日本のヘルシップとは? わかりやすく解説

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日本のヘルシップ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 02:12 UTC 版)

ヘルシップ」の記事における「日本のヘルシップ」の解説

東南アジア占領地域からの捕虜移送1942年1月から開始され連合国軍包囲が進むにつれ東南アジアシーレーン連合国潜水艦による無差別雷撃航空機による空襲機雷敷設などにより阻害されようになった日本輸送用船舶消尽し、捕虜はしばし空気食糧ほとんどない状態で船内詰め込まれ航海続けるという状況置かれた。 船倉などに収容され場合便所もなくバケツ代用したが、それすらすぐに埋まって劣悪な環境となった移送され捕虜はイギリス・オランダ・アメリカ・オーストラリア兵達であり、一般労務者日本兵なども輸送中に攻撃を受け遭難した。ある推計によれば合衆国軍攻撃されヘルシップ被害により3,600人の合衆国人民殺害されたという[信頼性検証]。茶園義雄の『俘虜情報局俘虜取り扱い記録』によると、1942年から1945年までの間に24隻の捕虜輸送船遭難し合計18,182人の乗船捕虜のうち10,834人が死亡している。 こうした捕虜輸送船には赤十字標識はされておらず、連合国軍潜水艦航空機標的となった多数捕虜乗せた状態で遭難した事例としては、ヒ72船団沈んだ勝鬨丸」と「楽洋丸」をはじめ、「りすぼん丸」「阿里山丸」「鴨緑丸」「江ノ浦丸」「順陽丸」「治菊丸」などが挙げられる被害の特に大きな例として、捕虜1400人と労務者約4200人を移送中に撃沈された「順陽丸」では日本人船員69人を含む5689人が戦死したほか、捕虜だけに限ると「阿里山丸」で乗船捕虜1781人(もしくは1782人)のほとんどが死亡している。 もっとも、輸送時厳し船内環境日本軍自軍将兵輸送する場合と同じであり、戦時徴用された一般労務者移送中の日本兵たちにとってもヘルシップ」であることに違いはなかった。当時日本は、人員輸送適した客船少数しか保有しておらず、貨物船人員輸送にも使用するしかなかった。貨物船軍隊輸送船として使用する場合船倉蚕棚呼ばれる多段式の寝台設置して兵員乗船させており、捕虜輸送時にもこの種の輸送船そのまま利用された。 5000総トン程度中型貨物船でも、大量軍需物資加えて3000 - 5000人の兵員乗船させることはごく普通の運用であったこうした貨物船改装船では、換気給水照明も不十分となり、沈没時には脱出が困難で多数死傷者が出る結果招いた例えば、軍隊輸送船富山丸」の場合、約4000人が乗船中に連合国軍によって撃沈され、うち3700人以上が戦死している。従軍中にそのような輸送船に乗らされた山本七平は「話に聞くアウシュビッツ強制収容所同じくらい劣悪な環境」・「死へのベルトコンベア」と呼んでいた。 1944年8月27日-9月8日にかけてマニラから日本連合軍捕虜1060名を輸送した能登丸」の場合マモ02船団)、護送部隊100名ほどであり、沈没時には日本軍兵員乗組員より捕虜の方が数的優勢という事態になる。そこで英米潜水艦雷撃受けて沈没する場合には、ハッチをしめて沈めてしまうという密約があった。ただし午前・午後の2回にわけて捕虜全員上甲板出し水浴びをさせるという対応も行っている。昼食毎日カレーライスであった1948年昭和23年7月連合国軍最高司令官総司令部は、若松只一加藤錀平、額田坦佐伯文郎物部長鉾磯矢伍郎元中将6人、佐官級3人を逮捕南方から連合軍捕虜3万人輸送した際の虐待関与した容疑で、B級戦犯として第八軍事委員会で裁判かけられた。

※この「日本のヘルシップ」の解説は、「ヘルシップ」の解説の一部です。
「日本のヘルシップ」を含む「ヘルシップ」の記事については、「ヘルシップ」の概要を参照ください。

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