天然資源に対する恒久主権とは? わかりやすく解説

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天然資源に対する恒久主権

読み方てんねんしげんにたいするこうきゅうしゅけん
【英】: permanent sovereignty on natural resources

第二次世界大戦後独立果たした多数発展途上新興国は、経済的に依然として先進資本主義国再生産構造組み込まれ原料供給地にすぎない状態に置かれていた。
これらの諸国にとってその自立的かつ持続的な経済発展遂げ健全な国民経済基盤形成するためには最大資産である自国天然資源活用することが最も現実的な解決方法となり、先進国企業が「開発利権」の形で支配している自国資源対す実効的な支配奪還することを目指して、自国天然資源に対して恒久主権主張するようになった。この恒久主権問題1952 年第 7 回国連総会第3委員会において、前年イランにおける石油国有化制定背景として提出され以来人権委員会経済社会理事会総会において、(1) 天然資源に対する恒久主権の存否その内容、(2) 天然資源国有化恒久主権行使として当然に認められるか、(3) 外国(法)人の権益収用対す補償の要否その手続などの点を中心に活発な討議が行われ、これらの討議1962 年第 17 回総会の「天然の富と資源対す恒久主権決議(1803)に集大成された。この決議は、恒久主権という語を初め用い国有化とその基準国連初め規定したものとして大きな意味を持つようになった
その後発展途上国国際情勢の展開を背景に、従前の諸決議含まれている理念具現化目指し主権確保最善方法として自力開発自力販売方法模索するとともに外資経営および利益への参加比率増加要求するようになった。この参加シェア引上げ要求に関しては、先進資本主義諸国はこれを認めれば既存利権協定安定性損なわれるとして強く反対したが、発展途上国一部先進資本主義国支持を得、また、最終的に社会主義諸国歩調合わせ 1966 年決議(2158)として採択持ち込んだ。この決議は、(1) 資源開発と販売外国の手によらず資源所在国が自力で行うことが望ましい、(2) 資源開発従事する外資受入れ国のコントロールに服さなければならない(3) 上記(1)の早期実現のため外資労働技術経営各分野現地要員訓練に当たらなければならない、(4) 資源は本来所在国帰するものであり、それゆえ資源所在国が資源開発従事する企業経営利益対すシェア増大することは当然の権利である、などを主な内容とするものであり、こうして、天然資源に対する恒久主権の問題国連という国際舞台で一応理論的に結論出された。
国連ではその後1966 年決議実施南北問題解決といった焦点から討議が行われ、1970 年第 25 回総会決議(2692)では、「天然資源常設委員会」の設置決め今後ここで恒常的に天然資源間題全般を扱うこととなり、また、1972 年第 27 回総会決議(3016)および 1973 年第 28 回総会決議(3171)の採択に至る過程で、それぞれ恒久主権原則沿岸水域(ないし大陸棚)への拡大国有化措置に伴う補償額および補償手続に関する問題が採り上げられたが、いずれも先進資本主義国主張受け入れられず、資源所在国の主権確立時代本流となった。さらに、1974 年開かれた資源開発問題に関する国連特別総会においては天然資源恒久主権新国経済秩序基礎として完全に尊重されるべき原則一つであるとの宣言採択され国有化に伴う補償義務無視または補償額の減殺理由として不当利得概念が公式に持ち出されるようになった
なお、1974 年第 29 回総会で「諸国家の経済権利義務憲章」と題する決議(3281)が採択され過程で、天然資源恒久主権国有化問題が採り上げられ米国フランス英国西独日本など先進 14 カ国は対案を提出したが、いずれも圧倒的多数をもって否決された。こうした一般的な潮流中にあって、OPEC1966 年国連総会決議によって具体化された「天然資源恒久主権」の理念1968 年第 16 回 OPEC 総会OPEC石油政策綱領として決議し既存利権対す資源所在国の「参加」を OPEC として初め活動目標として設定した。その決議では、「現行契約その旨規定がなくても産油国政府事情変更の原則により合理的な資本参加を得る」ことが述べられ第 24 回 OPEC 総会決議により湾岸産油国代表してサウジアラビア国際石油資本交渉入り1972 年 3 月には国際石油資本事業参加原則的に受け入れる旨を表明することとなった



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