モンド・ブームとは? わかりやすく解説

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モンド・ブーム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 15:37 UTC 版)

鬼畜系」の記事における「モンド・ブーム」の解説

90年代には悪趣味ブーム連なる形で、世界的なモンド・ブームが起きた。MONDOとはイタリア語で「世界」を表し未開地域の奇妙で野蛮な風習虚実ないまぜ記録したモンド映画世界残酷物語』(1962年)のヒットにより世界中で定着した原題の「MONDO CANE」は、イタリア語定句で「ひどい世界」の意)。モンド映画とは世界中奇習奇祭などをテーマにした映画で、エログロ満載ショッキングな映像観客好奇心惹きつけておきながら「狂っているのは文明人のほうだ」と、取ってつけたような文明批判社会批判盛り込んだ社会派きどりのモキュメンタリー猟奇趣味的ドキュメンタリーである。その後、MONDOという概念アメリカで独自の発展遂げ単なる世界から「奇妙な世界」「覗き見る世界」「マヌケ世界」へと語義変化し奇妙な大衆文化包括するサブカルチャー総称、ないし世間的に無価値思われている対象ポップな文脈再評価するムーブメントとして扱われるようになったメディアマン高杉弾はMONDOについて「アメリカアングラでもサブカルでもない政治性持たないマヌケ文化」または「けっして新しくカッコ良くオシャレでもないけど、なんだか人間普遍的なラリパッパ状態を表現する暗号的な感覚」と定義しポップありながら繊細ではなく間抜けありながら冗談ではなく、人を馬鹿にしつつも自らがそれ以上の馬鹿となり、ときにはぜーんぜん面白くなかったりもしながら、しかし着実に生き延びていった」と評している。 世紀末のモンド・ブームは、モンド映画『モンド・ニューヨーク』(1988年)の公開きっかけ始まり通常のディスクガイドでは完全に無視されるような奇妙で特殊な音楽モンド・ミュージック(以下、モンド音楽)のリバイバル爆発的に広まった代表的なモンド音楽として、アメリカファミレスモール空港ホテルエレベーターで、1960年代70年代流れていたラウンジ・ミュージック(以下、ラウンジ)がある。ラウンジはジャズ・エキゾチカ・エレクトロニカなどの多様なジャンル巻き込んだ匿名性の高いムード音楽イージーリスニング)の一種で、明確な輪郭持った音楽ジャンルではなかったが、こうしたヒットチャートとは無縁大衆音楽を「見方変えて面白く享受する様式そのものが「モンド音楽ラウンジ」とみなされた。本国アメリカでは西海岸独立系サブカルチャー雑誌『RE/Search』の2号にわたる「インクレディブリー・ストレンジ・ミュージック(=信じられないほど奇妙な音楽)」特集影響、および90年代半ば若者流行グランジからラウンジ移行したことにより、モンド・ブームは一気過熱する。特にラウンジは、エキゾチカモーグが二大巨頭とみなされた。1996年には、ビースティ・ボーイズ編集するアメリカユース・カルチャー誌『グランドロイヤル・マガジン』3号モーグ特集組まれブーム最高潮達した1995年2月には、ラウンジのみならずアポロ計画の頃に作られ宇宙ものやマイナーなCMソングなど従来軽視されてきたムード音楽新たな解釈面白さ与え娯楽的かつ学術的に体系化した書籍モンド・ミュージック』(リブロポート発行/Gazette4=小柳帝鈴木惣一朗小林深雪茂木隆行の共著)が刊行されたことで、この用語は音楽業界それなりに定着した。また個性的すぎて日の目を見ずに埋もれていったディープ昭和歌謡80年代から紹介している幻の名盤解放同盟ブーム与えた影響大きい。迷盤・奇盤の数々再録した、特殊音楽コンピレーション・アルバム幻の名盤解放歌集』(Pヴァインシリーズには5000以上を売った作品存在し廃盤レコード編集盤としては「破格ヒットとされる90年代半ばには幻の名盤解放同盟紹介で、韓国では下世話みなされているポンチャックおよび李博士日本上陸し一時的なブーム呼んだ。元ボアダムス山本精一モンド音楽について一言言った変態」「趣味のよい悪趣味」「あくまで無意識」「狙ってないことがポイント」「本人自分モンドだなんて決し思ってない」と定義している。 1995年には、メジャー週刊誌SPA!9月20日号で「【最低・最悪】モンド・カルチャーの正体特集組まれ、モンド・グッズが悪趣味な文脈過去・現在を問わず横断的に紹介された。また、この頃からMONDOなアート映画、漫画紹介するガイドブック多数刊行され、MONDOは20世紀サブカル総括するキーワードとして欠かせない存在となった。この時期代表的なMONDOガイド本としては次のようなものがある。 オカルト猟奇殺人からブラックメタル、モンドアート、SPKなどのノイズミュージックまで暗黒文化解説したメルツバウ秋田昌美著『スカム・カルチャー』(1994年水声社国内外モンド映画体系化した、映画秘宝ムックシリーズ悪趣味洋画劇場』『エド・ウッドとサイテー映画の世界』『悪趣味邦画劇場』(1994年1995年洋泉社モンド漫画ガイドブックマンガ地獄変』(1996年1998年水声社)および、宇田川岳夫編『マンガゾンビ』(1997年太田出版宇田川岳夫著『フリンジ・カルチャー ―周辺的オタク文化誕生と展開』(1998年水声社) デヴィッド・ケレケス+デヴィッド・スレイター『キリング・フォー・カルチャー ―殺し映像』(1998年フィルムアート社

※この「モンド・ブーム」の解説は、「鬼畜系」の解説の一部です。
「モンド・ブーム」を含む「鬼畜系」の記事については、「鬼畜系」の概要を参照ください。

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