第一審関係者
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関口 仁(せきぐち ひとし) 演 - 鈴木瑞穂(映画版)、渥美国泰(67年版)、児玉清(78年版)、江藤潤(90年版)、上川隆也(03年版)、斎藤工(19年版) 職業 - 関口法律事務所所長、佐々木よし江・信平・庸一の弁護士 2019年版では関口徹(せきぐち とおる)の名称で登場。 大阪市内で法律事務所を経営する弁護士。胃癌の肺転移による癌性肋膜炎により死亡した佐々木商店代表取締役・佐々木庸平の遺族が、浪速大学第一外科・財前五郎を訴えた裁判で、原告側の代理人を引き受ける。 正義感あふれる社会派の弁護士で、報酬を度外視して奔走。自ら医学を学び、医者の厚い壁に阻まれながらも証人、鑑定人を探し回り、出廷を要請、説得して回った。初診をした里見脩二、財前の前任教授・東貞蔵やその娘佐枝子のバックアップもあり、第一審では敗訴したものの、控訴審では勝訴。予備的な請求が認められたもので、いわば一部勝訴であるが、鑑定に重きを置くが故に医師側に有利とされた医事紛争に一石を投じたものとなった。 控訴審を終えて、請求どおりの額が認められなかった事を原告側に詫びていた。2003年版 佐々木庸平が亡くなる前から登場しており、就活中の東佐枝子が面接のために訪れている。大手事務所から独立して事務所を開業したものの大きな裁判に連敗し廃業を決意した矢先、佐々木よし江・庸一からの依頼を受ける。 一審で敗訴するも里見・東らの援護を受け徐々に弁護士としての自信と誇りを取り戻していく設定となっている。控訴審でも途中までは劣勢だったが、争点を「医師の患者への説明義務」へずらした事によって形勢を逆転させる。 2019年版 かつて河野法律事務所に所属していたという設定が追加されている。財前側の弁護を担当する国平とはその頃からの知り合いで、彼のやり方には反発しており、良く思っていない。 初めは、医療裁判が医師側に有利である事や、財前側が示談金として1億6000万円を支払う事を佐々木親子に話すが、最終的には裁判で戦う決意を固めた佐々木親子を支える形で弁護を担当する。 第一審では敗訴するが、控訴審では佐枝子のバックアップや新たに原告側の証人として出廷した亀山君子の証言、第一審で財前のために心ならずも偽証し、財前が全責任を転嫁させようとした事に耐えかねた柳原が在廷証人として語った真実と彼が保管した改ざん前の手書きのカルテの原本という新たな証拠が決め手となり、控訴審に勝利する。その結果、佐々木親子が求めた損害賠償金8000万円とこれに対する支払済みまでの年五部の割合による金員の支払いが財前側に命じられ、財前の注意義務違反も認められるなど、全面勝訴という形で裁判に勝利した。また、「庸平の死は不可抗力によるもの」という財前の主張は認定されず、周囲にそう思わせるため柳原にカルテの改ざんを命じた事に対しても、「財前の倫理的・社会的責任を厳しく追及すべき」という裁判所の判断も下される事となった。 河野 正徳(こうの しょうとく) 演 - 清水将夫(映画版)、清水元(67年版)、北村和夫(78年版)、近藤洋介(90年版)、福島勝美(03年版)、矢島健一(19年版) 職業 - 河野法律事務所所長、大阪弁護士会会長、財前五郎の弁護士 大阪市内で法律事務所を経営。胃癌の肺転移による癌性肋膜炎により死亡した佐々木商店代表取締役・佐々木庸平の遺族が、浪速大学第一外科・財前五郎を訴えた裁判で、被告側の代理人を引き受ける。老練な策士で、第一審では巧みに柳原に責任を転嫁するなど財前側を勝訴に導く。しかし、控訴審では汚職事件の弁護を引き受けた関係で、少壮の国平弁護士が主に手がける形となった。財前の控訴審敗訴の翌日に代理人として最高裁に上告して以降、国平と共に描写が無くなるが、財前が病床で上告理由書を書き上げているため、打ち合わせのため面会した可能性が示唆される(2003年版では、国平が草案を手術後の財前に渡している)。 なお、2003年版では河野は国平を紹介するだけの登場に留まっている。 小山 義信(こやま よしのぶ) 演 - 久松保夫(67年版)、田中明夫(78年版) 職業 - 千葉大学教授、日本癌学会会長、財前五郎側鑑定人 千葉大学医学部外科教授。財前五郎と同じ噴門部癌を専門とし、メスの切れ味は財前以上ともされる。また、財前と似たタイプの医師であり、財前を高く評価している(小山は学究肌の東貞蔵からは「彼は学者じゃない」と酷評された)。転移のある癌は手術すべきではないという当時の学会の主流の中で、転移はあっても積極的に手術を行うべきだという考え方を持っていた。その一方で化学療法に対しては極めて否定的であった。 財前五郎の裁判に当たっては、一審、二審共に被告側証人として出廷し、医学的に財前の措置は間違いではなかったと証言した。しかし、控訴審では化学療法のタカ派である北海道大学・長谷部一三と対決するかたちになり、原告代理人の関口弁護士の尋問の前に化学療法の有効性を認めざるを得なかった。 一丸 直文(いちまる なおふみ) 演 - 見明凡太朗(67年版)、庄司永建(78年版) 職業 - 東北大学名誉教授、佐々木よし江・信平・庸一側鑑定人 東北大学医学部名誉教授。転移のある癌は手術すべきではないという考えを堅持しており、財前五郎の裁判にあたっては財前の前任教授・東貞蔵より紹介状を受け、原告側の鑑定人として出廷した。被告代理人の河野正徳弁護士の反対尋問で「一、二の犠牲があってもやってみるべきではないのか」という言葉に激高。「たとえ一、二の犠牲があってもとは何事か!人間はモルモットではない」と一喝した。また、裁判長からの尋問に対して「こと尋問に関する限り、私には賭けはできない」と答えた。 唐木 豊一(からき とよかず) 演 - 村上冬樹(78年版)、平泉成(03年版) 職業 - 洛北大学名誉教授、大阪地方裁判所が依頼した鑑定人 洛北大学医学部名誉教授。誤診のシンポジウムで座長を務めた。財前五郎の裁判にあたって、裁判所が選定した鑑定人として出廷し、本件を誤診と扱うのは妥当ではないと証言、これがある意味で一審勝訴の決め手となった。しかし、その際に財前に医師としての倫理観が欠如していた事を指摘し、判決文に盛り込まれた。なお、この証言の背後には、鵜飼医学部長からのそれとない依頼があったという。1978年版 財前に対しても落ち度を指摘する場面は省略されており、ここでは終始財前を擁護する形になる。そのため彼の証言に対して財前が受けた印象も異なっている。また控訴審にも出廷し、当作での第一審の証言を維持した。
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