春場所中止決定後の経過
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 16:07 UTC 版)
「大相撲八百長問題」の記事における「春場所中止決定後の経過」の解説
春場所の中止決定から一夜明けた2月7日、特別調査委員会は幕内(十両以上)の関取全員を対象にした聞き取り調査を開始。調査は2月12日まで6日間にわたって行われたが、新たな八百長関与の事実は出ていない。2月14日の臨時理事会において特別調査委員会から中間報告を受け、メールで名前が挙がった14名の調査を継続するとともに、関与を認めた4名に対する処分は先送りとなった。 2月10日には、日本相撲協会は綱紀粛正を求める「自粛・奨励17カ条の心得」を作成、協会員である力士・親方らに通達。主な項目として、稽古は東京の各部屋で行うこと、巡業や各部屋主催のパーティー、激励会などの自粛、社会貢献活動やボランティア活動を積極的に行うことなどを盛り込んだ内容となっている。 2月16日、特別調査委員会は協会員から幅広く情報を収集する「情報提供ホットライン」を設置し、協会員全員からメール、ファクス、手紙による情報の受け付けを3月15日までの期限で実施した。 2月28日には、本来なら春場所の番付となるものの、中止により『順席』を示した一覧表が各部屋に配布された。 3月9日、八百長問題の再発防止を目的として相撲協会が設置した特別委員会の初会合が両国国技館で開かれ、委員会の正式名称を大相撲新生委員会と決定。同委員会では、八百長に対する懲罰の厳格化や、研修制度の導入など6項目が盛り込まれた再発防止案がまとめられている。 3月11日、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)及び東京電力・福島第一原子力発電所での事故が発生。しかし、既に春場所の中止が決定していたことから、震災及び原発事故の発生は角界に直接的な影響を及ぼさなかった。 「東日本大震災によるスポーツへの影響#(参考)大相撲」も参照 4月1日、関与したと確認出来た者に対する処分が決定、発表された(詳細は後述)。当初は除名や解雇等の厳罰処分も検討されたが、これまで協会が対策を講じてこなかったことを理由に引退勧告などとしている。発覚後に八百長を認めた力士については情状酌量をくみ出場停止2年となるが、引退勧告を受けた力士の中にはこの時点でも関与を認めておらず、関与を認めた他の力士の証言などで決められたことなどに対し、不服としている者もいる。 4月3日、処分発表を受け緊急に力士会が召集される。モンゴル出身の力士などを中心に夏場所ボイコットの提案もなされたが、魁皇博之が反対意見を唱えこの提案はお流れとなった。 4月5日、この日が引退届の提出期限とされたが、相撲協会はこの日までに19力士が提出したことを公表し、谷川親方のみが退職勧告に反発し、同日、記者会見を開いている。翌4月6日、相撲協会は臨時理事会を開き、夏場所を『5月技量審査場所』として無料公開で開催することを決め、勧告に応じなかった谷川親方を解雇処分にしている。 八百長に関する調査はこの後も続けられ、4月11日には新たに八百長を認定された2力士が引退勧告処分を受けたが、この両力士は期限となる4月13日までに引退届を提出しなかったため、翌14日の臨時理事会で解雇処分とした。 5月4日の相撲協会の臨時理事会および評議員会において、大相撲新生委員会からの提言による防止案をもとに、十両以上の力士や付け人の支度部屋への携帯電話の持ち込み禁止等の再発防止策をまとめた。この再発防止策は8日より始まる技量審査場所から適用されることになった。 また同日、名古屋場所で幕内、十両の定員を各2人減らし、関取の枠を計4人削減することを決めた。しかし八百長問題で引退・解雇された十両以上の力士が17人いるため、13人の幕下力士を関取に昇進させる方針とした。貴乃花審判部長は幕下上位の力士が負け越しても昇進する可能性を示している。 4月22日、蒼国来と星風は相撲協会に対し不当解雇に対する幕内力士及び十両力士としての地位保全及び給与支払い仮処分を東京地裁に申請した。大相撲八百長問題で相撲協会に対し法的手段に出たのは初めてである。 5月25日、相撲協会は自主引退を含めた58人の力士の引退を発表した(解雇された蒼国来・星風を除く)。 6月2日、臨時理事会において2011年7月10日からの名古屋場所の通常開催と、放駒理事長は辞任しないことを決定した。 6月9日、蒼国来に対し、相撲協会は幕内力士の月給に当たる約130万円を1年間支払う内容で東京地裁で和解した。 6月18日、蒼国来は日本相撲協会に力士としての地位確認及び給与の支払いを求める本訴訟を東京地裁に起こした。蒼国来の弁護団は関与認定の根拠とされた協会の特別調査委員会による春日錦と恵那司の証言に基づいて作成された供述書に両名が署名拒否していたと発表した。 6月22日、星風は相撲協会を相手取り起こしていた仮処分申請で、十両としての月給103万6千円を1年間相撲協会が支払うことで和解した。 2013年3月25日、東京地方裁判所で蒼国来の解雇について無効の判決が出る。相撲協会はこれを受けて、4月3日の臨時理事会でこの判決に対し控訴を行わないことを決定し、蒼国来は現役復帰となった。相撲協会は今後、当時の調査方法に不備があったかどうかを含めて危機管理委員会で再検証する。 2013年10月29日、最高裁判所は星風の上告を退ける決定をし、一審及び二審の判決が確定し、解雇が確定した。 2019年11月1日、相撲協会は蒼国来が協会を離れていた期間の13場所を幕内在位場所数に加算することを発表した。
※この「春場所中止決定後の経過」の解説は、「大相撲八百長問題」の解説の一部です。
「春場所中止決定後の経過」を含む「大相撲八百長問題」の記事については、「大相撲八百長問題」の概要を参照ください。
- 春場所中止決定後の経過のページへのリンク