森パクトディスク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/07 18:49 UTC 版)
「唄ひ手冥利〜其ノ壱〜」の記事における「森パクトディスク」の解説
こちらはキーボーディストの森俊之が担当した、鍵盤楽器全般・プログラミング中心のアレンジで構成されている。当初はこちらのディスクにも日本語の曲がセレクトされていたが、最終的にはすべて洋楽になった。ゲストボーカルは宇多田ヒカルと椎名純平。 君を愛す作詞:アンデルセン、作曲:グリーグ デンマークの童話作家アンデルセンによって書かれた詩にノルウェーの作曲家グリーグが曲を付けたことで生まれたグリーグの最も有名な歌曲。作品5-3。 この曲には椎名に強いビジョンがあったため、細かい注文が付けられている。音響系のエッセンスを加えた森俊之なりのエレクトロニカで、アレンジはアンビエント風のスペーシーな広がりのあるものになっている。椎名の声にはギター・サウンド以外ではノイズか電子音しかないだろうということでノイズ・サウンドが強めになっている。「Ich liebe dich」というフレーズを強調したいという椎名の意見で、コーラス・パートが作られた。 jazz a go go作詞:ロベール・ギャル、作曲:アラン・ゴラゲール 1960年代のフランスのアイドル、フランス・ギャルの曲。この曲の間奏部分は東京事変のアルバム『大人』収録のM2「喧嘩上等」の間奏部分に引用されている。 原曲はジャズ的なアレンジだが、本物のジャズ、もしくはアシッド・ジャズのような感じにはしたくなかったので、森や椎名なりのプラスティック・ジャズ(偽物のジャズ)を目指した。エレクトリックな質感のジャズではあるもののコンピューター上での編集が多用されており、微妙にど真ん中のジャズは避けている。椎名の意見で森のオルガンのソロがたくさん設けられたアレンジになった。沼澤尚が叩いているように聞こえる最初のドラム・ループは実は森の作った打ち込みで、沼澤の生ドラムは間奏以降に出てくるもの。打ち込みと生ドラムの融合が行われている。 枯葉作詞:ジャック・フレヴェール、作曲:ジョセフ・コスマ イブ・モンタン、そしてエディット・ピアフが歌ったことにより普及したシャンソンの曲。 森の演奏する生ピアノ、ハープシコード、オルガンを2種類、アナログシンセサイザーなどの色々な鍵盤楽器のサウンドがフィーチャーされた彼のキーボード仕事のカタログ的な曲。椎名も森から鍵盤ハーモニカを演奏するよう勧められたが断っている。また椎名に感化されてこの曲では森もリズムボックスを使っている。 i won't last a day without you作詞:ポール・ウィリアムズ、作曲:ロジャー・ニコルズ アメリカのポップス・デュオ、カーペンターズのバラード・ナンバーを宇多田ヒカルとデュエットしてカヴァー、この曲は過去に東芝EMIのイベントで宇多田ヒカルとの一夜限りのユニット「EMIガールズ」として披露している。 この曲のレコーディングで椎名は、音源では感極まって情念的に歌っているように聞こえる宇多田の歌が、実は詞的な部分よりも音楽的な部分を優先して客観的に冷静に録音されていることを知って驚かされた。 普通はピアノやストリングスを贅沢に使って広がりのあるアレンジにする曲だが、コンピューターに取り出したスクラッチ・ノイズをパーカッション代わりにしたり、ストリングスも生のストリングスを使わずサンプラーを使って打ち込みで作ったりしてあえてこぢんまりとしたアレンジにしている。椎名からの「華のある宇多田とはあえてより日常的な歌というところでやりたい」「メルヘンな感じ、北欧な感じにして欲しい」という要望でチェレスタという楽器を使った。 黒いオルフェ作詞(葡語詞:アントニオ・マリア/アラウジ:デモライズ、仏作詞:フランソワ・ルナ/マルセル・カミュ、英訳詞:ルイジ・クリエター/ヒューゴ・ペレティ/ジョージ・デヴィット・ワイス)、作曲:ルイス・ポンファ ボサノヴァの一曲。同名の映画の主題曲。 原曲より大幅にキーを下げたアレンジ。オリジナルはボサノヴァだが、打ち込みファンクになっている。トラックは生ドラムのサンプリングをループさせたグルーヴ。椎名からはラテンのピアノを使った「モントゥーノ」というスタイルの演奏はやらずにラテン・フィールな感じにして欲しいという要望があった。 mr. wonderful作詞・作曲:ジェリー・ボック/ラリー・ホロフセナー/ジョージ・デヴィット・ワイス もともとは大ヒット・ミュージカル「ミスター・ワンダフル」の劇中歌。それを本作ではボサノヴァ・アレンジで収録。 その辺のバーでジャズ・コンボが演奏しているような安っぽい雰囲気と電子音/ノイズというかけ離れたものを合わせ、ヨーロピアンなジャズにいろんなものが混ざっている感じにした。 玉葱のハッピーソング(原題:the onion song)作詞・作曲:ニコラス・アシュフォート/ヴァレリー・シンプソン マーヴィン・ゲイ&タミー・テレルによるリズム&ブルース・ナンバー。恋人ではなかったがそうだと思われるくらい迫真の歌を聞かせるデュエットだった二人の曲をやるなら兄妹でやるしかないということで、実兄の椎名純平とデュエットした。 ファンキーかつソウルフルなアレンジ。ギターでやるはずの部分を全部クラヴィネットで演奏し、しかもそれをギター・アンプで鳴らしている。 starting over作詞・作曲/ジョン・レノン ジョン・レノンの最後のアルバム『ダブル・ファンタジー』の冒頭を飾る曲。しかし椎名としてはあっさりと歌うことで悲しいエピソード抜きにこの曲を音楽として楽しめるよう神話的なものを除外したかった。もともと好きな曲であり、ドラマの主題歌になったこともあって日本人には耳慣れた曲という理由で収録。 ギターの曲をあえてギターレスでキーボード中心のアレンジにしている。最初はもっと生バンドっぽいアレンジだったが、椎名と森の意見が「つまらない」ということで一致し、クラフトワーク風にしようということになった。 子守唄特別感謝トラック。 作曲:ショパン(引用)、作詞・編曲・ピアノ・ガラガラ:椎名林檎、チェロ:斎藤孝太郎 ショパン作曲の「華麗なる円舞曲 イ短調 作品34の2」の一節を椎名林檎が抜き出してループさせ、そこに彼女のオリジナルの歌詞とメロディ(歌メロ)をつけたもの。ショパンの楽曲をサンプリング的に使った、ほぼオリジナル曲に近い作品。 曲目リスト全編曲: 森俊之(9曲目のみ椎名林檎)。 #タイトル作詞作曲オリジナル時間1. 「君を愛す」 ハンス・クリスチャン・アンデルセン グリーグ カルメン・ドラゴン他 3:13 2. 「jazz a go go」 ロベール・ギャル アラン・ゴラゲール フランス・ギャル 2:38 3. 「枯葉」 ジャック・プレヴェール ジョセフ・コスマ エディット・ピアフ他 6:30 4. 「i won't last a day without you (with 宇多田ヒカル)」 ポール・ウィリアムス、ロジャー・ニコルズ ポール・ウィリアムス、ロジャー・ニコルズ カーペンターズ 4:22 5. 「黒いオルフェ」 アラウジ・デモライス、アントニオ・マリア(訳詩:ジョージ・デヴィッド・ワイス、ヒューゴ・ペレティ、マルセル・カミュ) ルイス・ボンファ アントニオ・カルロス・ジョビン他 4:51 6. 「mr.wonderful」 ジェリー・ボック、ジョージ・デヴィッド・ワイス、ラリー・ホロフセナー ジェリー・ボック、ジョージ・デヴィッド・ワイス、ラリー・ホロフセナー ペギー・リー他 3:20 7. 「玉葱のハッピーソング (with 椎名純平)」 ニコラス・アシュフォード、ヴァレリー・シンプソン ニコラス・アシュフォード、ヴァレリー・シンプソン マーヴィン・ゲイ&タミー・テレル 3:21 8. 「starting over」 ジョン・レノン ジョン・レノン ジョン・レノン 3:51 9. 「子守唄」(特別感謝トラック) 椎名林檎 椎名林檎 2:50
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