紙本著色四季花鳥図とは? わかりやすく解説

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紙本著色四季花鳥図〈/六曲屏風〉

主名称: 紙本著色四季花鳥図〈/六曲屏風
指定番号 2008
枝番 0
指定年月日 2004.06.08(平成16.06.08)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 絵画
ト書
員数 一双
時代区分 室町
年代
検索年代
解説文:  本図は、最近知られるようになった室町時代漢画系著色花図の一本であり、中屏風ながら、のびのびとした表現清々しい画趣有する作品である。技法典型的な体著色であり、用筆用墨は力強く熟達した水墨画家のそれを示す。両隻の端に「越渓周文」の長方印が捺されているが、明らかに後捺である。それとは別に、両隻ともに画面下辺から約三〇センチメートルところに約三センチメートル四方欠失があり、印影切り取った痕跡思われる
 本図作風は非常に個性的であり、二十余点遺存報告されている「藝愛」印のある作品群のなかに共通した表現見出すことができる。たとえば、風にしなるように大きな弧を描く椿の幹の表現は、それらの作品広くみられる本図松樹先は速度のある斧劈皴のような鋭い筆触をみせるが、共通する筆触は数点の図(福井県立美術館・ドラッカーコレクションほか)のにも見出せる。本図右隻の止まって餌の与え親雀子雀姿態川崎男爵家旧蔵花鳥図一〇幅のうち「に双雀図」(京都国立博物館)と同一である。同じく右隻左端萱草雄しべ矢印のような特異な形であるが、先述した川崎男爵家旧蔵本のうちの「萱草小禽図」の雄しべと全く同じ形である。本図の竹、萱草芙蓉椿みる茶色い虫食表現も、同じく川崎男爵家旧蔵本のうち「芙蓉小禽図」、先述の「萱草小禽図」に見出せる。以上から、款記印章はないものの、本図は芸愛の作品とみて誤りないと思われる
 これら小品画に捺される「藝愛」朱文重郭方印は、「越渓周文」印の上方に見出された約三センチメートル四方欠失に捺されていたと推測することができる。
 さて、従来知られている芸愛の作品はほとんどが小品であり、花鳥画多く占める。かつて『國華』で酒井家花鳥図屏風六曲一双紹介されたが、現在の所在不明である。したがって本図は芸愛の確かな作例としては現在のところ所在判明する唯一の画面作品であり、ここには小品画に見出されるこの画家画風特質集約されて、しかも明瞭に現れている。先述した以外にも、たとえば岩に打たれ大胆勢いのある斧劈皴、白と白緑主調とした明る色彩感覚印象的である。活動的愛らしい明る色彩花卉花木水墨による透明感ある空間映え颯爽とした流動感が画面横溢しており、本図は芸愛の個性的画風遺憾なく発揮され代表作いえよう
 芸愛については、『本朝画印』に、小栗使用印として「藝愛」印が掲載されているが、これを裏づける確実な証拠はなく、小栗の名すら江戸時代史料至って初め登場するものであり、同時代資料知られないなど、芸愛という画家実態不明いわざるを得ないこのような状況にあって、芸愛作品中本図新たに加えられたことは非常に意義深いものがある。本図の大斧劈皴重ねて打ち込んだ岩組量感表現画面横溢する躍動感水墨による山水景観確かな構成力などは、芸愛が障壁画制作本領とする一級実力持ち主であったろうことうかがわせる
 また、こうした芸愛画の特質から、その活躍時期従来いわれる一五世紀後半よりも下降し桃山時代により近接した一六世紀前半みなされよう。
 本図室町時代漢画花鳥画重要な作例であり、また、狩野元信一四七六一五五九)が狩野派様式確立する時期に、狩野派とは別の有力な画風存在したことを示し室町時代から桃山時代への絵画史のゆたかな流れを示す貴重な絵画資料である。

紙本著色四季花鳥図〈伝雪舟筆/六曲屏風〉

主名称: 紙本著色四季花鳥図〈伝雪舟筆/六曲屏風
指定番号 1380
枝番 00
指定年月日 1957.02.19(昭和32.02.19)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 絵画
ト書
員数 一双
時代区分 室町
年代
検索年代
解説文: 室町時代作品

紙本著色四季花鳥図〈/六曲屏風〉

主名称: 紙本著色四季花鳥図〈/六曲屏風
指定番号 1849
枝番 00
指定年月日 1984.06.06(昭和59.06.06)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 絵画
ト書
員数 一双
時代区分 室町
年代
検索年代
解説文:  向かって右隻に春から夏にかけての花木、左隻に秋から冬にかけての花木描き一双四季花鳥図構成しており、両隻の間も流水連続する。数箇所引手痕があるものの、襖を屏風改装した作品によく見られる紙継の乱れもなく、屏風として通常の紙継であり、当初より屏風として制作されたとも考えられる
 花木配置一見羅列的であるが、前後関係明瞭であり、土坡や渓流による遠近表現とも併せて空間奥行き対す意識をうかがうことができる。細部的には、中国小景花鳥画に範をとったところがあり、本図筆者元・明代の花鳥画を眼にしうる立場にあったことも推測されよう。
 制作年代については、比較する材料乏しく容易に判断し得ないが、金泥による雲霞表現は古様であり、花鳥表現瑞渓周鳳の賛のある花鳥図京都国立博物館)とさほど隔たりがないところから、室町時代中頃想定される。なお、両隻に土佐光起による土佐広周筆との紙中極があるが、土佐広周とされる天稚彦物語絵」(ベルリン東亜美術館)と本図とは同筆とみなしがたいため、参考留めるべきであろう
 雪舟系の花鳥図屏風とは全く別系統になる本図存在は、全体像明らかでない室町期花鳥画一面伝えるものとして極めて重要視される

紙本著色四季花鳥図〈/六曲屏風〉

主名称: 紙本著色四季花鳥図〈/六曲屏風
指定番号 1868
枝番 00
指定年月日 1987.06.06(昭和62.06.06)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 絵画
ト書
員数 一双
時代区分 室町
年代
検索年代
解説文:  雪舟一四二〇一五〇六?)筆という伝称を持つ花鳥図屏風は、国内国外十数存在し、それらは、桃山時代障屏画先立つ漢画系統の大画面花鳥図として注目される。ただし、雪舟花鳥画確実な遺品知られていない。これらの花鳥図屏風は、相互に共通の題材(同じ種類、同じ形態植物)を描きながら、筆致構成題材を扱う態度に差があり、各図の制作時期ならびに筆者はいくつかの系統分けられるとともに、ほとんどが雪舟弟子世代属すると考えられるその中で雪舟筆意に近い古様な画風見せ小坂家本前田育徳会本が、既に重要文化財指定されている。
 本図は、小坂家本前田育徳会本類似する・雁・岩などを描くが、両本に較べ、より平面的な構成とっている。後景には対岸の山を横長に引き伸ばし描き奥行き遮断するとともに前景には花木・鳥・岩をあまり重ね合わせずに横に並べる。素材前後重ねて奥深い空間作ろうとする志向はここには薄く、むしろ前景重点的に素材配する構成認められるまた、向かって左隻の中心に巨大な据えているのも、両本と異な特色ある図様である。これらの特徴は、本図が、伝雪舟筆花屏風共通する題材構図を持つ一方で次の桃山時代展開する新しい傾向示していることを意味する雪舟系の花鳥図画風継承とその変容をうかがう上で重要な作例いえよう
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