未支給失業等給付
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/25 08:13 UTC 版)
失業等給付の支給を受けることができる者が死亡した場合、未支給分についてはその者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、死亡当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給分の支給を請求することができる(第10条の3)。この請求は受給資格者が死亡した日の翌日から起算して6か月以内に、所定の書類を添えて死亡者に係る公共職業安定所長に対してしなければならない。 「未支給失業等給付」は民法ではなく雇用保険法で定められた権利である。失業等給付の受給権そのものは、受給者本人に一身専属する権利であり、民法上の相続の対象とはならない。未支給給付請求者が、その支給を受けないうちに死亡した場合は、その者の相続人はその支給を請求することができるが、請求しないで死亡した場合は、その遺族の相続人は未支給失業等給付の請求権者とはなれない。 「生計を同じくしていた」とは、生計の全部又は一部を共同計算することによって日常生活を営むグループの構成員であったということである。したがって、生計を維持されていたことを要せず、また、必ずしも同居していたことを要しない。生計を維持させていた場合には生計を同じくしていたものと推定して差し支えない。 受給することができる者は、上述の順である。先順位者がある場合は後順位者は受給をすることはできない。同順位者が二人以上あるときは、その一人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その一人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。 死亡者が失業の認定を受けていなかった場合は、請求者(やむをえない場合は代理人可)がハローワークに出頭し、死亡者に係る失業の認定を受けなければならない。 民法の規定により失踪宣告を受けた場合、普通失踪(民法第30条1項)を受けた受給資格者については、受給資格者自身、長期にわたって所定認定日に不出頭であり、死亡していなくても失業の認定を受けることができないものと考えられるので、遺族から未支給失業等給付の支給の請求があっても支給できない。一方、危難失踪(民法第30条2項)を受けた受給資格者については、失業の認定がなされ得る。
※この「未支給失業等給付」の解説は、「雇用保険」の解説の一部です。
「未支給失業等給付」を含む「雇用保険」の記事については、「雇用保険」の概要を参照ください。
- 未支給失業等給付のページへのリンク