ピアノ・ソナタ第9番
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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チェルニー(ツェルニー):ピアノ・ソナタ 第9番 ロ短調 | Sonate für klavier Nr.9, h-moll Op.145 | |
ジャコブ:ピアノ・ソナタ 第9番 | Sonate pour piano No.9 | 作曲年: 1944年 |
アレクサンドロフ, アナトーリイ:ピアノ・ソナタ 第9番 | Sonata for piano No.9 | |
カプースチン:ピアノ・ソナタ 第9番 | Piano Sonata No.9 Op.78 | 作曲年: 1995年 |
モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第9(8)番 イ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第9(8)番 イ短調 | Sonate für Klavier Nr.9 a-Moll K.310 K6.300d | 作曲年: 1778年 出版年: 1781年 初版出版地/出版社: Heina |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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1 | 第1楽章 Mov.1 Allegro maestoso | 5分30秒 |
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2 | 第2楽章 Mov.2 Andante cantabile con espressione | 10分00秒 |
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3 | 第3楽章 Mov.3 Presto | 3分00秒 |
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作品解説
残された自筆譜(ニューヨークのピアポント・モーガン図書館所蔵)の上部右端に、「1778/パリ」と記されている他は、このソナタの成立経緯は現在も不明のままである。
モーツァルトと母アンナ・マリアの旅は、1777年9月23日にザルツブルクを発ち、ミュンヘン、アウグスブルク、マンハイムを経て、1778年3月23日にパリに到着する。この旅行の目的は、就職口を見つけることであったが、その目的が達成されることはなかった。それどころか、パリ滞在中の7月には同行していた母親が帰らぬ人となり、若干21歳のモーツァルトにとって大きな悲しみであったことは想像に難くない。
従来このソナタは、母親の死と関連づけて解釈されてきたが、調性が(モーツァルトには珍しく)短調であることが、自身の悲しみを反映させたものだとは、必ずしも言えない。というのも、成立時期が母親の死後であるという証拠は、どこにもないのである。
第1楽章 イ短調 4分の4拍子 ソナタ形式
「マエストーソMaestoso」の指示のもと、和音の連打の伴奏の上に付点リズムを特徴とする主要主題で楽章は開始される。副次主題(第23小節~)は平行長調で提示され、絶え間ない16分音符の動きが、移行部(第35小節~)からコーダ(第45小節~)までを支配する。
後半部分は、前半部分を終止したハ長調で開始され、主要主題の動機がホ短調、イ短調、ニ短調で展開される。移行部の動機を挟み、半音階上行から主要主題の再現(第80小節~)へ一気になだれ込む。副次主題(第104小節~)以降も主調であるイ短調となって楽章を閉じる。
第2楽章 ヘ長調 4分の3拍子 ソナタ形式
第1楽章のイ短調に対して、平行長調の下属調であるヘ長調が選択されている。
アンダンテ楽章であるが、2部分制で、属調の副次主題(第15小節~)とその主調再現(第68小節~)をもっており、明確なソナタ形式である。しかし、音階や装飾的なパッセージに彩られており、これまでのソナタの中間楽章と性格的には同様の傾向を示しているといえよう。
第3楽章 イ短調 4分の2拍子
急速なテンポ(Presto)の中で、付点4分音符+8分音符の動機が楽章全体を支配している。中間部分(第143小節~)は同主長調へ転じるが、ここでも冒頭の動機が音楽を支配している。
プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ 第9番 ハ長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ 第9番 ハ長調 | Sonata for piano No.9 Op.103 | 作曲年: 1947年 出版年: 1955年 初版出版地/出版社: Muzgiz |
ミャスコフスキ:ピアノ・ソナタ 第9番 ヘ長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ミャスコフスキ:ピアノ・ソナタ 第9番 ヘ長調 | Sonata for piano No.9 in F major Op.84 | 作曲年: 1949年 出版年: 1950年 初版出版地/出版社: Muzgiz |
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第9番 ホ長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第9番 ホ長調 | Sonate für Klavier Nr.9 E-Dur Op.14-1 | 作曲年: 1798年 出版年: 1799年 初版出版地/出版社: Mollo |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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1 | 第1楽章 1.Satz Allegro | 6分30秒 |
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2 | 第2楽章 2.Satz Allegretto | 4分30秒 |
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3 | 第3楽章 3.Satz Rondo-Allegro comodo | 3分30秒 |
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作品解説
前作の《悲愴ソナタ》Op.13の作曲後に着手されているが、様式的にはかなり隔たっている。ベートーヴェンはこの作品を弦楽四重奏用に自ら編曲していることは、各楽章に4声部をおもわせる書法によっていることからも、委嘱によるものとはいえ、きわめて妥当なことであろう。
なお、弦楽四重奏版はヘ長調で書かれており、ホ長調という調性が、なおも一般的ではなかった可能性を示唆している。というのも、古典期において調号が4つ以上の調性は、楽器の調律の問題等からこれを主要な調性として用いることは避けられていたのである。
(第1楽章)ホ長調 4分の4拍子 ソナタ形式
[提示部]
和音の刻みの上に跳躍音程による主要主題が提示される。主題の確保が発展した推移を経てロ長調で2つの副次主題が提示される。まず下降・上行の順次進行による主題があらわれ、続いてターンの装飾をともなった幾分快活な主題があわられる。コデッタでは主要主題が再現される。
[展開部+再現部]
コデッタの主要主題が発展しイ短調へ転調する。経過的な楽句が続いた後、主要主題がホ短調であらわれ、再現部を準備する。
2オクターヴにわたる音階パッセージの上に主要主題が主調で再現される。副次主題を主調で再現するために、推移部はまずハ長調へ転じ、ホ長調の増六の和音(ドッペルドミナント第5音下方変位和音)を介してドミナントに半終止する。こうして副次主題が主調で再現され、主要主題を回想しながら楽章を閉じる。
(第2楽章)ホ短調 4分の3拍子
メヌエットともスケルツォともいえそうな、中間的な性格の楽章である。主部はオクターヴのユニゾンを基調とする主題による。中間部はMaggiore(長調)と記され、同主調ではなく3度下のハ長調である。
(第3楽章)ホ長調 2分の2拍子 ロンド
3連音符の伴奏の上にオクターヴの主題が提示される。急速な順次下降音型と4声部の交差による推移の後にロ長調で新たな主題が提示される。これは完全8度、減4度跳躍下降と短2度、完全4度上行という音程的な特徴をもつ。
冒頭の主題が同主短調で回帰した後、その平行調であるト長調に転じる。ここでは主題の伴奏音型であった3連音符が主体となり、経過的な楽句が続く。第3音のロ音が長く引き延ばされ、これを介して再びロ長調で2つの主題が再現される。この後、コーダとして冒頭主題が発展し楽曲を閉じる。
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第9番 ロ長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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シューベルト:ピアノ・ソナタ 第9番 ロ長調 | Sonate für Klavier Nr.9 H-Dur D 575 Op.147 | 作曲年: 1817年 出版年: 1864年 |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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1 | 第1楽章 Allegro, ma non troppo | 7分30秒 |
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2 | 第2楽章 Andante | 6分30秒 |
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3 | 第3楽章 Scherzo: Allegretto | 5分00秒 |
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4 | 第4楽章 Allegro giusto | 4分30秒 |
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作品解説
1817年8月の作品。ピアノ・ソナタ多作の年の最後を飾る全4楽章の作品である。このソナタの第1楽章では、調号の変化を伴った転調が目立つ(ただし調号と調が一致しないものも多い)。提示部では4つの調(ロ長調、ト長調、ホ長調、ロ長調〔嬰ヘ長調〕)、展開部でも4つの調(ロ長調〔短調〕、ニ長調、ハ長調〔変ホ長調〕、ロ長調)、そして調号はロ長調のままだがホ長調で始まる再現部も4つの調(ホ長調、ハ長調、イ長調、ロ長調)を周って主調に戻っているのである。また、楽章全体を通して、第1主題の付点リズムの素材が動機的に展開されている。動機操作という点で、ベートーヴェンの影響を考えさせる作品である。
ピアノソナタ第9番
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 13:51 UTC 版)
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