仙台うみの杜水族館
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仙台うみの杜水族館 SENDAI UMINO-MORI AQUARIUM | |
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施設情報 | |
事業主体 | 特定目的会社仙台水族館開発(株)[1] |
管理運営 |
横浜八景島 仙台水族館開発 |
面積 |
(敷地面積)13,493m2 (建築面積) 6,087m2 (延床面積) 9,989m2 |
最大水槽容量 | 990t |
水槽総容量 | 約3,000t |
主な飼育動物 | スナメリ、ヨシキリザメなど |
開館 | 2015年(平成27年)7月1日 |
所在地 |
〒983-0013 宮城県仙台市宮城野区中野4丁目6番地 |
位置 | 北緯38度16分15.9秒 東経140度58分50.4秒 / 北緯38.271083度 東経140.980667度座標: 北緯38度16分15.9秒 東経140度58分50.4秒 / 北緯38.271083度 東経140.980667度 |
アクセス |
仙石線中野栄駅 仙台東部道路仙台港IC |
公式サイト | https://www.uminomori.jp/ |
仙台うみの杜水族館(せんだいうみのもりすいぞくかん)は、宮城県仙台市宮城野区の高砂中央公園に所在する水族館である。かつて宮城県宮城郡松島町に存在したマリンピア松島水族館の後継館として2015年(平成27年)にオープンした。仙台水族館開発が施設を所有し、横浜八景島が運営主体を担う。水族館の公式キャラクターはペンギンのモーリーである。
沿革
仙台市における水族館建設計画が具体化した時期は平成20年代だった[2]。2010年(平成22年)1月、松島にあったマリンピア松島水族館の仙台市への移転計画に際し、仙台市がこれに出資することを決定した[3]。しかし同年2月、運営会社である仙台急行が資金調達の目途が立たなくなったことにより、仙台市の出資計画は取り止めとなり[4]、水族館の移転も立ち消えた。
2011年(平成23年)の東日本大震災を挟み、水族館の建設計画が具体的に動き出したのは2013年(平成25年)だった。この年の2月、三井物産、横浜八景島、カメイ、ユアテック、河北新報社、仙台三越の6社が(仮称)仙台水族館の設置へ向けて共同出資し[5]、これにより仙台水族館開発株式会社が設立された[2]。これを受けて、仙台市は同年3月に水族館建設予定地を仙台港背後地交流推進特区として申請し[6]、4月に復興庁がこの特区申請を認定した[7][2]。8月に仙台水族館開発が施設概要を公表し[8]、9月には国土交通省がこの事業を民間都市再生事業計画に認定した[9]。仙台市は11月に高砂中央公園の基本計画を策定し[10]、12月2日に水族館の設置を許可、同月4日に水族館の建設が着工された[11]。
2014年(平成26年)10月に水族館の正式名称が「仙台うみの杜水族館」に決定し、ロゴマークの公表も行われた。また、開業時期が予定より遅い2015年(平成27年)7月にずれ込む事も発表された[12][13]。
2015年(平成27年)5月10日にマリンピア松島水族館が閉館し[14]、飼育員や生物は仙台うみの杜水族館へ順次、移動した。5月16日にはオープン前に入館できる特典(プレミアムプレビュー)付きの年間パスポートの販売が1万枚限定で始まった[15]。しかし、公式ウェブサイトへのアクセスが集中したことによりシステムに不具合が生じ、販売は中止され[16]、最大で135件分の個人情報が漏洩した[17]。6月16日、販売システムをローソンチケットに移行した上で、抽選方式によって1000枚分の年間パスポートの販売が行われた[18]。
6月23日に企業関係者向けの内覧会が実施され[19]、27日と28日に年間パスポート購入者を対象としたプレミアムプレビューが開催された。そして7月1日にうみの杜水族館は開業を迎えた[20][21]。7月15日よりインターネットによる入場券の販売が開始され[22]、8月5日には年間パスポートのインターネット販売が再開された[23]。
開業後1ヶ月の入館者数は約22万7800人で[24]。うち、年間パスポート利用者は述べ約8万人だった。11月16日には入館者数が100万人を突破した[25]。2019年(令和元年)7月には入館者数が500万人を突破した[26]。
飼育生物

開業時点での展示生物は約300種類・5万匹で、うち7000匹は閉館したマリンピア松島水族館から引き継いだものである[27]。また、マリンピア松島水族館の飼育員やトレーナーなどの従業員の多くもうみの杜水族館へ移籍している。
館内の展示施設はいくつかの区画に分かれている。それぞれ「日本のうみ」、「世界のうみ」、「うみの杜ビーチ」である。「日本のうみ」では三陸地方の海の生物や、干潟の生物、深海の生物、希少生物などが展示されている[28]。大水槽の「いのちきらめくうみ」は三陸沖の海を再現した、幅13メートル・高さ6.5メートル・水深7.5メートル・水量990トンの水槽で[29][30]、屋根のない自然に近い環境の中、50種類約2万5000匹の生物が展示されている[30]。
「世界のうみ」では世界各地に生息する水生生物が展示されている。バイカルアザラシやチョウザメ、イロワケイルカ、アオウミガメ、テッポウウオ、チンアナゴなどが飼育されている[31]。
「うみの杜ビーチ」はケープペンギンが多く生息する南アフリカ共和国のボルダーズビーチを参考に造られた展示施設である[28]。ケープペンギン、フンボルトペンギン、オウサマペンギン、ミナミイワトビペンギン、ジェンツーペンギンが飼育されている[32]。
館内には約1000人の観客を収容可能なショープール「うみの杜スタジアム」がある[33]。ここではイルカとアシカと鳥類によるパフォーマンスが披露される[29]。客席とプールの間に仕切りとなるアクリル板は設けておらず、観客は臨場感を味わうことができる[34]。また、半屋外の場所である「海獣ひろば」にはオタリアやフンボルトペンギンが展示室から出てくる[31]。
ヨシキリザメ
この水族館は三陸の魚であるヨシキリザメの飼育に力を入れている[35][36][37]。かまぼこやフカヒレの原料として宮城県ではなじみのあるヨシキリザメだが、環境の変化によるストレスに弱く、飼育は難しいとされる[35]。開業直前に飼育していた2匹が死んでしまうなど[38]、2015年末までに16匹を捕獲したが、いずれも死んでいる[37][39]。2017年2月21日、同館が持つこれまでの最長飼育記録を更新。同年3月1日までの飼育に成功し、最長記録となる252日という記録を打ち立てた[40]。2019年4月5日にはさらにこれまでの最長記録を更新[41][42]。7月26日には365日に達していた[43]。本個体は2020年12月15日に死亡したが最終的に飼育記録は873日となり同館の持つ飼育記録を大幅更新した[44]。
施設
種類 | 株式会社、特定目的会社 |
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本社所在地 |
![]() 〒980-0811 宮城県仙台市青葉区一番町3丁目7-1 |
設立 | 2013年2月20日 |
業種 | サービス業 |
法人番号 | 4370001022878 |
事業内容 | 水族館の建設・設置、運営 |
代表者 | 代表取締役社長 伊吹 立 |
資本金 | 27億円 |
主要株主 |
三井物産 カメイ 横浜八景島 ユアテック 河北新報社 仙台三越 民間都市開発推進機構 |
外部リンク | https://sendai-aquarium-development.co.jp/ |
三井物産を中心に、水族館運営ノウハウを持つ横浜八景島、地元企業のカメイ、ユアテック、河北新報社、仙台三越の6社が共同出資し、特定目的会社の仙台水族館開発を設立した。これが仙台市から土地を賃借し、約65億円[1] をかけて水族館を建設した。水族館の建物は2階建、延床面積9989平方メートル。設計者は大建設計、施工者は大成建設・橋本店JV[45]。館内に設置される水槽は約100基。建物は緊急時の避難施設として認定されており、1500人を収容できる[46]。エームサービスがレストラン及びミュージアムショップの運営を行う[47]。
交通・料金
公共交通機関
- 鉄道


- バス
- JR仙石線 中野栄駅よりシャトルバスを運行(2022年4月1日よりミヤコーバスが運行。有料[48])
- うみの杜水族館前バス停(いすゞ自動車東北㈱仙台SS前に設置)[49]
- 誓渡寺前バス停下車 徒歩9分 (790m)
自動車
- 駐車場台数 : 800台[注 1]
営業時間
入場料
- 大人 : 2,400円
- シニア(65歳以上) : 1,800円
- 中高生 : 1,700円
- 小学生 : 1,200円
- 幼児(4歳以上) : 700円
団体(15名様以上)
- 大人 : 1,980円
- シニア(65歳以上) : 1,440円
- 中高生 : 1,400円
- 小学生 : 990円
- 幼児(4歳以上) : 540円
年間パスポートは、入場料の2倍。
脚注
注釈
- ^ 開業後一定期間は、1,450台分の臨時駐車場を設置し、2,250台で対応予定。
出典
- ^ a b 第8章 水族館建設 (PDF) (宮城県)
- ^ a b c "仙台市政だより"(仙台市)2025年5月6日閲覧。
- ^ (仮称)仙台水族館の整備にあたっての支援について 仙台市 市長記者会見(2010年1月26日)
- ^ (仮称)仙台水族館への出資について 仙台市 市長記者会見(2010年2月20日)
- ^ 仙台水族館(仮称)設置に向けて新会社を設立 三井物産 ニュースリリース(2013年2月15日)
- ^ 復興推進計画 仙台市
- ^ 宮城第22号:仙台市から申請された税制上の特例措置を講じる復興推進計画(平成25年4月12日認定) 復興庁
- ^ 仙台水族館(仮称)の施設概要 (PDF) 仙台水族館開発(2013年8月23日)
- ^ 仙台水族館(仮称)プロジェクト【宮城県仙台市】 民間都市開発推進機構
- ^ 高砂中央公園基本計画 概要版 (PDF) 仙台市
- ^ 仙台水族館(仮称)起工式開催について (PDF) カメイ ニュースリリース(2013年12月9日)
- ^ 仙台の新水族館 名称は「うみの杜水族館」に 河北新報(2014年10月5日)
- ^ 仙台水族館(仮称) 名称決定 (PDF) 仙台水族館開発 ニュース(2014年10月23日)
- ^ <松島水族館>地域と歩んだ歴史「仙台へ」 河北新報(2015年5月11日)
- ^ 仙台うみの杜水族館 パスポート16日発売 河北新報(2015年5月14日)
- ^ <仙台うみの杜水族館>年間パス販売休止 河北新報(2015年5月18日)
- ^ <うみの杜水族館>個人情報135人分漏えい 河北新報(2015年5月20日)
- ^ 仙台うみの杜水族館、プレビュー付き年間パス販売再開へ 抽選で1000枚 仙台経済新聞(2015年6月11日)
- ^ 「仙台うみの杜水族館」館内初お披露目 巨大水槽やイルカのショーも 仙台経済新聞(2015年6月24日)
- ^ <うみの杜水族館>開業 イナバウアーで祝う 河北新報(2015年7月1日)
- ^ 「仙台うみの杜水族館」開業 初日7000人、雨の中市民らでにぎわう 仙台経済新聞(2015年7月2日)
- ^ 仙台うみの杜水族館、入館券のネット販売を開始 日本経済新聞(2015年7月16日)
- ^ <うみの杜水族館>年間パス、ネット販売スタート 河北新報(2015年8月5日)
- ^ <うみの杜水族館>開業1ヵ月 滑り出し好調 河北新報(2015年8月1日)
- ^ 1日早く100万人達成 仙台うみの杜水族館 朝日新聞デジタル(2015年11月17日)
- ^ <仙台うみの杜水族館>通算の入館者がオープン以来500万人突破 河北新報(2019年7月16日)
- ^ 仙台うみの杜水族館、復興の象徴 共に成長する姿 産経ニュース(2015年6月24日)
- ^ a b "館内ガイド 1F"(仙台市うみの杜水族館)2025年5月6日閲覧。
- ^ a b c d 仙台うみの杜水族館、概要発表-年間パスポートは入場料2回分 仙台経済新聞(2015年2月3日)
- ^ a b うみの杜水族館、公式キャラはペンギン 朝日新聞デジタル(2015年2月3日)
- ^ a b "館内ガイド 2F"(仙台市うみの杜水族館)2025年5月6日閲覧。
- ^ "うみの杜ペンギン図鑑"(仙台市うみの杜水族館)2025年5月6日閲覧。
- ^ 2015年春開業目指す「仙台水族館」概要発表-東北最大級のショーも 仙台経済新聞(2013年8月27日)
- ^ 巨大水槽輝く命 うみの杜水族館内覧会 YOMIURI ONLINE(2015年6月24日)
- ^ a b 「世界一美しいサメ」飼育記録更新中 朝日新聞デジタル(2019年5月23日)
- ^ うみの杜水族館で内覧会 マイワシ・イルカ… 朝日新聞デジタル(2015年6月24日)
- ^ a b <うみの杜水族館>ヨシキリザメ飼育に奮闘中 河北新報(2015年9月3日)
- ^ ヨシキリザメ、オープン前に死ぬ うみの杜水族館 朝日新聞デジタル(2015年6月30日)
- ^ ヨシキリザメ、展示を再開 うみの杜水族館 YOMIURI ONLINE(2016年6月24日)
- ^ <うみの杜水族館>最長飼育ヨシキリザメ死ぬ 河北新報(2017年3月2日)
- ^ 【国内最長記録を更新!】ヨシキリザメ展示中。ぜひご覧ください! 仙台うみの杜水族館(2019年4月5日)
- ^ <仙台うみの杜水族館>ヨシキリザメ飼育日数253日 国内最長を更新 河北新報(2019年4月6日)
- ^ 【記録を更新!】7月26日ヨシキリザメ飼育1年突破 仙台うみの杜水族館(2019年7月26日)
- ^ “ヨシキリザメ死亡について” (2020年12月17日). 2021年1月8日閲覧。
- ^ 仙台水族館開発/新水族館建設(仙台市宮城野区)/施工は大成建設JV 日刊建設工業新聞(2013年10月23日)
- ^ <うみの杜水族館>建物は津波避難ビルに認定 河北新報(2015年7月2日)
- ^ 「仙台水族館(仮称)」の物販・飲食部門業務受託のこと エームサービス リリース(2014年6月3日)
- ^ “2022年4月1日よりミヤコーバス「仙台うみの杜水族館線」運行開始”. 仙台うみの杜水族館 (2022年3月31日). 2022年4月3日閲覧。
- ^ ICカード乗車券《icsca》の当社サービス概要及び地下鉄東西線開業に伴うバス路線の再編について (PDF) 宮城交通(2015年4月14日)
- ^ <仙台うみの杜水族館>公式キャラ・モーリー 河北新報(2015年2月2日)
関連項目
- マリンピア松島水族館
- アクアテラス錦ヶ丘 - 青葉区に所在する民間水族館
外部リンク
- 仙台うみの杜水族館のページへのリンク