小松美羽のプロデュース
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小松美羽の特徴は独自のプロデュース方法である。小松は自身のプロデュースの価値観についてインタビューでは次のように語った。 「Who is your behind ?」以前、展覧会に参加させていただいた「WATERFALL GALLERY」のオーナーにこう聞かれた。 ニューヨークはうまい人も、きらめく人も、才能がある人もいっぱいいる。そこで何を見ているかといえば、behind(後ろ盾)だという。 「誰が協力してくれて、どんな人があなたのまわりで応援していますか?」という意味なのだ。 アーティストであっても一人でやっているわけではない。協力してくれる人たちでチームをつくって、目標をなしとげる。まして、海外でやっていくのなら、ギャラリーの力が不可欠だ。 だからといって、力があるギャラリーにお世話になればそれで良い、というわけではない。」 (中略)… 私に協力してくれるのは、ギャラリーばかりではない。ギャラリーと二人三脚のアーティストが多い中、私はちょっと変わったケースだ。 アーティストが私、プロデューサーが高橋紀成さん、そして小山政彦会長や岡野博一社長や「風土」の仲間とチームをつくっているという体制。ざっくり言うと「生産部門一人、営業部門が社内外にたくさん」という感じだ。 — 週刊ダイヤモンドonlineインタビューより また、小松のプロデュースを担当する1人である高橋紀成氏が、雑誌『Art Collectors 2019年3月号』の特集「Who is your behind?小松美羽を世界へと押し上げるプロデューサーとは?」にて語っている。 1:形容詞「美しすぎる」を付けて売り出す 小松のプロデュースを決めた高橋がまず行ったのは、「形容詞」をつけることであった。「小松がメディアに大々的に報じられたのは、『美しすぎる銅版画家』としてでした。これは週刊プレイボーイに特集されました。何者でもない人間を有名にしていくにあたり、形容詞は必要です。(中略)…やがて有名になるにつれ、形容詞が取れ、小松美羽として独り立ちするわけです」このプロモーションで知名度が一気に上がった結果、(中略)…メディアへの露出が増えてくる。(中略)…高橋の、テレビや広告業界でのキャリアとそこで培った人脈が、メディア戦略に優位に働くことは容易に想像できる。メディアにのせるコンテンツは、「小松美羽=現代の巫女」としての物語だ。次に興味を持つのは、マスへのプロモーションがいかに販売に結びつくのか(中略)… 2:富裕層へのアプローチ&開成高校人脈をフル活用 「現在、コレクターの割合は、日本40%、中華圏(台湾、香港、北京、上海、シンガポール、マレーシア)50%、ヨーロッパ3%、アメリカ5%です。アートを買える人を考えた時に、アピールすべきは美術界ではなく経済界。マスメディアを使って広く一般に情報を伝える一方で、興味を持ってくれた企業の経営層や銀行の頭取、政治家、役人といった人に個別にアプローチをしていきました。加えて開成高校の卒業生が、各界の重要なポストについていることもあり、開成人脈のサポートも強力です。(中略)…総じて言えるのは、彼らは既存のアートコレクターではない、ということです」 3:小松美羽をアピールするための情報を100人〜500人、毎日、10年間送り続ける 高橋は、小松の作品の成約情報や著名人、美術関係者からの高評価、今後の展覧会へのプロセス、美術館の収蔵への動きなど、小松をアピールするための情報を毎日、100人から500人に対して10年間送り続けているという。マスメディア戦略と、インフルエンサーや顧客になりうる人々への一対一の地道なプロモーションが、現在の小松美羽を巡る状況を生み出していることは間違いない。 4:作品の価格のコントロール 「ギャラリーからは値段を上げたいと言われていますが、プライマリー価格は上げず、キープしている状態です。今は値段を上げるよりも、アジア各国にそれぞれ30名以上のコレクターを作り、一国の経済に左右されず、アジアでの地盤を確立させることが先決です。というのも今後、作品がセカンダリーマーケットに出てきた時に(もちろん自分たちでもプライマリー価格まで買い支えますが)作品を買い続けてくれるコレクターが必要であるからです。アジアでインターネット広告を数十万円規模で投じて、一定以上の露出をしているのも、アジア戦略の一つとして既に2年前から行っています」 5:欧米での実績づくり 高橋はこの雑誌のインタビューで、小松について好意的に書かれている論考を英語に翻訳して海外に発信することも積極的に行っている、と明かしている。日本美術に力を入れている欧米の美術館にアプローチを続けているそうだ。そしてその結果、クリーブランド美術館のキュレーターSinead Vilbarさんは(小松の)動画、英文記事、作品画像を見て、神道をテーマにした「Shinto: Discovery of the Divine in Japanese Art」に小松を選出してくれることに結果が結びついた。 (P58~P59より抜粋)
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