中国企業による意図的な汚染の容疑
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 07:03 UTC 版)
「中国の汚染タンパク質輸出問題」の記事における「中国企業による意図的な汚染の容疑」の解説
メラミンの製造とメラミンを利用した化学反応過程は小麦グルテンなどの製造者や製造過程と完全に無関係である。4月9日、FDAは食品は意図的に汚染されていた「明確な可能性」があったと述べた。リチャード・J・ダービン上院議員は調査員はメラミンが製品の価値を決定するタンパク質含有量検査を騙す為に加えられていたのではないかという疑いを持っていると述べた。あるタンパク質含有量の測定検査ではかなりの量の窒素を検出し、サンプル内のタンパク質は窒素含有量に大きく寄与しているという仮説が唱えられた。メラミンは非常に高い割合の窒素を含んでいる。中国の動物科学の教授Liu Laitingによると、メラミンは普通の検査では検出することが難しいという。 米国がメラミン汚染グルテンを生産したと信じている江蘇省徐州市の農産物関連製品の会社である徐州安営生物技術開発有限公司は我々は無実でありきちんと調査に協力していると主張し続けている。徐州安営の経営者は会社が問題の製品を輸出したことを否定し、彼らは他の誰がその製品を輸出したのか調査していると語った。彼らは中国の法律に言及し、輸出された小麦グルテンは試験を経ており、また彼らは単なる地方の工場の労働者であるに過ぎないと主張している。しかし徐州安営の荷物を運搬するトラックドライバーはこれを否定し、彼らは小麦グルテンを製造する工場を持っていると語った。農務省とFDAの職員は徐州安営が小麦グルテンに食品でないことを示すラベルを貼り、第三者を通して蘇州市富田紡績品有限公司へ送ったと信じている。食品でないことを示す表示はグルテンが検査を行うことなく輸出される場合に許可されている。しかし、蘇州市富田紡績品有限公司のスポークスマンは会社が小麦グルテンを輸出したことを否定した。 徐州安営は食品の原材料の供給者でありながら、過去に膨大な量のメラミンを持っていることが発見された証拠がある。ニューヨーク・タイムズは2007年3月29日、徐州安営の代表者が「我々の会社が膨大な量のメラミンくずを購入した」と産業物資の取引の掲示板に書き込んだと報告した。メラミンは小麦グルテンのタンパク質を含むことを明示し、商品価値を高めるためにを加えられたのかもしれない。しかし、小麦グルテンの輸入業者であるケムニュートラ社は彼らが徐州安営から不純物や汚染物質を含んでいないことを示す分析結果を受け取ったことに不満を述べている。徐州安営が小麦グルテン以外の製品を北米に輸出したのかどうかはまだ分かっていない。 中国でメラミン汚染食品原料の新たな供給者が現れた。2006年の7月から濱州富田生物科学技術有限公司は輸入業者のウィルバー・エリス社と契約していた。濱州富田は大豆やトウモロコシなどのタンパク質を米国やヨーロッパ、東南アジアに供給していた。濱州富田は濃縮コメタンパク質を普通白い袋に入れて輸出していたが、4月11日、ピンクの袋が見つかり、その袋にはステンシルで「メラミン」と書かれていた。濱州富田はウィルバー・エリス社に対し、「袋が破れてしまい、ラベルを付け間違えてしまった。だから新しい袋を使った」と説明した。会社は食品を供給し、原料を与えただけだった。 FDAの動物薬センターの責任者であるスティーブン・サンドロフは中国から輸出されたメラミン入りの小麦グルテン、濃縮コメタンパク質とトウモロコシグルテンは意図的汚染説の支柱になっているとし、「これは我々が中国の工場を訪れた結果達したある仮説である」と彼は語った。 4月29日と4月30日、インターナショナル・ヘラルド・トリビューンとニューヨーク・タイムズは中国の家畜飼料生産者がメラミンくずを何年にもわたって飼料に混入してきたことを認めたと報じた。メラミンを製造する福建省三明鼎輝化工有限公司の経営者であるJi Denghuiは「多くの会社が動物や魚の飼料としてメラミンくずを購入している。もし規制があったらどうなるか私には分からない。たぶんないんだろう。それをしてはならないと法律や規制はない。だからみんなそれをしているのだ。中国の法律とはそのようなものだ。もし事件が起こらなかったら何も規制されることはないのだ」と語った。石炭からメラミンを作り、メラミンからプラスチックや肥料を作り、メラミンくずをそのように使うと書かれ、広くそう思われている。メラミンは見た目のタンパク質含有量を増やし、尿素のような他のありふれたそして違法な材料の検査を回避するために使われてきたといわれている。 5月2日、農務省とFDAの職員は誰が汚染食品を製造し、どこで汚染が起こったのかまだ分からないと述べた。中国政府は徐州安営を例に取り上げ、他の25の製造者から製品を購入していたことを明らかにした。 2007年5月8日、インターナショナル・ヘラルド・トリビューンが伝えた中国の化学メーカー三社の証言によると、しばしば家畜飼料生産者達が、飼料に混入しタンパク質含有量を高く見せかける目的で、シアヌル酸等の化学物質を彼らの工場から買い付けたり或いは問い合わせをしていたという。これは、メラミンとシアヌル酸がタンパク質製品の中で反応する可能性があるという更なる危険性を示唆するものである。 また同日、植物性タンパク質の汚染に加え偽装表示が為されていたことが、FDAの職員により明らかとなった。小麦グルテンやコメタンパク質の濃縮物とされていたものは、実際はいずれもはるかに安価な小麦粉であった(小麦粉は小麦グルテン抽出の母原料である)。抽出タンパク質製品と同等の品質検査結果を得るために小麦粉に加える必要があったのが、(メラミンやシアヌル酸という)窒素に富んだ化合物というわけだ。 中国は動物保護に熱心ではなく、ペットの虐待を防ぐ法律は何もなかった。例えば、狂犬病の流行を防ぐ際、ワクチンを接種して予防するのではなく、ペットを淘汰することを政策として決定していた。狂犬病の犬の淘汰は4歳の女の子を含む3人の人間によって行われた。飼い主が見守る中、道端で犬はこん棒で殴られ、死んでしまった。
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