第一審破棄・逆転死刑判決
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「名古屋市中区栄スナックバー経営者殺害事件」の記事における「第一審破棄・逆転死刑判決」の解説
2004年(平成16年)2月6日に判決公判が開かれ、名古屋高裁刑事第1部(小出錞一裁判長)は第一審・無期懲役判決を破棄して検察側の求刑通り被告人Bに死刑判決を言い渡した。 名古屋高裁は判決理由で、犯行計画性の否定・犯行の悪質性・被害者遺族の峻烈な処罰感情などの点について、死刑を回避した第一審とほとんど同様の事実認定をなしたが、量刑理由では1983年の殺人前科を重視し、出所後も無銭飲食などを繰り返したことを挙げ「追い詰められたのは被告人Bが自ら招いた自業自得の結果であり、死刑を回避する事情には当たらない」、「冷酷残忍な犯行で、故意に人命を奪ったのがこれで2回目ということを留意せざるを得ない。無銭飲食・売上金窃盗などの犯罪を繰り返し、その金でサウナなどに宿泊するような無為徒食の生活を続ければ、いずれは起こるべくして起きた事件である。被告人Bは殺人前科による長期の服役後に更生機会を与えられたにもかかわらず、その後も同様の生活を続けた末に起こした事件であり、極刑は免れられない」と断罪した。 2004年10月に日本弁護士連合会が「死刑適用基準として引用されている最高裁判所の判例「永山基準」が1983年に示されて以降の死刑求刑事件の判例を研究した報告書」を取りまとめたが、その報告書内容によれば「殺害被害者数が1人の殺人事件においては身代金誘拐・保険金目当て・犯罪被害を届け出たことを逆恨みしてお礼参りした事例など計画性が高いか、以前に殺人事件を起こして無期懲役刑で服役したにも拘らずその仮釈放中に起こした事例を除き、死刑を宣告された事例は1件もない」という調査結果が出ていた。しかしその調査期間は発表前年(2003年)までで、この控訴審判決において「殺害被害者数1人、計画性は低い、無期懲役の前科なし」という条件で死刑を宣告された本件が初の「例外」となった。
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