戦争犯罪及び人道に反する罪に対する時効不適用に関する条約
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「人道に対する罪」の記事における「戦争犯罪及び人道に反する罪に対する時効不適用に関する条約」の解説
1968年11月26日、第23回国際連合総会で、「戦争犯罪及び人道に反する罪に対する時効不適用に関する条約」が採択された。この条約は前文および11条からなり、第一条で戦争犯罪と人道に反する犯罪について時効は「その犯罪の行われた時期にかかわりなく、適用されない」と規定された。 戦争犯罪とは「1945年8月8日のニュルンベルグ国際軍事裁判所規約で定義され、1946年2月13日の第一回国連総会決議三及び 1946年12月11日の同国連総会決議九五によって確認された戦争犯罪のことで、「とくに戦争犠牲者の保護に関する1949年のジュネーブ協定に列挙された重大な違反」を指すと規定されている。 「人道に反する犯罪」とは「戦争中たると平時たるとを問わず」、ニュルンベルグ国際軍事裁判所規約、第一回国連総会決議3、および国連総会決議95によって確認された「人道に反する犯罪」のことを指し、さらに、「武力攻撃又は占領による追放、アパルトヘイト政策に結果する非人道的行為、並びに1948年の集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約に定義され た集団殺害の犯罪で、かかる犯罪行為が犯罪の行われた国の国内法に違反しない場合をも含む」と規定された。 この条約には58国が同意、7国は反対、36国が棄権、23国は裁決に加わらなかった。 日本は過去にさかのぼり時効の適用を撤廃することは日本国憲法第39条(事後法・遡及処罰の禁止)に反する疑いがあり、また犯罪の定義が不明確であるとの理由から締約国の範囲を定めた第5条に賛成したほかは各条項および条約案全体を棄権した。 また、中華人民共和国はアルバニア決議以前であったため国連未加盟で、東西ドイツも同じく国連未加盟のため同条約を批准しなかった。 1970年11月11日発効した。 合意国家 以下は各国家の判断。※国名は当時のもの アルジェリア ブルガリア ビルマ 白ロシアSSR(現・ベラルーシ) 中央アフリカ共和国 セイロン(現・スリランカ) チャド チリ 中華民国(台湾) キプロス チェコスロヴァキア社会主義共和国 ダオメ共和国(現・ベナン共和国) エチオピア ガボン ガーナ ギニア ハンガリー インド インドネシア イラン イラク イスラエル 象牙海岸(現・コートジボワール) ケニア クエート レバノン リベリア リビア マレーシア モルディブ諸島 モーリタニア メキシコ モンゴル人民共和国 モロッコ ネパール ニジェール ナイジェリア パキスタン フィリピン ポーランド ルーマニア ルワンダ サウジアラビア セネガル シンガポール 南イエメン人民共和国 スーダン シリア トーゴ チュニジア ウクライナSSR(現・ウクライナ) ソビエト社会主義共和国連邦(現・ロシア連邦) アラブ連合 タンザニア 上ボルタ(現・ブルキナファソ) ユーゴスラヴィア社会主義連邦共和国 ザンビア 以上、条約に58国が同意した。 反対国家 アメリカ合衆国 オーストラリア ポルトガル 南アフリカ共和国 エルサルバドル 連合王国(イギリス) ホンジュラス 以上、7国は反対した 棄権国家 アフガニスタン アルゼンチン オーストリア ベルギー ボリヴィア ブラジル カナダ コロンビア コスタリカ デンマーク エクアドル フィンランド フランス ギリシャ王国(現・ギリシャ共和国) グアテマラ ガイアナ ハイチ アイスランド アイルランド イタリア共和国 ジャマイカ 日本 ラオス ルクセンブルク オランダ ニュージーランド ニカラグア ノルウェー パナマ ペルー スペイン スウェーデン タイ王国 トルコ共和国 ウルグアイ ベネズエラ 以上、36国が棄権した 不参加国家 アルバニア バルバドス ボツワナ ブルンジ共和国 ドミニカ共和国 カンボジア カメルーン コンゴ民主共和国 コンゴ共和国 ガンビア ヨルダン イエメン・アラブ共和国 レソト マダガスカル マラウイ マルタ モーリシャス パラグアイ シエラレオネ ソマリア スワジランド トリニダード・トバゴ ウガンダ 以上、23国は裁決に加わらなかった。
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