甚だしい
甚だしい(はなはだしい)とは、ある状態や程度が極端に高いことを表す形容詞である。一般的には、感情や状況が非常に強い、または極めて深刻な状態を指す際に用いられる。例えば、「甚だしい喜び」や「甚だしい悲しみ」、「甚だしい困難」などといった文脈で使用される。また、現代では、特に強調したい場合や、感情を強く表現したい場合に使われることが多い。
甚だしい
「甚だしい」とは、程度や状況が極端である、度を超えている、という意味で用いられる形容詞である。主に否定的な意味で(「限度(許容範囲)を超えている」といった意味で)用いられる。好ましい事柄について「甚だしい」と形容することはほぼない。好ましい事柄は「著しい」などの表現が用いられる。
「甚だしい」と同じ意味で「甚だ(はなはだ)」という表現もある。「甚だしい」は形容詞であり、「甚だ」は副詞である。
漢文における「甚だしい」は「甚」、音読みで「じん」と読み、普通の程度を超えていることや、ひどく・大変・非常にという意味を持つ。否定形は「不甚」となり、読み下し文では「甚(はなは)だしくは~ず」と読んで、「それほど~とは限らない」「激しく~するわけではない」という意味になる。古語では「甚だし(はなはだし)」または「甚だ(はなはだ)」の形で用いて、普通の程度を超えていることや、ひどく・大変・非常に、という意味を表す。古語の場合は、現代の使用法と異なり、肯定表現にも否定表現にも用いることが可能だ。
「甚だしい」の発音・読み方
「甚だしい」は、「はなはだしい」と読む。「甚だしい」の類語
「甚だしい」の類語は多数あり、文脈やニュアンスによって使い分けられる。「程度がものすごく激しい」という意味では、「強烈な」「極端な」「極度の」「甚大な」などと言い換えられる。
「通常の限度を超えている」という意味では「過度の」「過剰な」「並みはずれた」「法外な」「滅茶苦茶な」「途轍もない」などと言い換えられる。
「数量やサイズが桁外れに大きい」という意味では「莫大な」「膨大な」「凄まじい」「物凄い」などと言い換えられる。
「通常の程度をはるかに超えて悪い」という意味では「猛烈な」「激甚な」「きつい」「すさまじい」「ひどい」「とんでもない」などと言い換えられる。
「甚だしい」を含む熟語・言い回し
「勘違いも甚だしい」とは
「勘違いも甚だしい」とは、誤解や勘違いが非常に大きいことを表す言い回しである。典型的には、増長して頓珍漢な認識をしているような相手を「常識では考えられないくらい誤った理解をしている」とか「尋常でない程とんでもない思い違いをしている」という風に批判・非難する表現として用いられる。「甚だしいにも程がある」とは
「甚だしいにも程がある」とは、「甚だしさの程度にも限度というものがある(そこまで行くと行き過ぎである)」と咎めるような言い方によって「甚だしい」でも伝えきれない極端さや過剰さを表現する言い回しである。甚だしい
「はなはだしい」とは、普通の程度をはるかにこえている様子のことを意味する表現である。
「はなはだしい」とは・「はなはだしい」の意味
「はなはだしい」は、「普通の程度をはるかにこえていて醜い有様である、非常である、はげしい」という意味で使われる形容詞である。「はなはだしい」は、普通より限度を大きくこえたことに対して、憤りを感じて非難する場合に用いられる言葉である。「はなはだしい」と同じ意味で、「はなはだし」という古語が昔から使われてきた。また、「はなはだ」という副詞も奈良時代にはすでに用いられていた。「はなはだしい」はいい意味では使わず、悪いことや望ましくないことに対して用いられる。具体的には、災害や犯罪の被害や感情や言動などが、普通よりはるかに望ましくない状態であることを表す言葉としてさまざまな場面で使われている。
「はなはだしい」は数量が多すぎる場合に使う言葉ではない。「はなはだしい」は、数量ではなく、質的に程度が普通をこえていて酷い有様であると感じた場合に用いられる。数量が不快に感じられるほど多い場合には「夥しい(おびただしい)」という形容詞を用いる。
「はなはだしい」の類義語には「著しい」「おびただしい」「すさまじい」などがある。「はなはだしい」の対義語は、「ちょうどよい程度である」という意味の「程よい」である。
「はなはだしい」の読み方
「甚だしい」と書いて「はなはだしい」と読む。「甚」は勘違いの「勘」と似ているが、「かんだしい」とは読まない。「はなはだしい」の語源・由来
「はなはだしい」は、「非常に」という意味の副詞「甚だ(はなはだ)」を形容詞にしたものである。「はなはだ」という副詞は、上代の言葉で極端の意味をもつ「甚だ(はだ)」を重ねた「はだはだ」の音が変化して生まれた。「はだ」の「は」は端という意味、「だ」は接尾語である。「はなはだ」は、「花(はな)」と「甚(はだ)」を組み合わせた言葉と考えることもできる。その場合、花は目立つものを形容する言葉であるため、「はなはだ」は極端に目立つという意味の語源となる。
「はなはだしい」の熟語・言い回し
<h4>勘違いもはなはだしいとは勘違いもはなはだしいは、「ひどい勘違いでひどい話だ」という意味をもつ表現である。勘違いの程度が普通をはるかにこえていると、相手を非難するニュアンスで使われる。
<h4>はなはだしくなくとは
はなはだしくなくとは、「はなはだしい」という形容詞の連用形「はなはだしく」に打ち消しの助動詞をつけた表現である。つまり、「程度が普通をはるかにこえていなく」「程度が激しくなく」という意味である。
<h4>甚だしい人とは
甚だしいは普通の程度をはるかにこえていて酷い様子を表す言葉であるため、甚だしい人という言葉の前にどのようなことについて程度が普通をこえているかの説明がくる。例えば、公私混同甚だしい人とは、公私混同の程度が普通をこえている人という意味となる。
「はなはだしい」の使い方・例文
「はなはだしい」は、「甚だしい〜」「〜も甚だしい」「甚だしく〜」のように用いられることが多い。・「台風のために甚だしい損害をこうむった。」
・「東北地方は震災で甚だしい被害をこうむった。」
・「自分一人の実力でここまでこれたと思っているとしたら勘違いも甚だしい。」
・「友人として食事に行っただけなのに不倫しているといわれるなんて誤解も甚だしい。」
・「新入社員の彼女の態度は非常識も甚だしい。」
・「彼は会社の携帯電話を使って私用の電話をしているようであるが、公私混同も甚だしい。」
・「会見で、甚だしい事実誤認であると議員が弁明していた。」
・「この地域では大学の進学率低下が甚だしい。」
・「今年の冬は甚だしく寒い。」
・「ダムの水位が甚だしく低下しており、もうすぐ断水が始まるそうだ。」
・「六畳の室は書斎にも応接室にも書庫にも使っている。狭いこと甚だしい。」(土田杏村「私の書斎」)
・「今世界の秩序は甚だしい動揺の中に居る。」(高村光太郎「ミケランジェロの彫刻写真に題す」)
はなはだ‐し・い【甚だしい】
甚だしい
「甚だしい」の例文・使い方・用例・文例
- 人間が「地球を救う」なんて言うのは、思い上がりも甚だしいと思う。
- それは甚だしい偏見です。
- あんなことを彼女に言うなんて非常識も甚だしい。
- 寒気が甚だしい[厳しい].
- その国は寒暑の差が甚だしい.
- 有明海は潮の干満の差が甚だしい[3 メートル余もある].
- それは甚だしい時間の空費だ.
- 当地は寒暑の差が甚だしい所です.
- 人を愚弄するのも甚だしい.
- 今どき女性は家庭を守るものだなんて言うのは時代錯誤も甚だしい.
- 重要な会議の席でそのような発言をするなんて不見識も甚だしい.
- 公けの席上であんな発言をするなんて無考えも甚だしい.
- 甚だしい誤りだけは直しておいた
- これは甚だしい恥辱だ
- 甚だしい愚物だ
- 甚だしい失錯をしたものだ
- 甚だしい無学だ
- 甚だしい発言だ
- 夫婦にしては年齢の相違が甚だしい
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