戦争前夜とは? わかりやすく解説

戦争前夜

作者神庭

収載図書長い手紙
出版社書院
刊行年月2002.9


戦争前夜

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 05:25 UTC 版)

京都大学吉田寮」の記事における「戦争前夜」の解説

1937年日中戦争勃発し、翌1938年国家総動員法制定された。日本全体戦時体制へと移行していく中で、京大寄宿舎戦争無縁ではいられなかった。 戦争影響は、まず食事現れた。1941年4月まで舎生一人一日あたり4.5合の米が割り当てられていた。だが4月配給減り食事一日平均3合になった。そこで舎生有志が南寮の庭などを開墾しさつまいもじゃがいもなどの栽培始めた。舎生はこの畑を「寄宿舎農園」、農作業を「アルバイト」と呼んだ寄宿舎自治抑圧された。寄宿舎は開舎以来、舎生全員議論し議決する直接民主制の「舎生総会」(今日の「総会」「寮生大会」)で意思決定行ってきた。しかし大学の学生課は「舎生の集合」を「衆愚」とみなして1941年6月、舎生規約改正して舎生総会廃止するよう寄宿舎強く要求した寄宿舎自ら舎生規約改正しないならば、学生課で勝手に改正するという。学生課と交渉したある総務委員は「その余りに学生人格無視しているのに驚いた。あれが学生指導する学生課の態度なのであろうか。あの様学生課の考えでは、我々はとても良心的な責任ある舎生規約作ろうという熱意が湧かない」と怒り露にしたが、「しかし徒に日を延ばしていると、学生課の方で原案揃えてこちらにつきつけてくるかもしれないその場合、寄宿舎自治というものがなくなるのではないか」と懸念した規約改正を巡る議論荒れ荒れたが、総務規約改正委員会は舎生総会廃止して総務委員補佐する寮務委員会」を代わりに組織する方針まとまっていった。この方針について学生課は「舎生総会無くしたらどれでも宜しい」という顔で、大体賛成した同年9月30日、舎生たち最後の舎生総会開き、舎生総会廃止を含む舎生規約の改正案を可決した。同じ時期北海道帝国大学恵迪寮でも大学当局の寮自治への介入見られたという。 10月4日には学生課の要請で「寄宿舎報国隊」が結成された。寄宿舎報国隊は舎生を軍隊風に統率することを目的とした民間防衛組織で、非常時消火訓練担当した隊長総務委員兼務した。同月には学徒出陣のために大学生専門学校生修業年限三ヶ月短縮された。 10月防空訓練本格化し、舎生は窓に暗幕をかけ、電灯に「防空燈」と称されるカバー取り付けて空襲備えたこのころ集団主義全体主義礼賛し、個人主義自由主義痛罵する価値観が舎内で幅をきかせていた。「舎生ヲ代表シ、舎内ヲ総理スル役職総務委員こうした価値観好んだ昭和16年前期総務委員一人は、農作物栽培協力する寮生少ないことについて、「徒に舎に強制力無きを歎(たん)ぜしむる。全体主義叫ばれる今日、舎生の行動依然として自由本位である。このアルバイト如きも本人の随意参加でなく、もう少し強制力持たせたいものだ」「この事にかぎらず舎生の中には当利主義の人もいる様だこういう人は舎に入れて決し矯正できるものでなく、従って舎としてはこの様な人の入舎避けねば到底舎生意識の昂揚云々と言った所で始まらないと思う(後略)」(総務日誌1941年9月20日と書いた。また16年後総務委員一人は、総務就任決意表明で「(前略利己的な独善主義こそ癌なのだ。自分独り生活しているんだと云はぬばかり面をしている連中、そう云った連中根本的に矯正してやらねばならぬ独りよがり利己主義現在のみならず過去に於て間違って居たのだ」(総務日誌1941年11月1日)と主張した

※この「戦争前夜」の解説は、「京都大学吉田寮」の解説の一部です。
「戦争前夜」を含む「京都大学吉田寮」の記事については、「京都大学吉田寮」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「戦争前夜」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「戦争前夜」の関連用語

戦争前夜のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



戦争前夜のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの京都大学吉田寮 (改訂履歴)、カルナ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS