受給期間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/25 08:13 UTC 版)
基本手当を受給することができる期間を「受給期間」という。受給期間は離職日の翌日から1年間である(第20条)。したがって、離職してから1年以上経過した日に失業していた日があった場合、所定給付日数が残っていたとしても受給することはできない。ただし、所定給付日数が360日である受給資格者(45〜65歳の就職困難者であって算定基礎期間が1年以上ある者)については受給期間が60日加算され、所定給付日数が330日である受給資格者(45〜60歳の特定受給資格者であって算定基礎期間が20年以上である者)については受給期間が30日加算される。 受給期間内に就職し、その期間内に再離職し、当該受給期間内に係る受給資格に基づき基本手当の支給を受けようとするときは、ハローワークに出頭し、その保管する受給資格者証を離職票又は雇用保険被保険者資格喪失確認通知書に添えて提出しなければならない。 定年退職者の特例 60歳(船員は50歳)以上で定年退職・定年後の継続雇用期限到来により退職した者については、当該離職後一定期間求職の申込をしないことを希望する場合、その希望する期間(猶予期間、上限1年)相当の期間が受給期間に加算される(第20条2項)。離職日の翌日から2か月以内に、受給期間延長申請書に離職票を添えて申請する。この場合、猶予期間内に求職の申込をすると加算される期間はその求職の申込をした日の前日までの期間相当分となる。つまり、単に休養したいという理由だけで最長1年間の受給期間の延長が認められるのである。 就労不能者の特例 以下の理由により引き続き30日以上職業に就くことができない場合においては、職業に就くことができなくなった日の翌日から、離職日の翌日から起算して4年を経過する日(加算された期間が4年に満たない場合は、当該期間の最後の日)までの間に、受給資格者証又は離職票を添えて申請することにより、前述の「受給期間」に当該職業に就くことができない期間を加算することができる(第20条1項、施行規則第30条)。 妊娠産前6週間以内に限らず、本人が、妊娠のために職業に就き得ない旨を申し出た場合には、受給期間の延長を行う。 出産出産は妊娠4か月以上の分娩とし、生産、死産、早産を問わない。出産は本人の出産に限られる。出産のため職業に就くことができないと認められる期間は、通常は、出産予定日の6週間(多胎妊娠の場合にあっては14週間)前の日以後出産の日の翌日から8週間を経過する日までの間である。 育児この場合、育児とは、3歳未満の乳幼児の育児とし、申請者が社会通念上やむを得ないと認められる理由により親族にあたる3歳未満の乳幼児を預かり、育児を行う場合にも、受給期間の延長を認めることとして差し支えない。また、特別養子縁組を成立させるための監護に係る育児を行う場合についても、法律上の親子関係に基づく子に準じて受給期間の延長を認めることとして差し支えない。 疾病・負傷当該傷病を理由として傷病手当の支給を受ける場合には、当該傷病に係る期間については、受給期間の延長の措置の対象とはしない。したがって、受給期間の延長を申請した後に、同一の傷病を理由として傷病手当の支給を申請した場合には、受給期間の延長の措置が取り消されることとなる。離職後最初の求職の申込み後の傷病については、本人の申出により、傷病手当の支給申請か受給期間の延長申請かのいずれかを選択させる。 その他管轄公共職業安定所長がやむを得ないと認めるもの家族の看護(民法上の親族が常時受給者本人の介護を必要とする場合や小学校入学前の子供の看護のため働けないとき) 知的障害者更生施設又は機能回復訓練施設への入所 正当かつ公的な理由のある海外渡航事業主の命による配偶者の海外勤務に同行(配偶者が事業主の命によらず海外で就職する場合は含まない) 青年海外協力隊(国際協力機構=JICA)など公的機関が行う海外技術指導ボランティアに参加(派遣前に行われる日本国内での訓練初日より受給期間を延長できる。ただし、青年海外協力隊以外の公的機関が行う海外技術指導等の中には、ボランティア(自発的に専門的技術や時間、労力を提供する行為)ではなく就職と認められ、受給期間の延長事由に該当しない場合があるので留意する。) 公的機関が募集するボランティア活動(天災の被災地を支援するものなどが該当する)に参加する場合 「定年退職者の特例」と「就労不能者の特例」は併用可能である。受給期間の延長の申出は、代理人又は郵送によることが可能である。 「引き続き30日以上」は、30日以上継続することを要し、断続があってはならない。ただし、以下のいずれにも該当する場合には、これらの期間の日数をすべて加算することができる。 離職の日以前2年間(特例受給資格者等は1年間)において、受給要件に緩和が認めらえる理由により賃金の支払いを受けることができなかった期間があること。 同一の理由により賃金の支払いを受けることができなかった期間と途中で中断した場合の中断した期間との間が30日未満であり、同一の理由で途中で中断したものであると判断できること。 職業に就くことができない期間として猶予が認められるのは、「本来の受給期間」と「職業に就くことができない期間」の合計が最大4年間(「本来の受給期間」が1年を超える場合、4年間を過ぎてもその超えた日数分は認められる)である。この間に受給できなかった給付日数は失効することとなる。「受給期間の延長」が認められるのは、「職業に就くことができない」期間についてのみである。例えば、病気を理由に受給期間の延長が認められた場合、病気が治癒し就職が可能な状態に回復するまでの期間しか受給期間の延長は認められないのである。受給期間の延長を行った者がハローワークに来所しないまま再就職した後、新たな受給資格を得ない段階で離職した場合、以前の離職票に基づく受給ができなくなる場合がある。傷病を理由としない休養、留学、進学、官憲による身柄の拘束(当該逮捕、勾留及び刑の執行が不当であったことが裁判上明らかとなった場合を除く)といった理由では受給期間の延長は認められない。
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