ディクリーとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 日本語表現辞典 > ディクリーの意味・解説 

decree

別表記:ディクリー

「decree」とは、「法令」や「布告「判決」といった国家政府によって発せられる法的拘束力を持つ命令判決のことを意味する英語表現

「decree」の基本的な意味

「decree」とは、名詞政府など発する法令」「布告」、裁判所の「命令「判決」意味する。他にも神学における「神意」や「天意」「天命」などといった解釈ができる。つまり「decree」は国家政府による法の一態様や、神の意志表わす言葉として使われる英単語である。ただし「decree」には動詞としての働きもある。「~を定める」「~と命じる」といった意味の他、状況などが「~をもたらす」「~を余儀なくする」などの幅広い意味合い持っている

「decree」の語源

「decree」の語源はもともとラテン語で「分ける」を意味する「cernere」に由来する。後に「下」を表わす接頭辞de-」と合わせて「decre」が誕生した。「decre」には「決定する」という意味があり、そこから更に「法令「判決」表わす名詞形「decree」が派生する。この「decree」が時代流れ経て現在のように幅広い意味合いを持つようになった考えることが可能である。

「decree」の発音・読み方

「decree」の発音記号は「dikríː」と表わし、カタカナ読みすると「ディィクリィー」である。日本語では「ディクリー」と言うが、英語読みでアクセントが「ríː」の箇所にあるので注意したい

「decree」の覚え方

「decree」の覚え方言葉にあるコアイメージを理解することである。「法令」「天命」などの意味には、権威や神から下される拘束力影響力の強いイメージ共通している。「decree」の語源で「下に」と「分ける」を組み合わせて決定する」という意味が誕生したことからも、人々従わせるニュアンス強さ伝わってくる。このイメージを軸にして考えると「布告」「神意」「~を定める」「~をもたらすなどのような幅広い意味合い繋げて理解することが可能である。

「decree」と「law」の違い

「decree」と「law」はどちらも「法」を表わす英語表現であるが、そのニュアンス違いがある。「decree」は国家元首命令したり、行政機関布告したりすることにより法律の施行目的とするものである一方law」は議会などの立法機関制定する法規範で、国民の義務権利定めている。つまり「decree」と「law」では法を発する主体法的効力違いがあるのである。また「decree」には裁判所下す判決命令神学における神意天命などといった意味合いがある点も「law」とは異なる。

「decree」の活用変化一覧

「decree」の活用変化を以下にまとめる。

名詞:decree(decrees)※複数形decrees

現在形:decree(decrees)※3人称単数のみdecrees
過去形:decreed
未来形:will decree
現在完了形:have(has) decreed※3人称単数のみhas
過去完了形:had decreed
未来完了形:will have decreed
現在進行形be動詞(am,is,are) decreeing※1人称単数am、3人称単数is、他全てare
過去進行形be動詞過去形(was,were) decreeing※1人称単数3人称単数was、他全てwere
未来進行形:will be decreeing
現在完了進行形:have(has) been decreeing※3人称単数のみhas
過去完了進行形:had been decreeing
未来完了進行形:will have been decreeing

「decree」を含む英熟語・英語表現

「consent decree」とは


consent decree」とは裁判所作成する調停書」、当事者同士同意によって下される同意判決」を意味する英語表現である。罪や責任認めず紛争解決するために和解した合意したりすることを表わしている。

「royal decree」とは


royal decree」とは「王法「勅令」という意味の英語表現である。つまり国王女王などの君主によって発せられる命令宣言のことを表わす憲法に基づき一定の手続き経て発行され法的に強い拘束力持っている

「decree」の使い方・例文

・The government has decreed all restaurants from operating at night for the time being.政府当面の間すべての飲食店夜間営業禁止する命令出した
In Japan, once the Diet is dissolved, the election date is decreed by the Prime Minister.日本では国会解散されると、選挙日は内閣総理大臣によって決定される
・The parties agreed to a consent decree that required them to pay a fine and stop their illegal activities.当事者は、罰金支払い違法行為停止求め同意判決合意した

ディクリー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/29 14:16 UTC 版)

ディクリー: decree)とは、の一態様である。通常は国家元首共和制国家においては大統領、君主制国家においては君主など)によって発せられる、法的拘束力を有する法源であるが、その意味するところは国により異なる。アメリカ合衆国大統領により発せられる大統領令はディクリーの一種である(ただし、ディクリーは必ずしも「命令」ではない。)。

各法域におけるディクリー

ベルギー

ベルギーにおいては、ディクリーは地方議会英語版が制定する法を意味する。

フランス

フランス語においてディクリーに相当するデクレ: décret)という語は、フランス語における古い法律用語であり、フランスの大統領または首相により発せられる命令を意味する。憲法または民法に反するものであってはならず、当事者はフランス国務院(最高裁判所に相当)においてその無効を争うことができる。命令が制定法として認められるためには、国会により承認を受けなければならない。 デクレ法(: décret-loi)と呼ばれる特別の命令は、第三共和国および第四共和国体制下において違法と考えられていたが、1958年憲法によってついに廃止され、規則に置き換えられた。

大統領による権限の留保(1958年憲法第16条。これまでに発動されたことは1回しかない。)を除き、フランス当局がデクレを発することができるのは、憲法が国会に権限を認め、かつ法が権限を認めた範囲に限られる。これに反すれば命令は違法となり、無効の訴えがあった場合には国務院は当該命令を無効とする判決を下すことになる。を発することができない領域においては首相がオルドナンスフランス語版を発することもできるが、この手続においては国会の明示的な同意を要する(1958年憲法第38条)。

首相が発するデクレには以下の2つの形態がありうる。

  • 単純デクレ(: décrets simples
  • 国務院デクレ(: décrets en Conseil d'État):制定法により国務院への諮問が義務付けられた場合。

国務院デクレ(décrets en Conseil d'État )は「国務院デクレ(décrets du Conseil d'État.)」、すなわち国務院が発するものであるとの誤解を受けやすい。しかし、デクレを発する権限はあくまで大統領または首相が有しているのであり、行政上の国務院の役割は純粋に諮問的なものに留まる。

デクレは以下のようにも分類可能である。

  • 規則。さらに以下のように分類可能である。
    • 施行デクレ(décrets d'application):それぞれが少なくとも1つの制定法による特別の授権を要し、当該制定法の施行条件について定めるものでなければならない。委任立法であり、おおむね英国法における行政委任立法に相当する。
    • 独立規則règlements autonomes):憲法により制定法(立法府による審査を経たもの)に授権されていない領域に限る。この場合は一次法英語版となる。
  • 特定の施策に関するもの。例えば、高級公務員の任用に関する事項など。

規制的なデクレまたは施行デクレは首相のみが発しうる。大統領デクレは、一般的に任用的なものか例外的なものに限られている。例えば、国民議会の解散と次期議会の選挙の実施など、法により大統領デクレが義務付けられている分野に限られる。

デクレは官報によって公布される。

カトリック教会

カトリック教会カノン法におけるディクリー(ラテン語: decretum教令とも)には複数の意味がある。教皇勅書教皇書簡英語版または自発教令は、教皇の立法行為であるがゆえに教令にあたる(極めて古典的な用語法である)。ローマ教皇庁の省英語版は、かつてその個別の管轄に属する事項について教令を発する権限を正式に認められていたが、1917年、ベネディクトゥス15世によりこれを禁じられた。 各教会管区教区は、定例の教会会議において、その権限に属する範囲内で教令を発することができる。

一般的には、公会議により公布された全ての文書は教令と呼ばれうる。このような文書のうち一定のものは、第二バチカン公会議においては、憲章(constitution)または宣言(declaration)と呼ばれる[1]

1983年教会法典は、第29条において教令に関する定義を置いている。

イタリア

  イタリア憲法第77条には以下のような規定がある[2]

政府は,両院からの委任なくしては一般法律と同等の効力を持つ緊急政令を公布することはできない。特別な必要性,緊急性がある場合,政府は,自らの責任において,法律効力を持つ暫定措置を採択する。但し政府はこれを法律に変更するため,即日に両院に提出しなければならない。両院は,解散後であっても,所定の招集により,5日以内に審議のため会合を開く。 緊急政令は,公布日から60日以内に法律に変更されなければ,公布日に遡り失効する。両院は,法律に変更されなかった緊急政令に基づいて生じた法的関係を,法律により規制することができる。

60日間の有効期間は直ちに生じ、この間権利や期待の根幹は不安定となる。特に、法律への転換が行われない場合は顕著となる[3]

イラン

1981年10月9日、テヘランのジャマランにおいてアリー・ハーメネイーの大統領令に署名するイランの最高指導者ルーホッラー・ホメイニー

イラン・イスラーム共和国憲法第110条によれば、最高指導者が同国の政策全般を決定するものとされている。

ロシア

ロシア革命後、政府により公布された文書は広くデクレット(: декрет, dekret)またはukazと呼ばれており、いずれもディクリーと訳される。

1993年ロシア連邦憲法によれば、ukazロシア語版とは大統領令を意味する。ukazには法的拘束力があるが、ロシア憲法または既存の法律による規制を置き換えることはできず、またロシア連邦議会が定めた法が優越する。

ロシア連邦政府は決定(: Постановления)または命令(: Распоряжения)と呼ばれるディクリーを発することもできるが、憲法、法または大統領令に抵触する内容は認められない。

サウジアラビア

サウジアラビアにおいては、勅令(Royal decree)が法源となる。

スペイン

スペインにおいては、以下のように複数の種類のディクリーが存在する。

  • 勅令(政令とも)
  • 勅令法(政令法とも)英語版
  • 立法勅令英語版

トルコ

1982年憲法第107条に規定されている。最も重要な修正として、法律第6771号による大統領令に関する修正がある。

イギリス

イギリスにおいては枢密院勅令があるが、これは国王の大権を正統性の基礎とし枢密院により公布される一次立法か、議会による法律その他の立法を正統性の根拠とし大臣により公布される二次立法かのいずれかに該当する。双方共に司法審査の対象となるが、前者には若干の例外がある。

アメリカ

アメリカにおける法律用語としては、19世紀から20世紀初頭にかけて、衡平と善に照らして訴訟当事者の権利を定める衡平法裁判所の命令がディクリーと呼ばれていた。

1938年に衡平法に関する裁判手続と法律に関する裁判手続が連邦民事訴訟規則のもと一元化されて以来、コモンローにおけるものと同旨の「判決(: judgement)」の語がディクリーを一般的に置き換えた。現在においてはほとんどの州裁判所においても同様となっている[4]。ディクリーの語は、判決の同義語として広く扱われている[5]

ディクリーは裁判所の最終判断であることが多かったが、中間判決としてのディクリーも存在した。最終ディクリーは、対象となる訴訟における争点の全てを決定し、当該訴訟の全てを終結させるものであり、その後にいかなる法的手続も必要としない(上訴は可能である)。中間ディクリーは、終局的でなく、訴訟に関する全体的な判断でない、仮のまたは先決的なディクリーであり、最終ディクリーを発する前にさらなる法的手続が必要となるものである。通常は上訴は認められないが、連邦裁判所による仮処分については中間ディクリーであっても上訴が可能である。

アメリカ大統領による政府機関への指示である大統領令は、一般的な意味において法的効力を有するディクリーであるが、制定法または憲法に優越することはなく、司法審査の対象となる。各州の知事も州知事令英語版を発することができる。

その他の用例

法域によっては、裁判官による裁判所命令英語版がディクリーと呼ばれることがある(例:離婚ディクリー)。

脚注

出典

  1. ^ Documents of the Second Vatican Council”. www.vatican.va. 2019年2月6日閲覧。
  2. ^ Senato della Repubblica. “COSTITUZIONE ITALIANA EDIZIONE IN LINGUA GIAPPONESE” (pdf). p. 40. 2021年11月22日閲覧。
  3. ^ Buonomo, Giampiero (2000). “Sanatoria del condono decaduto: a favore dei centri di recupero ma a rischio di incostituzionalità”. Diritto&Giustizia Edizione Online. https://www.questia.com/projects#!/project/89286997. [リンク切れ]
  4. ^ Lehman, Jeffrey; Phelps, Shirelle (2005). West's Encyclopedia of American Law, Vol. 4 (2 ed.). Detroit: Thomson/Gale. p. 38. ISBN 9780314201577 
  5. ^ Matulewska, Aleksandra (1 June 2016). “Semantic Relations between Legal Terms. A Case Study of the Intralingual Relation of Synonymy”. Studies in Logic, Grammar and Rhetoric 45 (1): 161–174. doi:10.1515/slgr-2016-0022. 

参考文献

  • Executive decree authority, John M. Carey and Matthew Soberg Shugart, Eds., Cambridge University Press, 1998, ISBN 0-521-59722-6

関連項目

外部リンク



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ディクリー」の関連用語

ディクリーのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ディクリーのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
実用日本語表現辞典実用日本語表現辞典
Copyright © 2025実用日本語表現辞典 All Rights Reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのディクリー (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS