日本のプロ野球における登録名
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 12:14 UTC 版)
「登録名」の記事における「日本のプロ野球における登録名」の解説
日本プロ野球(NPB)では、日本人選手では古くから本名の、特に下の名前について改名や漢字表記の変更は良く行われてきた。とりわけ1994年、鈴木一朗と佐藤和弘(共にオリックス)がそれぞれ登録名をイチロー、パンチとしたことから、日本人選手でも本名と別の登録名を用いることが浸透していった。特に本名の下の名前のみを登録名とするケースが多い。 なお読売ジャイアンツは、河野博文の登録名をあだ名の「ゲンチャン」(北京原人に似ているため)で申請したが、1997年1月にセントラルリーグの理事会で却下された。同理事会は、「ゲン」なら受け付けるとしていたが、巨人は応じず、一転して登録名自体を球団として認めない方針をとるようになった。そのため、カツノリやサブローは巨人への移籍にあたって登録名を本名の「野村克則」、「大村三郎」に変更している。なお、認めない方針が一般的に認知されるようになってからも、1999年にヤクルトから移籍していた入来智の入団に伴い、逆指名で巨人に在籍していた祐作が「入来弟」、智を「入来兄」として登録している。「GG」となったジェレミー・ゴンザレスや、日本ハム時代の「MICHEAL」が認められたマイケル中村の例もある(前者については、当時他に「ジェレミー」名・「ゴンザレス」姓の選手がそれぞれ別にいたという要因もある)。なお、登録名の使用を認めないのはあくまでも愛称を使用する場合であり、改姓、改名や漢字表記の変更による登録名の変更は認められている。その後、2021年ドラフト1位で巨人に入団した翁田(おうた)大勢はチームに発音が酷似している太田(おおた)龍が在籍しているため登録名を「大勢」にするとし、名前での登録は球団日本人初と報道された(ただし、前述のMICHEALは日本人なので実際には異なる)。 また、旧字体及び新字体での使用が認められており、長嶋茂雄は長島で登録していた。ヤクルト、巨人、阪神で活躍した広澤克実は98年まで広沢、99年から広澤に変更している。現役選手では阪神の斎藤友貴哉が齋藤で登録している。また巨人の廣岡大志、オリックスの廣澤伸哉などは最初から旧字体で登録。 スコアボードには基本的に名字のみが表示されるが、同じチームに同姓の選手がいれば下の名前の一文字目が付加される。同姓の選手がいなくなれば下の名前が無くなることになるが、希望すれば表記だけを残すことも可能でよく使用される(例:高橋由伸→高橋由、鈴木尚広→鈴木尚)。ただしこの場合報道では名字のみとなることが多いため、登録名を名字と下の名前の一文字目を組み合わせた姓名の区切りがないものに変える選手もいる(例:山本昌広→山本昌)。既に有名となった選手と同姓の選手が入団した場合には、新入団した選手のみに名がつけられることもある(前田智徳→前田、前田健太→前田健)。同姓の選手が兄弟の場合は兄・弟で区別されたケースもある(例:仁村薫→仁村兄、仁村徹→仁村弟)。同姓が多い韓国人選手の場合はフルネームで表示されることが多い。また名前のコールもある程度の選択が許されている(例:清水直行→清水直(読み:しみずなお))。 稀に登録名を姓名の区切りなしにする選手もおり、アナウンスされる場合もフルネームで呼ばれる。(例:金子千尋、髙橋光成、田中正義。金子はオリックス在籍時の2010年にソフトバンクから金子圭輔が移籍し、一時的に「金子千」表記になったのを経てフルネーム表記とし、金子圭輔がソフトバンクに復帰してからも2018年にオリックスを退団するまでフルネーム表記を続けた。2019年から在籍する日本ハムでは登録名を金子弌大としているが、2022年から再び「金子千尋」のフルネーム表記に変更した。高橋は西武入団時に同姓の高橋朋己がいたため。田中はソフトバンク入団時に同姓の選手はいなかったが、田中姓がありふれているためフルネーム表記としている。また、内川聖一は同姓のチームメイトこそいないが2019年より登録名を内川聖一としている。)。外国人選手でもマットホワイト、カルロス・ロサ、アンソニー・カーターなど、呼びやすさなどからフルネームで登録された選手がいる。 また名前のみを登録名する選手もおり、現役では銀次(赤見内銀次)、大和(前田大和)、愛斗(武田愛斗)などが例として挙げられる。 NPBのウェブサイト上の選手の詳細ページでは、これらの変則的な登録名の選手も、カッコつきでフルネームが記載されている(外国人選手も同様)。これも厳密な本名でなければならないわけではなく、改名した名前や旧姓を使用している選手もいる。 外国人選手の場合、発音や表記の基準がメディアによって微妙に異なることがあるが、入団時に球団が登録名の表記を発表したあとは基本的にそれに従うことになる。ルーク・ファンミルの「ファン」とリック・バンデンハークの「バン」は同じ「van」(前者はオランダ語読み、後者は英語読み)であるが球団発表の表記にばらつきがあり、2017年WBCで2人が同じオランダ代表に入った際もこの表記のばらつきに変化はなかった。また、発音や表記の面で本名とは別の登録名を用いることが多く見られる。漢字文化圏以外の選手の場合、表記はファーストネームを頭文字一文字とされることが多い(例:アレックス・ラミレス→A・ラミレス)。 そのほか、ファミリーネームを登録名とすると、日本語では発音しにくく馴染まないためや、縁起の悪い意味にとられてしまうことで、ファーストネームやフルネームを登録名とすることもある。前者ではキラ・カアイフエ(カアイフエは日本語では発音しにくいためキラとした)、後者ではバンス・ロー(ファミリーネームが「Low{(成績が)低い}」を連想させるため、マスコミなどの揶揄を嫌いフルネームのバンスローとした)、ジョージ・ヒンショー(ファミリーネームが「貧小」「貧商」「貧相」などの言葉を連想させるため、ファーストネームのジョージとした)、アレックス・オチョア(ファミリーネームが「おっちょこちょい」を連想させるため、ファーストネームのアレックスとした)、ダーウィン・クビアン(ファミリーネームが「馘首(解雇)」を連想させるため、またファーストネームから進化論を連想させるため、ファーストネームのダーウィンとした)などがその例である。また、西武ライオンズのスティーブ・オンティベロス、テリー・ウィットフィールドのように、当時の電光掲示板では長すぎるファミリーネームを表示しきれなかったためファーストネームを登録名としていた事例もある(但し現在では電光掲示板の性能向上により解消されつつあり、コーリー・スパンジェンバーグなど長いファミリーネームのままでの登録名も出てきている)。例外として、フランク・オーテンジオが、南海ホークスに在籍していたころ、「王貞治を超えてほしい」という球団側の要望を受けて、本名の一部をもじり「フランク・王天上(おうてんじょう)」として登録させた例がある。 2000年に中日に在籍していたデーブ・ニルソンは、オーストラリア特有のイヌにちなんでディンゴで登録されていた。 ハーフ選手の場合はフルネームを省略して登録する場合がある(例:ダルビッシュ有←ダルビッシュ・セファット・ファリード・有。MICHEAL←マイケル・ヨシヒデ・中村(通称:マイケル中村)など)。仲尾次・オスカル・正樹はルーキーイヤーの3月28日まで「仲尾次オスカル」登録されており、初登板の3月27日に初勝利を挙げた後、29日から「オスカル」に登録名を変更し、6月26日に2勝目を挙げた為、1シーズンで異なる登録名で勝利を挙げた珍しい例となった。 プロ野球選手引退後にタレント活動する場合、現役時代は本名と同じ登録名で活動しながら本名と違う芸名、あるいは本名と異なる登録名で活動した場合は本名とも登録名とも異なる芸名にする者もいる(前者が定岡徹久→テツ定岡、大久保博元→デーブ大久保、内藤尚行→ギャオス内藤、亀山努→亀山つとむ。後者がパンチ→パンチ佐藤、仲田幸司→マイク仲田、アニマル・レスリー→亜仁丸レスリー)。プロ野球OBによる野球リーグのマスターズリーグで現役時代とは別の登録名とする場合もあった(香川伸行→ドカベン)。 独立リーグでは四国アイランドリーグplusやベースボール・チャレンジ・リーグで本名以外の登録名を認めている。
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