セスナ 206とは? わかりやすく解説

セスナ 206

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/04 04:08 UTC 版)

セスナ 206H ステーショネア

セスナ 206(Cessna 206)は、セスナ社が開発した6座席の単発プロペラ軽飛行機

本項では、系列機であるセスナ 205セスナ 207についても解説する。

概要

セスナ 205A(210-5A)
セスナ 207

セスナ 205

セスナ 205は、セスナ C210に固定式降着装置を取り付けキャビンを6座席としたモデルで、当初はモデル 210-5と呼ばれていた。愛称はスーパースカイワゴン(Super Skywagon)。1962年1月15日に初飛行し、同年8月に機体の引き渡しが開始されたが、あまり人気を得ることができず、早々に改良型のセスナ 206に生産が切り替えられた。生産数は576機。

セスナ 206

1964年に登場したセスナ 206は、205のエンジンを強化し、尾翼やフラップの大型化、貨物ドアの追加などの改良を行ったモデルである。その後しばらくは汎用型のU206シリーズと旅客型のP206シリーズに分けられて生産され、前者は205と同様スーパースカイワゴンと呼ばれたが、後者はスーパースカイレーン(Super Skylane)という別の愛称が与えられた。

1971年に登場したU206Fからはステーショネア(Stationair)と愛称が変更され、少しずつ改良が加えられて現在も生産が続いている。生産数は6,500機以上。

セスナ 207

セスナ 207は、206の胴体を延長して7座席としたモデルで、1968年5月11日に初飛行した。愛称は当初スカイワゴン(Skywagon)だったが、後にステーショネア7に変更されている。1980年には8座席としたステーショネア8も登場している。1985年に生産終了。

派生型

205シリーズ
205(210-5)
初期型。エンジンはコンチネンタル製IO-470-S(260hp)を搭載。
205A(210-5A)
細部に改良を加えた型。
206シリーズ
206
205の改良型。エンジンをIO-520-A(285hp)に強化し、尾翼やフラップなどを改良。275機生産。
U206
U206シリーズ最初のモデル。162機生産。
P206
P206シリーズ最初のモデル。貨物ドアがなく、豪華な機内内装、先端が尖ったスピナー、スパッツ付きの車輪などが装備された。160機生産。
U206A/P206A
改良型。U206Aは219機、P206Aは146機生産。ターボチャージャー付きTSIO-520-Cエンジン(285hp)搭載モデルはTU206A/TP206Aと呼ばれる。
U206B/P206B
新設計の計器盤を採用。U206Bは258機、P206Bは113機生産。TSIO-520-Cエンジン搭載モデルはTU206B/TP206Bと呼ばれる。
U206C/P206C
細部に改修が加えられた。U206CのみエンジンをIO-520-F(300hp)に変更。U206Cは319機、P206Cは100機生産。TSIO-520-Cエンジン搭載モデルはTU206C/TP206Cと呼ばれる。
U206D/P206D
U206C/P206Cからの変更点はほとんどなし。TSIO-520-Cエンジン搭載モデルはTU206D/TP206Dと呼ばれる。
U206E/P206E
機首が下がったような形状になったが、P206EはP206Dと同じ形状が残されている。U206Eは243機、P206Eは44機生産。TSIO-520-Cエンジン搭載モデルはTU206E/TP206Eと呼ばれる。
U206F ステーショネア
三翅プロペラの採用、主翼にキャンバー付き前縁の取り付け、着陸灯の設置、手荷物室の拡大などの改良が施された。1,820機生産。TSIO-520-Cエンジン搭載モデルはTU206F ターボ・ステーショネア(Turbo Stationair)と呼ばれる。
U206G ステーショネア6
3,499機生産。コンチネンタル製TSIO-520-Mエンジン搭載モデルはTU206G ターボ・ステーショネア6と呼ばれる。
206H ステーショネア
現在生産中。エンジンをライカミング製IO-540-AC1A5(300hp)に変更。ターボチャージャー付きTIO-540-AJ1Aエンジン(310hp)搭載モデルはT206H ターボ・ステーショネアと呼ばれる。
207シリーズ
207 スカイワゴン
206Dを元に胴体を延長した7座席型。362機生産。ターボチャージャー付きTSIO-520-Gエンジン(300hp)搭載モデルはT207 ターボ・スカイワゴン(Turbo Skywagon)と呼ばれる。
207A スカイワゴン/ステーショネア7
より大直径のプロペラを採用。426機生産。ターボチャージャー付きTSIO-520-Mエンジン(310hp)搭載モデルはT207A ターボ・スカイワゴン/ターボ・ステーショネア7と呼ばれる。8座席型はステーショネア8/ターボ・ステーショネア8と区別される。

採用国(軍用)

アルゼンチン
ボリビア
 コロンビア
 チリ
ジブチ
2024年時点で、ジブチ空軍が1機のU206Gを保有[1]
ドミニカ共和国
2024年時点で、ドミニカ共和国空軍が1機のセスナ206、1機のセスナ207を保有[2]
エクアドル
2024年時点で、エクアドル陸軍が1機のセスナ206を保有[3]
ガイアナ
インド
イスラエル
第100飛行隊で運用された。
マダガスカル
2023年時点で、マダガスカル空軍が5機のセスナ206を保有[4]
メキシコ
マレーシア
パラグアイ
2024年時点で、パラグアイ空軍が2機のU206 ステーショネアを保有[5]
ペルー
フィリピン
スリナム
スリナム国軍がU206を運用[6]。退役済み[7]
ウルグアイ
ベネズエラ

諸元(U206G ステーショネア6)

Cessna TU206A Super Skywagon
  • 全長:8.61 m
  • 全幅:10.92 m
  • 全高:2.83 m
  • 翼面積:16.16 m2
  • 空虚重量:860 kg
  • 最大離陸重量:1,633 kg
  • エンジン:コンチネンタル IO-520-F 水平6気筒ピストンエンジン(300hp) × 1
  • 最大速度:290 km/h=M0.24(海面高度)
  • 巡航速度:272 km/h=M0.22(高度6,500 ft
  • 実用上昇限度:4,510 m
  • 航続距離:1,667 km
  • 乗客:最大5名
  • 乗員:1名

脚注

  1. ^ IISS 2024, p. 488.
  2. ^ IISS 2024, p. 430.
  3. ^ IISS 2024, p. 431.
  4. ^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語). The Military Balance 2023. Routledge. p. 461. ISBN 978-1-032-50895-5 
  5. ^ IISS 2024, p. 446.
  6. ^ IISS 2004.
  7. ^ IISS 2024, p. 450.

参考文献

  • The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2004-10-01) (英語). The Military Balance 2004-2005. Routledge. ISBN 0-19-856622-0 
  • The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2024) (英語). The Military Balance 2024. Routledge. ISBN 978-1-032-78004-7 
  • 分冊百科「週刊 ワールド・エアクラフト」No.92 2001年 デアゴスティーニ

外部リンク


セスナ 206

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/22 01:49 UTC 版)

「セスナ 206」の記事における「セスナ 206」の解説

1964年登場したセスナ 206は、205エンジン強化し尾翼フラップ大型化貨物ドア追加などの改良行ったモデルである。その後しばらくは汎用型U206シリーズ旅客型P206シリーズ分けられ生産され前者205と同様スーパースカイワゴンと呼ばれたが、後者はスーパースカイレーン(Super Skylane)という別の愛称与えられた。 1971年登場したU206Fからはステーショネア(Stationair)と愛称変更され少しずつ改良加えられて現在も生産続いている。生産数は6,500機以上。

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