古代の制度とは? わかりやすく解説

古代の制度

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 07:17 UTC 版)

叙位」の記事における「古代の制度」の解説

日本における位階制度濫觴は、7世紀初め冠位十二階まで遡るが、初期叙位具体的な手続について不明な点が多い。8世紀初め大宝令制定後は、叙位についてある程度詳しく記した史料が残る。律令制における位階制度には、品位内位外位勲位があり、これらを諸王官人宮人等に授け手続き、およびその儀礼を叙位授位)と呼ぶ。親王内親王品位授け儀式叙品じょほん)と呼ぶ。 その叙位原則は、考選法である。これは、毎年勤務評価考課)を一定の年数重ね、その満期迎えた際に、進階(昇進)の是非と進階の場合引き上げ階数決定するものであったこの際には、結階案と呼ばれる叙位原案作成された。また、この判定成選せいせん)、そのために必要な年数成選年(せいせんねん)と呼ぶが、長上官6年慶雲3年708年以後4年)とされていた。勤務評価上々から下々第の9階分かれていた(もっとも、後述のように後に様々な特例用いられ、それらの方が主流となる)。このような恒例の手続きとしての叙位毎年正月行われたこの他天皇即位朔旦冬至などの国家的慶事等の際や、功績残した特定個人対す臨時叙位行なわれた。 位階の上昇進を、「加階」(かかい)や「加叙」(かじょ)と言うが、律令制においては五位以上(貴族)と六位以下には大きな待遇の差があったため、従五位下への叙位加階は特に重要視され叙爵じょしゃく)と称し、この従五位下の位を栄誉あるものとして特に「栄爵」(えいしゃく)とも呼んだ。なお、奈良時代『続日本紀』には、度々、銭百万文(銭と併用して一万束)を朝廷献上して五位叙位される例が記述されている事から、皇朝十二銭時代には五位貴族身分)は朝廷から買えた(蓄銭叙位令参照)。 また叙位の手続きにも、位階の高さに応じて3つの形式があった。五位以上は勅旨によって授ける「勅授」(勲位場合は六等以上)、内位八位以上もしくは外位七位以上は、大臣からの奏聞天皇裁可する奏授」(勲位場合七等以下)、それ以下は、太政官の手続きのみで授ける「判授」で行なわれた。 平安時代に入ると、叙位仕組次第変化するうになる。まず、成選原則が行われなくなり勅授叙位議を経るとは言え天皇の勅のみで行われるようになった。これは、成選を行うために必要なものとして1月3日行われていた考選目録読申の手続きが、天長年間(824 - 34年)に、勅授叙位完了した後の2月10日移動したことからも知る事が出来る。この結果奏授依然として成選原則維持されたものの、日程的には新年における一連の叙位儀式から切り離されてしまった。また、成選関連文書叙位議から除かれたことによって、代わりになる文書として十年労帳や外記勘文叙位の場に登場した考えられている。 その後様々な特例設けられ、それらによる叙位多くなっていった例えば、天慶年間(938 - 47年以後一定の官職一定年数以上務めれば、年労在職期間)を理由として加階対象とされる年労加階が行われるようになった。特に式部民部両省の丞及び外記・史などの地位にある六位位階を持つ年労者は、毎年1名ずつ従五位下叙爵される巡爵じゅんしゃく)の制度導入された。これに近いものとして、国司任期4年問題無く勤め上げたに対して治国賞(ちこくのしょう)と呼ばれる1階進階を認め制度成立したまた、特定氏族王氏藤原氏源氏橘氏)の氏長者は、一族の中から毎年1名ずつ従五位下叙爵させる推挙有しており、これを氏爵(うじしゃく)と称した(なお、藤原氏場合には、藤氏長者四家人間毎年持ち回り推挙する慣例があった)。 更に、院宮准后特定人を従五位下推挙する年爵ねんしゃく)があった。これによって推挙を受ける人物は、予め推挙者に叙爵料(叙料)と呼ばれる年料給分納めることが原則となっており、国家財政の悪化伴って院宮准后対す経済的な給付が困難となったために、朝廷代替として与えた経済的な特典であった。なお、官職に対して同様に任料納めて推挙を得る年官制度導入され、また推挙者が自己仕える者に対す褒賞として年料給分受けず年爵年官を行う場合もあった。 なお、平安時代中期以後になると、位田位禄どの位階に基づく給与制度崩壊したために、生活の資を喪失した外位七位以下に相当する官人層が消滅し、また残され六位上の層でも在任期間年齢家格に基づく上限下限などが厳格化していき、全体として位階の上傾向見られるようになった五位上の官人増大は、位階代わる天皇との親疎を示す新たな基準昇殿」を生み出すことになる。

※この「古代の制度」の解説は、「叙位」の解説の一部です。
「古代の制度」を含む「叙位」の記事については、「叙位」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「古代の制度」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「古代の制度」の関連用語

1
14% |||||

2
10% |||||




6
2% |||||

古代の制度のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



古代の制度のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの叙位 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS