県外疎開とは? わかりやすく解説

県外疎開

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 06:17 UTC 版)

沖縄戦」の記事における「県外疎開」の解説

大本営沖縄県民59万人住民疎開避難について検討始めたのは、サイパン島アメリカ軍が来攻した1944年6月のことである。7月1日に、研究要員として後に第32参謀長となる長勇少将1945年3月中将)が現地入りした。7月7日サイパン島陥落すると、東條英機内閣は緊急閣議開き沖縄戦火が及ぶ公算大」と判断した沖縄本島宮古石垣奄美徳之島の5島から、老幼婦女子学童本土および台湾へ疎開させることが決定され沖縄県通達された。その後通達疎開目標本土へ8万人台湾疎開へ2万人の計10万人と決定された。対象者は、県内29万人いた60歳以上と15歳未満の者、その看護者である婦女のみが許可され警察署長渡航証明書を受けることとされた(県外転出実施要綱)。また、学童集団疎開については、原則として国民学校3年生6年生対象とし、1、2年生は付き添い不要の者に限られている。 手段沖縄兵士軍需物資輸送する軍用輸送船帰路利用して本土台湾疎開させようというものであったが、費用全額国庫負担で行うことになり、大蔵省第2予備金から1500万円拠出する予算措置取られた。一般住民の疎開法的に強制力無く、県を通じた行政指導による形式であった県民疎開応じるか不安視した県は、短期間徹底して遂行するにはある種威令組織力機動力が必要と考え一般疎開を本来の社事兵事司る内政部ではなく警察部担当させることに決定した一方学童疎開沖縄県庁内政部教学課を主担当として、各市町村各国学校長部落会隣保班を通じて推進された。 しかし、県民疎開機運一向に盛り上がらなかった。理由としては、県民一家大黒柱欠いた状態で身寄りのない本土台湾疎開することの不安や、船舶に頼らざるを得ない県外疎開そのものへの不安があったとされる。しかし、荒井退造沖縄県警察部警務部長を始めとする県の必死努力により、疎開第1船である「天草丸」は7月21日警察官県庁職員家族ら752人を乗せて那覇港出港した。続く7月末の疎開第2船での220人、8月初め第3船での1566人はほとんどが本土縁故のある人々であった本土出身者引き揚げ多く占めた)ものの、その後8月10日出航した第4次の約9,000人は縁故のない県民中心となり、ようやく県の努力実りつつあったが、1944年8月22日学童疎開船「対馬丸撃沈事件(約1500死亡)でまた沖縄県民に不安が広がった。そのため、疎開希望者の間で辞退する者が続出し出発日疎開者が集まらず、疎開船空船のままで出航することもあるなど、疎開業務一時頓挫することとなったさらには前任の第32軍司令官渡辺中将がやや神経質な性格で、沖縄県民への講演会などで危機感煽りすぎて、かえって恐怖心を起こさせたのに対し1944年8月着任した後任牛島落ち着いた風格が、沖縄県民安心感と軍に対す信頼高めたことや、続々到着する増援大軍見た沖縄県民の間に、日本軍勝利という希望的観測広まっていたことも疎開進まない大きな要因となった末端将兵放言もその希望的観測強めており、そのため、住民疎開主導していた荒井が第32軍に「軍隊戦いに勝つ勝つと宣伝するので、住民動かないので困る。何卒駐屯将兵は、景気のいい言葉慎み疎開協力して貰いたい」と陳情している。その後皮肉なことに県民疎開一挙に促進させたのはアメリカ軍による1944年10月10日の5次に渡る大空襲十・十空襲であった。 県外疎開は1944年7月から海上交通途絶する翌年3月上旬まで続き海軍艦艇を含む延べ187隻の疎開船により学童疎開5,586人を含む約80,000人が疎開した。内訳は、九州へは沖縄本島から約65,000人、台湾へ沖縄本島から3,000人以上、先島諸島から9,000人以上の12,500となっている (「台湾疎開」も参照)。3月上旬までの県外疎開船延べ187隻のうち犠牲になったのは「対馬丸」(約1500死亡一隻のみであるとされているが、宮城博は沖縄県の独自調査一般疎開者が乗船して航行中撃沈された船舶32隻と報告されたとしている。 九州事前疎開できた沖縄県民については、沖縄県庁機能停止後、1945年7月福岡沖縄県事務所が正式発足して支援業務引き継いでいる。

※この「県外疎開」の解説は、「沖縄戦」の解説の一部です。
「県外疎開」を含む「沖縄戦」の記事については、「沖縄戦」の概要を参照ください。

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