失業の認定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/25 08:13 UTC 版)
離職者が基本手当を受けるには、離職後、自らの意思に基づいて自己の住居を管轄するハローワークに出頭し、求職の申込みを行い、所持するすべての離職票を提出(受給期間延長通知書を持っている場合はこれも併せて)する必要がある(規則第19条)。これを受けて公共職業安定所長は、離職者に受給資格ありと認めるときには受給資格の決定を行い、受給資格者証を交付し、失業の「認定日」(約4週間後)を定めて受給資格者に通知する。初めて出頭した日から約1〜2週間後に開催日が設定される雇用保険受給者初回説明会(雇用保険説明会)において受給要件・手続き等についての説明がハローワークからなされる。 「認定日」に受給資格者がハローワークに出頭し、失業認定申告書と受給資格者証を提出し、職業の紹介を求めたうえで、「失業の認定」を受けなければならない(規則第22条)。公共職業安定所長はこれを受けて、「前回の認定日から今回の認定日の前日までの期間」(認定対象期間)に属する各日について「失業の認定」を行い、受給資格者証を返付し、認定日数分の基本手当が支給される。失業状態が続く場合において、「認定日」は原則4週間ごとに設定される。ただし公共職業訓練等を受ける受給資格者の場合は1月ごとに設定される。基本手当の支給方法は、原則として本人名義の金融機関口座への振込であるが、やむをえない場合はハローワークでの現金手渡しが可能である(規則第44、45条)。また現金手渡しの場合は、支給日にやむをえない事由で出頭できない場合は代理人による受給が可能である。 「失業の認定」は求職活動の確認をする「認定日」においてのみ行いうる(第30条)。「認定日」以外の日において失業の認定を受けることは原則としてできず、「認定日」に出頭しなければ、原則として認定対象期間全部について失業の認定はされない。失業の認定に関して必要があるときは、公共職業安定所長は受給資格者に対して本人確認書類の提出を命ずることができる。なお、職業に就くためその他やむを得ない理由により「認定日」に出頭できない場合は、その旨を管轄公共職業安定所長に事前に(事態急迫等の場合は次回の認定日の前日までに)申し出ることにより、その申し出をした日において「失業の認定」を受けることができる(認定日の変更、第15条3項)。また以下のいずれかの事由に該当するときは、その理由がやんだ後における最初の失業の認定日に出頭することで、失業の認定を受けることができる(証明認定、第15条4項)。このような状況になった場合はハローワークへ連絡して指示を受けることとなり、通例、証明書類(例えば採用試験や面接の場合、応募先の証明)の提出が求められる。 ハローワークの紹介による採用試験・面接・就職(入社が決まっている場合等) ハローワークの指示による公共職業訓練等の受講(この場合は出頭不要) 受給者本人の疾病・負傷(15日未満) 天災その他やむをえない理由(受給者本人の親族の看護・危篤・死亡した場合、証人等として官公署へ出頭等) 「認定日」に給付を受けようとする者が自らハローワークに出頭し求職の申し込みをすることにより、「労働の意思及び能力」があることの確認がなされる。したがって、代理人を出頭させることによる「失業の認定」や郵送による「失業の認定」は行うことができない。 離職後最初に求職の申し込みをした日以後、失業であった日(ケガや病気で職業に就くことができない日を含む)が通算して7日に満たない間については基本手当は支給されない。これを「待期」という(第21条)。待期の7日間についても「失業の認定」は必要である。待期は1受給期間内につき1回で足りるので、1回満了すれば新たな受給資格を取得しない限り、受給期間内の再離職後の求職申込時には待期は要求されない。また待期の途中で就職した場合は、新たな受給資格を取得しない限り、受給期間内の再離職後の求職申込時には待期の残日数のみを満たせば待期は完了する。 就職意思の有無については、雇用保険の加入対象となる労働条件、すなわち、1週間に20時間以上の就労を希望しているか否かが判断基準とされる。したがって、短時間の就労や随意的な就労を希望する者については、「労働の意思及び能力」があるとは認定されない。勉学、休養、旅行などの理由により、直ちに就職することを希望しない者については、当然、「労働の意思及び能力」はないものとして扱われる。特別の理由がないのに本人に不適当な労働条件その他の不適当な求職条件の希望を固執する者については、「労働の意思及び能力」の有無の判定を慎重に行う。 契約期間が7日以上の一の雇用契約における週所定労働時間が20時間以上であって、かつ、1週間の実際に就労する日が4日以上の場合は、当該一の雇用契約に基づいて就労が継続している期間は、実際に就労しない日を含めて就職しているものとして取り扱う。この期間は待期の7日間にも数えられない。 1週間の間に20時間未満働いた場合において、他に安定した職業に就くために求職活動を行っている場合については、失業であった日について認定がなされる。例えば、1週間(7日間)の間に2日間アルバイトをすれば、アルバイトをしなかった5日間が失業であったと認定(基本手当が給付)される。ここで言う「アルバイト」とは1日に4時間以上働いた場合を指す(現実の収入の有無は問わない)。1日に4時間未満働いた場合においては働いた日であっても認定されるが(「内職」「手伝い」程度とみなされる)、収入を得た段階で収入額に応じて減額支給されることとなる。なお1日の労働時間が4時間未満であっても、それに専念するため安定所の職業紹介にすぐには応じられないなど、他に求職活動を行わない場合は、当然に、労働の意思及び能力がないものとして取り扱う。自営業を開始するための準備、国内外のボランティア活動への参加(受給期間の延長事由に該当する場合を除く)、家業への従事についても同様に1日4時間以上の活動を行った場合は就職しているものとして取り扱う。 受給資格者が住所を変更した場合において認定を受けようとするときは、「認定日」までに受給資格者住所変更届を管轄公共職業安定所長に提出しなければならない。
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