一図を描き武家邸内繰り広げられる日待さまざまな風俗をいきいきと描き出している。
 筆者英一蝶はなぶさいっちょう】(一六五二一七二四)は、狩野派門人として絵画本格的な素養を身につけ、新興都市江戸風俗画家として地歩築きつつあったが、四七歳であった元禄十一年(一六九八)から一一年間三宅島へと遠流【おんる】になった本図巻末にある正徳元年一七一一)の自筆追記に「謫居【たくきょ】」とあることから三宅島描かれたものと知られるまた、元禄十六年(一七〇三)に表具されたことが巻末墨書によって判明する吉原よしわら風俗図巻【ずかん】」(サントリー美術館所有)より早い時期制作考えられている。
 本図細やかな人物表現は生彩に富むものである市井【しせい】の人びとありのままの生活や遊興描写は一が最も得意とした題材であるが、本図にはそれらが多数集成された感がある。
 画面構成においては一巻通じて季節ごとの日待描き列ねながら、同時に当日屋敷と寄り集まる人びと描写から巻末日の出までの一夜経過をも緩急巧みに描いており、いわば時間の経過重層的表現されている。さらに、巧み場面転換景物布置【ふち】を工夫した時間表現には、古代以来絵巻物画面構成方法踏まえられている。この点、巻末調理場場面が、室町時代制作である「酒飯論絵巻しゅはんろんえまき】」(文化庁保管)に基づいていることは注目される。これらから、一きわめて正統的な絵画の制作技術を身につけた画家であることがわかる。
 本図主題構成は、冒頭格式張った仕舞場面から、夜が深まるにつれてしだいに高まる興奮表しているが、遊興最高潮障子向こうに影法師のみで表して鑑賞者の想像掻き立て巻末遊興から一転して調理場で働く人びと場面となり、水くみ集中するあまり日の出気づかないという機知的な結末に至る。
 遊興にふける群衆エネルギーを、抑制詩的な洗練によって昇華させた表現により鑑賞者の共感喚起するところに、一自身目標にしたといわれる岩佐又兵衛菱川師宣とは異なる一独自の特質あらわれている。



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