ピアノ・ソナタ第10番とは? わかりやすく解説

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ピアノ・ソナタ第10番


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第10番 ト長調

英語表記/番号出版情報
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第10番 ト長調Sonate für Klavier Nr.10 G-Dur Op.14-2作曲年: 1799?年  出版年1799年 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 第1楽章 1.Satz Allegro8分00
2 第2楽章 2.Satz Andante5分30秒
3 第3楽章 3.Satz Scherzo-Allegro assai3分30秒

作品解説

2009年2月 執筆者: 岡田 安樹浩

旧来このソナタは《ホ長調ソナタOp.14-1時期交差して作曲されたと考えられていたが、近年ではこれが完成した直後から着手され1799年夏頃に完成した考えられている。

第1楽章ト長調 4分の2拍子 ソナタ形式
提示部
主要主題4度下降短2度上行という性格的動機とシンコペーション・リズムの動機からなる。この性格的動機は、Op.14-1第3楽章におけるロ長調主題にもみられる主題確保省略されており、終始和声的アルペジオ伴奏ともないながら、属音(二音)の同音反復、主要主題におけるシンコペーション・リズムの拡大形によって副次主題推移する
ニ長調提示される副次主題(第26小節~)は、付点リズム3度重音2度下降動機からなる提示部リピート記号によって反復される

展開部再現部
まず主要主題ト短調あつかうが、すぐに副次主題変ロ長調あらわれる(第74小節~)。展開部において副次主題あらわれるのは、初期ベートーヴェンソナタの中ではこれがはじめてである。
付点リズム反復した後、上声16分3連音符によるアルペジオ伴奏ともなって低声部で主要主題性格的動機展開される(第81小節~)。再び主要主題あらわれ調性変ホ長調となる(第99小節~)。32分音符による音階パッセージ経て、主要主題短2度行動機が繰り返されて(第115小節~)再現部に至る。
主要主題副次主題ともに主調であるト長調再現され最後に主要主題もう一度あらわれて楽章閉じる。

第2楽章ハ長調 2分の2拍子 変奏曲
反復記号もたない8小節と、反復される12小節(=24小節)の、計24小節(=32小節からなる主題と3つの変奏構成されている。このような変奏曲形式導入は、葬送ソナタOp.26で再び実践されることとなる。
主題はほぼ四声体で書かれスタッカートレガート対比特徴的である。第1変奏(第21小節~)では主題内声あらわれ第2変奏(第41小節~)ではこれが上声半拍遅れてシンコペーション風にあらわれる。第3変奏(第65小節~)ではバス・ラインをレガート奏法旋律的にあつかい上声分散和音化されている。最後にコーダとして6小節後奏付されている。

第3楽章ト長調 8分の3拍子 スケルツォロンド
Allegro assaiという速いテンポ、(八分の)三拍子、さらにスケルツォという表記もされていながら形式的にロンド形式である。
ロンド主題3度順次上行する動機連続からなる。第2の主題(第23小節~)は平行調ホ短調あらわれ和音の強奏と16分3連音符の弱奏という対比的性格をもっている。ロンド主題回帰した後、ハ長調の新主題による中間部(第73小節~)が挿入される
再びロンド主題回帰し(第139小節~)、今度ロンド主題素材発展的にあつかわれてコーダ形成する(第175小節~)。
ベートーヴェンは後にソナタ形式コーダを「第2の展開部」として拡大するまでになるが(ソナタ形式楽章コーダ拡大する試みは、既に《ハ長調ソナタOp.2-3第1楽章にもみられる)、ここにみられるロンドコーダ動機の展開技法によって拡大するこの手法に、そうした後年ベートーヴェン見出すことは、決し的外れなことではないよう思われる

第1楽章展開部作法変化第2楽章変奏曲形式導入、そして第3楽章ロンドにおけるコーダ動機展開技法による拡大など、この作品は実は、ベートーヴェンピアノ・ソナタ創作史のなかで1つ転換点となっているのである


モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第10番 ハ長調

英語表記/番号出版情報
モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第10番 ハ長調Sonate für Klavier Nr.10 C-Dur K.330 K6.300h作曲年1783年  出版年1784年  初版出版地/出版社Artaria 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 第1楽章 Mov.1 Allegro moderato 6分00
2 第2楽章 Mov.2 Andante cantabile 6分30秒
3 第3楽章 Mov.3 Allegretto3分30秒

作品解説

2009年11月 執筆者: 岡田 安樹浩

旧来このソナタは、続く2つのソナタイ長調 K.331、ヘ長調K. 332とともにパリ作曲されたと考えられてきた。しかし、近年の研究成果(ヴォルフガング・プラートやアラン・タイソンらによる自筆譜研究)によって1783年ウィーン、またはザルツブルク作曲されたことが明らかとなった
現在クラクフ図書館保存されている自筆譜は、第2楽章の第60小節後半から64小節までが欠落している。その他、多く箇所で、初版アルタリア版(1784年ウィーン強弱記号奏法記号差異認められるため、新モーツァルト全集では自筆譜底本に、アルタリア版から多く採用している。

第1楽章 4分の4拍子 ハ長調 ソナタ形式
32分音符による音階装飾音型、16分音符分散和音素材とする主要主題開始される装飾的なパッセージによる移行部(第19小節~)を経て、第34小節より属調で副次主題あらわれる。主要主題副次主題双方素材からなるコーダ(第54小節~)によって、ト長調前半閉じる。
後半部分(第59小節~)は、まずト長調からイ短調転じ、再びト長調経由して主要主題主調再現(第88小節~)を迎える。移行部の変形(第109小節)によって、属調ではなく主調にて副次主題再現(第121小節~)する。
141小節からのコーダは、前半終結部分に後半部冒頭移行楽想回帰して楽章閉じる。

第2楽章 ヘ長調
前半8小節後半12小節それぞれ反復記号によって繰り返される主題には、第1楽章主題想起させる素材盛り込まれている。中間部(第21小節~)では同主短調ヘ短調転じる6度および3度重音16分音符による保続バス特徴とした主題変奏が行われ、再びヘ長調主題再現(第41小節~)されると、コーダ(第61小節~)では中間部分変奏主調回帰する

第3楽章 ハ長調 ソナタ形式
8分音符基調とした軽快な主要主題は、16分音符分散和音伴奏による確保経て16部3連音符パッセージへと発展する移行部(第21小節~)の後、副次主題(第33小節~)があらわれる。
後半部分(第69小節~)の冒頭開始する動機は、おそらく副次主題後半部分の同音連打の音型(第59小節)の拡大であろうこうした何気ない部分素材発展させる点は、モーツァルト独特のものといえるかもしれない。すぐに主要主題主調再現(第96小節~)をむかえ、副次主題主調再現(第132小節~)を経てコーダ(第160小節~)へと至る。


シューベルト:ピアノ・ソナタ 第10番 ハ長調

英語表記/番号出版情報
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第10番 ハ長調Sonate für Klavier Nr.10 C-Dur D 613作曲年1818年  出版年1897年  初版出版地/出版社: Breitkopf & Härtel 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 第1楽章 No Data
2 第2楽章 No Data


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