現地における日本軍将兵の実態とは? わかりやすく解説

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現地における日本軍将兵の実態

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 06:12 UTC 版)

シベリア出兵」の記事における「現地における日本軍将兵の実態」の解説

一般兵士の間では戦争目的曖昧だったことから、日本軍士気低調で、軍紀頽廃していた。この現象鉄道戦地へ移動する段階から既に見られた。 「 一般士気発揚シアラサルカ如シ 即チ戦争目的了解シアラサルノミナラス官費満州旅行位ノ心得ニテ出征シアルモノ大部ヲ占ムルノ有様ナリ 」 —朝鮮軍司令官兵站業務実施報告 また、チェコ軍救済称してウスリー鉄道沿いにシマノフカまで前進した日本軍先陣部隊が、その先には「ロシア人かいないと言われ引き返し」、その後再び前線送り出されるという「滑稽な一幕」もあったという。 士官幹部も同様で、ウラジオストクの某参謀将校毎日裸踊り」の観覧にうつつを抜かしていたことについての報告残っている。戦線泥沼化した1920年段階でも同地派遣軍首脳部は「三井三菱出入りして玉突きや碁将棋に日を消し」ており、少壮将校は「酒楼遊蕩」していたとされるこのような状況を、匿名投書告発する兵士出現した黒竜会機関紙亜細亜時論』へ投書された告発書は、その内容ゆえに公表一時憚られたが、「改革亡国カ 隊改良ニ関スル絶叫書」(以下「絶叫書」と略記)なるタイトル付され極秘トシテ当路扱ヒ少数識者ノ間ニ頒ツ」(同序文こととされた(外務省記録、「出兵撤兵」)。 同「絶叫書」の内容は全8節からなる長大なものだった。以下内容の一部紹介する。 「軍紀頽廃実例」の節は、さらに「(イ)敬礼ヲ避ケル」「(ロ)社会主義気分漲ル」「(ハ)殆ド盗ヲナサザルモノナシ」「(ニ)計手ハ皆泥棒」「(ホ)歩哨無価値」の各小節分かれている。 (ハ)の項では、民家から鵞鳥・豚・牛を盗んで食べ兵士不品行糾弾している。このような事態派遣軍司令部把握しており、当時兵士配布されていた「兵士心得」にも不法行為禁止する戒め言葉記されていたが、全く効果はなかった。ロシア側の資料にも日本軍兵士による不法行為についての報告がある(「日本兵亡状里駅より中東鉄道達せ報告日本兵類を窃み又駅員其他の家屋押入り婦人辱めたり」)。また、同「絶叫書」中「最高幹部の非常識」の項では、匿名投書子は大井師団長がブラゴヴェンシチェンスク市へ入ったときにロシア人住民に対して取った敗戦国住民ニ対スル」ような態度糾弾している。 「(ロ)社会主義気分漲ル」項目では、敵=過激派による感化事実などではなく無知な青年将校理屈合わない無茶なことを命令し兵士叱り飛ばす。これに少しでも不満を漏らそうものなら、すぐ「社会主義」だと決めつけ、のけものにするとし、指揮官兵隊対す非人間的な扱いと、それに起因する不満の鬱積指摘している。 治安当局は「過激派」による「危険思想」の伝播にも神経尖らせており、帰還兵士の言動にも厳重な監視目を光らせた(軍も独自に調査行ったとされる)が、治安当局作成した内偵資料「秘 帰還兵言動」では、「危険思想浸潤事実よりも、将校下士官横暴な振る舞い指摘する内容圧倒的多数占めたとされる。また一方で将校は「戦地」では「常ニ部下機嫌ヲ取ッテ居ル」という声も相当数見られる。同資料によれば戦地では将校は「歩兵隊式」と呼ばれた結党を伴う仕返し集団的実力行使恐れたからだとされる。たとえば、歩兵第72連隊の某帰還兵士の証言によれば第二中隊では「中隊長下士以下ニ対シテ圧制ナリ」として「下士以下全員著剣シ中隊事務室ニ押掛ケ」中隊長詫び入れさせたとされるまた、第一中隊では平素傲慢な態度をとる特務曹長が、機関銃隊では中隊長が、それぞれ歩兵隊式」の洗礼をうけ全治1ヶ月重傷負ったいずれもウラジオストク滞在中の事件だが、だからその程度済んだ、と某帰還兵つけ加える。「戦場ナラ彼等ハ命幾何アッテモ足ラン 弾丸ハ向フヘバカリ飛バンカラ」。 戦線泥沼化した1920年頃には、前線兵士一日早い帰国を望むようになったとされる(「他国党派争ひ干渉して人命財産損する馬鹿馬鹿しき限りなり」)。

※この「現地における日本軍将兵の実態」の解説は、「シベリア出兵」の解説の一部です。
「現地における日本軍将兵の実態」を含む「シベリア出兵」の記事については、「シベリア出兵」の概要を参照ください。

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