孔隙率とは? わかりやすく解説

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こうげき‐りつ【孔隙率】

読み方:こうげきりつ

岩石中のすきまの体積岩石全体体積との比。ふつう、パーセントで示す。間隙(かんげき)率。


孔隙率

読み方こうげきりつ
【英】: porosity

孔隙率{こうげきりつ}は油・ガスを含む貯留岩物理的因子一つであって原油ガス埋蔵量算定要素となる。
孔隙率は岩石孔隙容積全容積の比率表示され次の二つがある。
(1) 絶対孔隙率:岩石中の連通のない孔隙含めたもの。
(2) 有効孔隙率:岩石中の連通のある孔隙のみを対象したもの
原油ガス生産面からは有効孔隙率が重要視され、普通石油鉱業でいう孔隙率とはこれを指す。孔隙率測定には、コア試験から直接求め方法電気検層音波検層密度検層中性子検層比抵抗検層)から求め方法がある。

孔隙率 Porosity

  油層貯留容量規定する岩石特性で,孔隙容積全容積に対す割合定義される。孔隙率には,全孔隙率と有効孔隙率がある。前者孔隙間の連結有無かかわらず全ての孔隙含めたもので,後者は,流通可能な孔隙のみである。生産関与するのは有効孔隙率で,全孔隙率は検層によって評価される
孔隙率
分野 一般掘削用語2
同義語  
関連用語  
類似語 全孔隙率, 有効孔隙率
略語  
孔隙率

ポロシティ

(孔隙率 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/27 08:54 UTC 版)

ポロシティporosity, void fraction)とは、固体物質が小孔や割れ目、粒子間空隙などの空間(void, pore)を含む量を表す尺度。物質の全体積に占める空間の体積の割合で定義され、0 - 1または0 - 100%の値を取る。この概念が用いられる分野には、薬剤学窯業金属工学物質科学製造業地球科学土質力学などがある。

概要

ポロシティに対する日本語の訳語は統一されておらず、分野によって多岐にわたる用語が使用されている。『科学大事典』(丸善)[1]および『物理学辞典』(培風館)[2]では、一般の多孔質固体については多孔度粒子が集積した粉体については空隙率の訳語を充てている。日本工業規格では多孔質固体を中心に気孔率を用いる例が多いが、ほかにも表のような例がある。土壌に関しては空隙率のほか間隙率間隙比が用いられる[1][3]。このほか、ブローホールやボイドの意味で「ポロシティ」が使われることもある[4]

JIS用語集におけるポロシティの同義語
用語 対象
気孔率 焼結体[5][6]セラミックス[7]、金属基複合材料[8]コークス[9]薄膜[10]、ほか[11]
空隙率 金属微粒子[12]薄膜[13]、ほか[14][15]
空孔率 金属基複合材料[8]、薄膜[13]
間隙率 土壌[16]
孔隙率 岩石貯留岩[17]
多孔度 薄膜[10]、ほか[18]
多孔率 薄膜[10]メッキ面[19]
ボイド率 気液二相流[20]、金属基複合材料[8]

単に気孔率というときにはすべての気孔の体積を考えるのが普通だが、気孔を通じた液体の浸透や気体分子の吸着を問題にする場合には、物質表面に開口した気孔(孔隙)だけを数える開放気孔率[21]有効孔隙率[17][22]などの量も用いられる。粉体においては、粒子間の空間を空間率void fraction)で表し、粒子内の細孔を含めた空隙率(porosity)と区別することがある[23]

織物では空隙率を空気流に対する投影面積で定義することがある[24]

二相流れにおけるボイド率

気液二相流では、流路体積に占める気相体積の割合、もしくは流路断面積に占める気相部分の割合をボイド率と呼ぶ[20]。ボイド率は流路中の場所ごとに異なった値を取る(二相流の流れパターンに依存)。ボイド率は時間とともにゆらぐため、多くは時間平均値を用いる。二相が分離した流れ(不均一な流れ)においては、ボイド率は気相および液相の体積流量、および両相の速度比(en、スリップ率)に影響する。

地球科学および建設業における空隙率

岩石堆積物などの粒子間空隙(void)は水や空気が侵入するため物性への影響が大きい。地質学水文地質学土壌学、建築科学では、これらの物質における空隙体積の割合空隙率[1][3](または孔隙率間隙率など[22])と呼ぶ。定義は以下の通りである。

石膏検板に載せた薄片の空隙率を光学的に測定している様子。空隙部は紫で、炭酸塩粒子は他の色で示されている。サン・サルバドル島で採取された更新世風成岩英語版。スケールバーは500 μm

空隙率には多数の測定法が存在する。

光学的方法
試料断面の顕微鏡観察を通じ、物質面積および視認可能な空隙の面積を決定する。ランダムな構造を持つ多孔質媒体では、面積空隙率と体積空隙率は等しい[29]
計算機トモグラフィー法
工業用CTスキャンを用いて外形およびボイドを含む内部形状を3次元画像化する。その後、専用のソフトを用いて欠陥構造の解析を行う。
液浸法
多孔質試料をぬれ性のいい液体に浸漬し、空隙部を液体で飽和させる。水飽和法では、試料の浸漬後に残った水の体積を初めの体積から引くことで(開口)空隙体積を求められる。
水蒸発法
飽和試料の重量から乾燥試料の重量を引き、水の密度で割ることで空隙体積を求められる。
懸吊法
吸水性の良い多孔質試料をよく乾燥させたのち、水に浸漬して空隙を飽和させる。気孔内の気体を追い出す方法には真空法と煮沸法がある。飽和前後の試料重量(それぞれ Wdry Wwet)を測るとともに、飽和試料を水中に吊って浮力を含めた重量( Wunderwater)を測定する。空隙率 ϕ は以下の式で与えられる[30]
これ以外にも、乾燥試料の小孔に液体が侵入しないようにした上で(液体として水銀を用いるか、試料表面を撥水コートする)浮力を測定する方法がある。この浮力からは試料のかさ体積と密度(見掛け密度)が得られる[31]。さらにピクノメータを用いて空隙部を含まない「真の」密度を測定し[32]、見掛け密度との差を取ることで空隙率を求めることができる[33]
水銀圧入法
表面張力が強い水銀を微細な小孔に侵入させるには、外部から圧力を加えなければならない。このとき圧力の大きさに対する圧入量を測定することで小孔径の分布と空孔容積を求めることができる[34]
気体膨脹による方法[29][27]
かさ体積が分かっている試料を容器に封入し、真空排気したもう一つの容器とつなぐ。それぞれの容器の体積は既知とする。容器間のバルブを開くと、気体が移動して二つの容器の圧力は均一になる。気体を理想気体と見なしてボイルの法則を適用すると、空隙体積 VV は以下のように求められる。
ここで VT はかさ体積、 Va Vb はそれぞれ試料容器と真空容器の体積、 P1 P2 はそれぞれバルブを開く前後の試料容器の圧力である。空隙率 ϕ は定義通りに以下で与えられる。
.
この方法では空隙から試料外へ気体が移動しなければならないため、測定されるのは表面に開口した空隙のみである。
熱多孔度測定、サーモポロシメトリー(thermoporosimetry)、またはクライオポロシメトリー(cryoporosimetry
微少な固体粒子はバルクな固体よりも低い温度で融解する(ギブス=トムソン効果英語版)。そこで多孔質試料に浸潤した液体を凍らせて、その融点から細孔径分布についての情報を読み取る。融点を検出する方法としては、温度変調示差走査熱量計における過渡的な熱の流れを用いる(DSC thermoporometry)[35]核磁気共鳴によって自由に動ける流体の量を測定する(NMR cryoporometry)[36]、液相および固相の中性子散乱振幅を測定する(ND cryoporometry)[37]などがある。

脚注

  1. ^ a b c 国際科学振興財団(編)『科学大事典』(第二版)丸善、2005年。ISBN 4621075217 
  2. ^ 物理学辞典編集委員会(編)『物理学辞典(三訂版)』培風館、2005年。 ISBN 456302094X 
  3. ^ a b 土壌物理研究会(編)『土の物理学:土質工学の基礎』森北出版、1979年。 ISBN 9784627461208 
  4. ^ JIS B 0190:2010圧力容器の構造に関する共通用語
  5. ^ JIS H 7009:2016 ポーラス金属用語
  6. ^ JIS Z 2500:2000 粉末や(冶)金用語
  7. ^ JIS R 1600:2011 ファインセラミックス関連用語
  8. ^ a b c JIS H 7006:1991 金属基複合材料用語
  9. ^ JIS M 0104:1984 石炭利用技術用語
  10. ^ a b c JIS H 0211:1992 ドライプロセス表面処理用語
  11. ^ JIS R 2001:1985 耐火物用語
  12. ^ JIS H 7008:2008 金属超微粒子用語
  13. ^ a b JIS K 3802:2015 膜用語
  14. ^ JIS A 0202:2008 断熱用語
  15. ^ JIS X 0701:2005 情報及びドキュメンテーション-用語
  16. ^ JIS A 0207:2018 地盤工学用語
  17. ^ a b JIS M 0102:2000 鉱山用語
  18. ^ JIS K 0211:2013 分析化学用語(基礎部門)
  19. ^ JIS H 0400:1998 電気めっき及び関連処理用語
  20. ^ a b JIS Z 4001:1999 原子力用語
  21. ^ JIS Z 2501:2000 焼結金属材料−密度, 含油率及び開放気孔率試験方法
  22. ^ a b 鈴木淑夫『岩石学辞典』朝倉書店、2005年。 ISBN 4254162464 
  23. ^ 椿淳一郎、鈴木道隆、神田良照『入門 粒子・粉体工学』日刊工業新聞社、2002年。 ISBN 4526050008 
  24. ^ 白根睦巳 (1987). “空隙率による織物の層別:長繊維織物について”. 繊維機械学会誌 40 (2): 76-89. doi:10.4188/transjtmsj.40.2_P76. https://doi.org/10.4188/transjtmsj.40.2_P76 2016年5月21日閲覧。. 
  25. ^ L.F. Athy (1930). “Density, porosity and compactation of sedimentary rocks”. Bull. Amer. Assoc. Petrol. Geol. 14: 1-24. 
  26. ^ Rouquerol, J. (1994). “Recommendations for the characterization of porous solids”. Pure and Appl. Chem. 66: 1739–1758. doi:10.1351/pac199466081739.  See page 1745.
  27. ^ a b 粉体工学会(編)『粉体の基礎物性』日刊工業新聞社、2005年、96頁。 ISBN 4526055441 
  28. ^ 北川進『配位空間の化学: 最新技術と応用』シーエムシー、2009年、130頁。 ISBN 4781301355 
  29. ^ a b F.A.L. Dullien (1992). Porous Media, Fluid Transport and Pore Structure (2nd ed.). en:Academic Press 
  30. ^ JIS A 1509-3:2014 セラミックタイル試験方法-第3部:吸水率, 見掛け気孔率及びかさ密度の測定方法
  31. ^ JIS M 8719:1990 鉄鉱石ペレット-体積測定方法
  32. ^ JIS M 8717:1993 鉄鉱石-密度試験方法
  33. ^ JIS M 8716:1990 鉄鉱石ペレット-見掛密度及び気孔率の算出方法
  34. ^ JIS R 1655:2003 ファインセラミックスの水銀圧入法による成形体気孔径分布試験方法
  35. ^ Brun, M.; Lallemand, A.; Quinson, J-F.; Eyraud, C. (1977). “A new method for the simultaneous determination of the size and the shape of pores: The Thermoporometry”. Thermochimica Acta (Elsevier Scientific Publishing Company, Amsterdam) 21: 59–88. doi:10.1016/0040-6031(77)85122-8. 
  36. ^ Mitchell, J.; Webber, J. Beau W.; Strange, J.H. (2008). “Nuclear Magnetic Resonance Cryoporometry”. Phys. Rep. 461: 1–36. Bibcode2008PhR...461....1M. doi:10.1016/j.physrep.2008.02.001. 
  37. ^ Webber, J. Beau W.; Dore, John C. (2008). “Neutron Diffraction Cryoporometry -- a measurement technique for studying mesoporous materials and the phases of contained liquids and their crystalline forms”. Nucl. Instrum. Meth. A. 586 (2): 356–366. Bibcode2008NIMPA.586..356W. doi:10.1016/j.nima.2007.12.004. 

関連項目

参考文献



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