安能版における創作と誤解とは? わかりやすく解説

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安能版における創作と誤解

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/06/05 15:27 UTC 版)

申公豹」の記事における「安能版における創作と誤解」の解説

前項までで解説したように『封神演義』において申公豹純然たる悪人である。だが1988年講談社から発刊され安能務編訳以降安能版と表記)では、申公豹性格や行動、実力作中での役割まで大幅に改変加えられ、全く別の人物にされている。 最大違いは「安能版の申公豹姜子牙憎んでおらず、悪人でもない」という点である。原作申公豹姜子牙敵対するのは白鶴童子に頭を奪われる事件きっかけだが、安能版ではこのエピソード自体削除されたため、姜子牙への深い憎しみもなく、全エピソードにおいて申公豹に関する記述書き換えられている。安能版申公豹行動理由天数への敢然たる反抗であり、そのため性根歪んだ悪人ではなく、影の正義の味方のように位置づけられている。原作における天数があくまで「避けられない運命」であるのに対し、安能版は「天界の(理不尽な陰謀」と意味が大幅に変えられていることも、申公豹印象違い大きく作用している。この他、安能版は殺戒を「殺人衝動」として扱うなど、本来正義であるはずの闡教非人道的集団あるかのような描写多く封神計画邪魔する申公豹行動正当化されている。更に安能版では「許由同一人物人間時代帝位拒否した」「老子太上老君)の庇護受けている」「世話好き人界人気が高い」「理不尽なことを見ると黙っていられない」など、原作とは正反対イメージを持つ設定大量に追加された。しかし同時に作中で自らを「バカ正義の味方」と断言し雲中子から「それは正義ではなくただのいやがらせだ」と批判されると「その両方です」と肯定するなど、情熱諦観と皮肉を交えた多面的な人物である。安能は安能版封神演義を、のちに小説形式展開していく「中華思想論のための布石」と位置づけており、その一環として自身の「意見」として多く改変加えているが、そうした意見」の解説申公豹が行うことが多いので、安能版申公豹は「中華思想論のための」解説者であるとも言える以後の安能の作品では解説者としての役回り不特定多数人物随所担っている。 だが、このような安能版の描写は、明代から現在にかけて中国深く浸透している申公豹像とは全く異なるものであり、中国の劇やドラマ、アニメ作品は勿論の事、日本でも光栄集英社といった講談社以外の邦訳に見ることはない。 以下に原作と安能版の主な違い挙げる原作での初登場第37回であるが、安能版では第2回から登場しており、昇山した事情など、原作に無いエピソード大量に追加されている。 安能版では、人語解し仙界最速速度空を飛ぶ黒点虎』に跨る。なお、原作登場するのは『黒点虎』ではなく白額虎』で、人間言葉を話すことができるという設定は無い。 安能版では、稲妻随意に走らせる武器雷公鞭』を持つ。このため申公豹女媧十二大仙すらも迂闊に手を出せない実力者となっている。実際に作中では「四象陣」に外から攻撃して大穴開けている。しかし原作では雷公鞭は登場せず、白鶴童子敗れたり懼留孫見てすぐに逃げ出すなど、申公豹実力はさほど高くない。 安能版では姜子牙より早く元始天尊弟子入りしているが、原作では申公豹姜子牙弟弟子である。 原作では申公豹老子何の接点無く悪事働いた場合南極仙翁元始天尊によってちゃんと懲らしめられているが、安能版の申公豹老子庇護受けており、またその戦闘力もあって、周囲彼の行動に眼を瞑っている。そのため白鶴童子に頭を奪われる場面や、北海眼の誓い立て場面など、有名で重要なエピソード削除変更されている。 道士妖怪革命参戦させるという点では原作同じだが、安能版では姜子牙への殺意無く申公豹行動読者好意的に受け入れられるようエピソードがかなり変更されている(竜鬚虎姜子牙への贈り物懼留孫内心土行孫下山望んでいた、など)。また落魂陣で姜子牙助けるなど、原作行動と完全に反すエピソード追加された。 原作では「西岐を白骨の山と血の海変えてやる」と宣言し戦争規模拡大させたが、安能版ではむしろ非戦派であり、仙界の力を人界持ち込んで戦争規模広げぬよう姜子牙頼んでいる(もっとも、「初めから理な相談」と分かった上でつけた注文だったが)。また仙陣で截教加担せず、戦い止めるよう多宝道人忠告与えた(ただし理由は「誅仙陣で四宝剣を失った截教側には勝ち目がないから」というもの。こちらも喧嘩別れ終わっている)。 申公豹の名は原作・安能版のいずれでも封神榜最後に名が載せられている。だが、原作では、申公豹誓いどおりに北海眼に封じられ、冬は海水を凍らせ夏は氷を溶かす分水将軍』に封神されたのに対し、安能版では、老子援護北海眼(作中例えでは「地球のヘソ」)にて隠棲許され封神免れている。そして、封神榜から申公豹の名が削除され代わりに蜚廉悪来2人1組掃除解体をする『冰銷瓦解神』に封神された。 このように原作大幅に異な申公豹像だが、安能版が「封神演義原作とした創作小説ではなくあくまで「訳」と称して刊行されていることや、藤崎竜による同名少年漫画NHK制作ラジオドラマなど安能版を基にした派生作品存在により、これらの現代日本一個人創作に過ぎない設定中国に伝わる本来の物語のものだと誤解している者も多い。専門家以外が著した書籍webサイトには、安能版の創作によって誤解した申公豹像を紹介したものもある。 安能版の申公豹は、原作悪人像とは対照的に好意的に受け入れられる人物像であることからファン存在するが、数百年以上伝わる伝統的なイメージ無視し誤解広めていることや、『悪役としての本来の魅力伝えていないことから、批判の声少なくない

※この「安能版における創作と誤解」の解説は、「申公豹」の解説の一部です。
「安能版における創作と誤解」を含む「申公豹」の記事については、「申公豹」の概要を参照ください。

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