ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第19番 ト短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第19番 ト短調 | Sonate für Klavier Nr.19 g-Moll Op.49-1 | 作曲年: 1797? 年 出版年: 1805年 初版出版地/出版社: Bureau d'art et d'industrie |
作品解説
Op.49-2と同じく「やさしいソナタLeichte Sonate」の名がつけられており、両者はほぼ同時期に成立したと考えられる。出版順につけられたソナタの番号は「第19番」であるが、想定される成立時期は第3番と第4番の間である。
第1楽章 ト短調 4分の2拍子 ソナタ形式
提示部は以下のように、非常に簡潔な構成をとる。
8小節からなる主要主題、主題の確保(第9小節~)と推移(第13小節~)、平行長調の変ロ長調であらわれる副次主題(第16小節~)、そして推移(第25小節~)とコーダ(第30小節~)。
展開部(第34~63小節)では副次主題の素材が中心となり、第54小節からは低音に主調の属音(二音)が保続音としてあらわれ、主題の主調再現を準備する。
再現部(第64小節~)における主題再現は、両主題とも主調によっており、平行長調で提示された副次主題は短調に移旋される。コーダ(第97小節~)では低音域において副次主題の動機が繰り返され、同主長調の和音で楽章を閉じる。ここでのいわゆるピカルディ終止は、ト長調である第2楽章との接続を意識したものと考えてよい。
第2楽章 ト長調 8分の6拍子
「ロンドRondo
と記されているが、明確なロンド形式によっているわけではない。
8分音符を主体としたロンド主題の提示に続き、16分音符のアルベルティ・バスをともなったト短調の主題(第20小節~)があらわれる。続いて平行長調の変ロ長調の主題(第32小節~)があらわれ、ふたたびト短調の主題が回帰(第68小節~)した後、ようやく冒頭のロンド主題があらわれる(第81小節~)。
先ほどの変ロ長調の主題がト長調であらわれた後(第103小節~)、もう一度ロンド主題が回帰する(第136小節~)。コーダ(第149小節~)では、ロンド主題の冒頭動機を反復しながら楽曲を閉じる。
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第19番 ハ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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シューベルト:ピアノ・ソナタ 第19番 ハ短調 | Sonate für Klavier Nr.19 c-Moll D 958 | 作曲年: 1828年 出版年: 1839年 初版出版地/出版社: Diabelli |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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1 | 第1楽章 Mov.1 Allegro | 12分00秒 |
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2 | 第2楽章 Mov.2 Adagio | 8分00秒 |
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3 | 第3楽章 Mov.3 Menuetto: Allegro | 4分00秒 |
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4 | 第4楽章 Mov.4 Allegro | 9分00秒 |
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作品解説
1828年9月、シューベルトは体調をくずし、兄フェルディナントのもとへ身を寄せた。死のわずか2ヶ月前のことである。しかし彼の創作意欲は衰えず、最後の3つのピアノ・ソナタを一気に生み出した。第19番はその1作目にあたる。そして10年後の1838年に、ディアベリ社から「シューベルト最後の作品。3つの大ソナタ」として、第20、21番と共に出版された。作曲家はJ・N・フンメルへ献呈するつもりであったが、出版の前年に当の受取人が没したため、出版社の判断でシューマンに献呈されることになった。
ベートーヴェンのピアノ変奏曲WoO80を意識したことは、第1楽章冒頭から明らかである。前年に没した偉大なる先輩に対するオマージュであろうか。
第1楽章:アレグロ、ハ短調、3/4拍子。ソナタ形式。冒頭主題がベートーヴェンのピアノ変奏曲WoO80によく似ている。全体的にも、シューベルト特有のやわらかな響きは少なく、厳しく不気味な雰囲気に占められている。コーダ部分でも再びベートーヴェンを想起させる。
第2楽章:アダージョ、変イ長調、2/4拍子。ベートーヴェンの《悲愴》ソナタと同じように、変ホ長調のやさしい主題で始まり、そしてまた翳りをみせる。転調も頻繁である。
第3楽章:メヌエット。アレグロ、ハ短調、3/4拍子。比較的穏やかな楽章。メヌエット部とトリオ部の対比も強くはない。だがその分、フィナーレの躍動感が生きてくるだろう。
第4楽章:アレグロ、ハ短調、6/8拍子。ソナタ風ロンド形式。タランテラのような快速楽章。他にも舞曲のようなリズムを感じさせる生き生きとしたフィナーレである。
ピアノソナタ第19番
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