ストックホルム‐ごうい〔‐ガフイ〕【ストックホルム合意】
ストックホルム合意
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ストックホルム合意(ストックホルムごうい)は、2014年5月28日にストックホルムで開かれた日本国と北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の間の政府間協議で確認された合意[1][2]。
概要

2014年(平成26年)5月26日から28日まで、スウェーデンのストックホルムで第3回日朝政府間協議が開催された[1][2]。日本側代表は伊原純一アジア大洋州局長、北朝鮮側代表は宋日昊外務省大使であった[1]。
北朝鮮政府は、「日本人拉致問題は既に解決済み」としてきた従来の立場をやや改めて、新たに「特別調査委員会」を設置し、拉致被害者を含むすべての日本人行方不明者の全面的な再調査を行うことを約束し、日本政府は、その代わりに独自の制裁措置(国連安全保障理事会決議に関連して取っている措置を含まない)の一部を解除することで合意した[2][3][4]。合意内容は、2014年5月29日に発表された[1][注釈 1]。
しかし、2016年1月6日の北朝鮮による核実験と同年2月7日の弾道ミサイル発射によって、日本政府が再び独自制裁を決定すると、同年2月12日、北朝鮮は調査の中止と特別調査委員会の解体を一方的に発表した[2][4]。
合意内容

日本側が取るべき行動措置は以下の通り[3]。
- 北朝鮮側と共に、2002年9月の日朝平壌宣言に則って、不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し,国交正常化を実現する意思を改めて明らかにし,日朝間の信頼を醸成し関係改善を目指すため,誠実に臨むこと
- 北朝鮮側が包括的調査のために特別調査委員会を立ち上げ、調査を開始する時点で、人的往来の規制措置、送金報告及び携帯輸出届出の金額に関して北朝鮮に対して講じている特別な規制措置、及び人道目的の北朝鮮籍の船舶の日本への入港禁止措置を解除すること
- 日本人の遺骨問題については、北朝鮮側が遺族の墓参の実現に協力してきたことを高く評価し、北朝鮮内に残置されている日本人の遺骨及び墓地の処理、また墓参について、北朝鮮側と引き続き協議し、必要な措置を講じること
- 北朝鮮側が提起した過去の行方不明者の問題について、引き続き調査を実施し、北朝鮮側と協議しながら、適切な措置を取ること
- 在日朝鮮人の地位に関する問題については、日朝平壌宣言に則って、誠実に協議すること
- 包括的かつ全面的な調査の過程において提起される問題を確認するため、北朝鮮側の提起に対して、日本側関係者との面談や関連資料の共有等について、適切な措置を取ること
- 人道的見地から、適切な時期に、北朝鮮に対する人道支援を実施することを検討すること

北朝鮮側が取るべき行動措置は以下の通り[3]。
- 1945年前後に北朝鮮域内で死亡した日本人の遺骨及び墓地、残留日本人、いわゆる日本人配偶者、拉致被害者及び行方不明者を含む全ての日本人に関する調査を包括的かつ全面的に実施すること
- 調査は一部の調査のみを優先するのではなく、全ての分野について、同時並行的に行うこと
- 全ての対象に対する調査を具体的かつ真摯に進めるために、特別の権限(全ての機関を対象とした調査を行うことのできる権限)が付与された特別調査委員会を立ち上げること
- 日本人の遺骨及び墓地、残留日本人並びにいわゆる日本人配偶者を始め、日本人に関する調査及び確認の状況を日本側に随時通報し、その過程で発見された遺骨の処理と生存者の帰国を含む去就の問題について日本側と適切に協議すること
- 拉致問題については、拉致被害者及び行方不明者に対する調査の状況を日本側に随時通報し、調査の過程において日本人の生存者が発見される場合には、その状況を日本側に伝え、帰国させる方向で去就の問題に関して協議し、必要な措置を講じること
- 調査の進捗に合わせ、日本側の提起に対し、それを確認できるよう、日本側関係者による北朝鮮滞在、関係者との面談、関係場所の訪問を実現させ、関連資料を日本側と共有し、適切な措置を取ること
- 調査は迅速に進め、その他、調査過程で提起される問題は様々な形式と方法によって引き続き協議し、適切な措置を講じること
これらについて、日朝両国は速やかに具体的な措置を実行に移し、そのために緊密に協議していくことで合意した[3]。
合意後の動き
日朝政府間協議(2014年7月:北京)
ストックホルム合意を踏まえ、2014年7月1日、中華人民共和国北京市で局長級の日朝政府間協議が開かれた[4][5]。この協議では、北朝鮮側から、特別調査委員会の組織、構成、責任者等に関する説明があり、日本側は主に、この特別調査委員会に全ての機関を対象とした調査を行うことのできる権限が適切に付与されているかという観点から、集中的に質疑を行った[5]。
北京での協議を受けて日本政府(第2次安倍内閣)は7月3日、安倍晋三内閣総理大臣、菅義偉内閣官房長官、岸田文雄外務大臣、古屋圭司拉致問題担当大臣による4大臣会合および国家安全保障会議(9大臣会合)を開いて、北朝鮮の設置する特別調査委員会が実効性をともなう調査を実施するための一定の体制を整えているものと判断し、調査が開始された時点での、北朝鮮への制裁措置の一部(人的往来の規制措置並びに支払報告及び支払手段等の携帯輸出届出の下限金額の引下げ措置)の解除と人道目的の北朝鮮籍船舶の入港を認めることとした[5][6][7]。
7月4日、北朝鮮側は、朝鮮中央通信など公式メディアを通じて、特別調査委員会の権限、構成、調査方法等について、日本側の理解と同趣旨の内容を国内外に発表し、拉致被害者を含む全ての在朝日本人について調査を開始することを公表した[5][6]。同日、日本政府は閣議を経て、北朝鮮に対してとっている措置の一部を解除した[6]。
ここにおいて日本側が高く評価したのは、特別調査委員会のトップである委員長に、国防委員会参事と国家安全保衛部(現、国家保衛省)副部長を兼職する徐大河が就任したことであった[7]。軍と秘密警察という北朝鮮の最高権力機関の関与が保証されたことで、「北朝鮮は本気で再調査に取り組むつもりだ」との期待が広がったのである[7]。拉致被害者の家族をはじめ日本国民の期待もふくらんだ。
報告遅延の通告
2014年9月18日、北朝鮮側が初回の報告が予定された「夏の終わりから秋の初め頃」よりも遅れることを日本側へ通報してきた[7]。7月以降、日朝両国は公式・非公式に複数回接触し、話し合ってきたが、北朝鮮側は報告時期も定まらなかった[7]。菅義偉官房長官は、翌9月19日、記者会見を開き、報告の通報に関する日本側の照会に対して、北朝鮮側から「特別調査委員会は全ての日本人に関する調査を誠実に進めている。調査は全体で1年程度を目標としており、現在はまだ初期段階にある。現時点でこの段階を越えた説明を行うことはできない」旨の回答があったことを明らかにした[7]。報告の延期は、日本国内の対北朝鮮世論を硬化させ、なかには解除した制裁の復活を主張する声もあらわれた[7]。
日朝外交当局者間会合(2014年9月:瀋陽)
9月29日、中国の瀋陽市で開かれた日朝外交当局間会合では、北朝鮮から調査の現状について説明を受けた[5]。会合は4時間半におよび、このなかで日本側は「北朝鮮側が拉致被害者を始めとする全ての日本人に関する包括的かつ全面的な調査を迅速に行い、その結果を速やかに通報すべきこと」を強く求めた[5]。その際、日本側としては「全ての分野における調査が重要ではあるが、とりわけ、拉致問題が最重要課題であると考えている」ことを強調した[7]。北朝鮮側からは、現段階では日本人の一人ひとりに関する具体的な調査結果を通報することはできないが、日本側が平壌市を訪問し、直接特別調査委員会のメンバーと面談すれば調査の現状についてより明確に聴取できるであろうという説明があった[5]。
特別調査委員会との協議(2014年10月:平壌)
2014年10月28日、29日の2日間、伊原純一アジア大洋州局長をはじめとする日本政府担当者は、平壌において特別調査委員会と協議を行った[4][5][7]。
日本側は、「拉致問題が最重要課題であること」を繰り返し伝えるともに、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国、拉致に関する真相究明並びに拉致実行犯の引渡しが必要であること、政府認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者を発見し、一刻も早く安全に帰国させることを求めていることを伝達した[5][7]。また、調査が「透明性及び迅速性」を持って行われること、日本側が「徹底的な検証を行う」ことも伝え[7]、調査の結果を一刻も早く日本側に通報するよう、北朝鮮側に強く求めた[5]。
北朝鮮側からは、「委員会及び支部の構成といった体制や、証人や物証を重視した客観的・科学的な調査を行い、過去の調査結果にこだわることなく新しい角度からくまなく調査を深めていく」方針であることの説明があった[5][7]。また、「調査委員会は、北朝鮮の最高指導機関である国防委員会から特別な権限を付与されており、特殊機関に対しても徹底的に調査を行う」との説明があった[5][7]。
協議は2日間で10時間以上に及び、日本側は、特別調査委員会の4つの分科会(拉致被害者、行方不明者、日本人遺骨問題、残留日本人・日本人配偶者)から説明を受け、質疑を行った[7]。
拉致問題について北朝鮮側は、個別に入境の有無や経緯、生活環境等を調査しており、拉致被害者が滞在していた「招待所」跡等の関連場所を改めて調査するとともに、新たな物証・証人等を探す作業を並行して進めているとの説明があった[5]。伊原局長は「(訪朝の目的の)趣旨に沿った形での説明はあった」と述べたものの、北朝鮮側は日本人遺骨問題の調査が終了したと一方的に通告するなど、双方の主張・立場の懸隔が露わになる場面もあったという[7]。それでも日本側は、徐大河委員長が最高指導部とつながっていることを確認できたとして平壌での協議を前向きに捉えた[7]。
対話と圧力
それまで「対話と圧力」の姿勢によって、拉致問題について交渉し、ストックホルム合意によって「拉致問題は解決済み」との従来の見解を見直させた安倍晋三首相は、政府訪朝団から報告を受けた10月30日夜、『読売新聞』に対し「拉致問題の解決に向けた日本の強い決意を先方に伝えた。北朝鮮の最高指導部に伝えたわけだ」と述べた[7]。
しかし、「拉致問題については、拉致被害者及び行方不明者に対する調査の状況を日本側に随時通報」するとストックホルム合意の合意文書に明記されているにもかかわらず、北朝鮮側からの通報が1度もないまま2014年が過ぎ、2015年に入ってからも合意の履行に関する進捗はなかった[7]。日朝間ではむしろ互いを批判するような動きが目立つようになり、日本国内では、再調査の報告を先延ばしし、不誠実な対応を続ける北朝鮮に対する厳しい見方が強まった[7]。日本政府は、制裁復活・強化を求める国内世論を踏まえて「圧力」の維持を決定する一方、日朝政府間では水面下の接触を続けていた[7]。報道によれば、日朝両国は2015年に入ってからも複数回にわたり非公式協議を行っており、2015年3月2日に北朝鮮が短距離弾道ミサイルを発射し、国内の「圧力」論が高まる中にあっても日本政府が「対話」を維持する姿勢には変化がなかった[7][8]。
再度の遅延連絡
2015年7月2日、北朝鮮側は「全ての日本人に関する包括的調査を誠実に行ってきたが今しばらく時間がかかる」という調査遅延の連絡を再度日本側にしてきた[7]。菅官房長官は翌日の記者会見で「具体的な行動を引き出すのに何が一番効果的か、あらゆる検討を行っている。いつまでも引き延ばしていくわけにはいかない」と述べたが、その後も北朝鮮側からの肯定的な動きはなかった[7]。
同年8月6日、ASEAN地域フォーラムの機会を利用して、岸田文雄外相と北朝鮮の李洙墉外相による日朝外相会談が行われたが、北朝鮮側からは「ストックホルム合意に基づき特別調査委員会は調査を誠実に履行している」との応答があっただけであった[7]。日本政府は、李洙墉外相が金正恩朝鮮労働党第一書記と近い関係にあると見ていたが、その後も合意履行の進展はみられなかった[7]。
特別調査委員会の解体(2016年2月)
2016年1月6日、北朝鮮は核実験を行い、同年2月7日、「人工衛星」と称する弾道ミサイル(「光明星」)の発射を行った[2][5]。これに対し、日本政府が再び北朝鮮に独自の対北朝鮮制裁を強化することを決定すると、同年2月12日、北朝鮮は包括的調査の全面中止と特別調査委員会の解体を一方的に宣言した[2][5][注釈 2]。
日本は北朝鮮に対し厳重に抗議したうえで、ストックホルム合意を破棄する考えはないこと、北朝鮮が同合意に基づいて一日も早く全ての拉致被害者を帰還させるべきことについて、強く要求した[5]。

2017年11月6日、迎賓館赤坂離宮にて
その後も日本政府は北朝鮮に対し、日本の基本的な考えを繰り返し伝えている[5]。2018年2月の平昌冬季オリンピック開会式の際の文在寅韓国大統領主催レセプション会場において、安倍晋三首相は金永南最高人民会議常任委員長に対し、拉致問題、核問題、ミサイル問題を取り上げて日本側の意向を伝え、特に拉致被害者の全員帰国を含め、拉致問題の解決を強く申し入れた[5]。
また、ドナルド・トランプアメリカ合衆国大統領は、安倍首相からの要請を受け、2018年6月(シンガポール)と2019年2月(ハノイ)の2度にわたって開かれた米朝首脳会談において北朝鮮の金正恩第一書記に対して拉致問題を直接取り上げた[5]。しかし、北朝鮮の公式メディアは、米朝首脳会談で拉致問題が提起された後も「拉致問題は解決済み」という主張を続けている[10]。
ストックホルム合意とは何だったのか
以上みてきたように2014年5月に合意されたストックホルム合意は、結局1つの「随時通報」もなく、拉致問題に関して何ら成果を上げることができなかった。これについて、2016年3月28日、第190回国会(常会)において民進党の松原仁衆議院議員が政府に対し、「菅官房長官は、北朝鮮の調査委員会による調査が1年を超えることはないと説明したが、政府は1年を経過した時点で、一部解除した対北朝鮮制裁措置を再び科すことをしなかった」ことなどと指摘し、調査期限についての質問と「なぜ政府はこの期に及んでストックホルム合意を破棄しないのか」という質問を行った[11]。これに対し、安倍首相は「合意を破棄するつもりはない」と答弁した[12]。
北朝鮮は2002年の日朝首脳会談で日本人拉致を認め、被害者5人が帰国したが、残された被害者については「死亡した。後は関知していない」と説明し、横田めぐみと松木薫に関しては、のちに「死亡診断書」や「遺骨」の捏造まで行われた[13]。ストックホルム合意では同じ轍を踏まないよう政府に訴えていた横田早紀江(めぐみの母)は、「真意がどこにあるか理解できない。ストックホルム合意とは一体、何だったのか…」との感想をもらした[13]。
北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(通称「家族会」)代表の飯塚繁雄(田口八重子の兄)は、合意内容について「拉致被害者を帰す明確な項目がない」と疑義を呈し、「このままでは『茶番劇』とそしりを受けても仕方ない」と指摘した[13]。
増元照明(増元るみ子の弟)は、ストックホルム合意の前後、北朝鮮に対して国際連合総会で人権侵害を国際刑事裁判所(ICC)に付託するよう勧告する決議案が相次いで採択されていたことから、「最高指導者が人道の罪で名指しされるなど、北朝鮮当局は国際的圧力に強い危機感を持っていた。人権に真剣という姿勢を見せようと、合意に動いたのでは」と推測する一方、「進展がないのに、日朝平壌宣言やストックホルム合意にこだわり続けるのは理解できない」とし、北朝鮮を支持する国内団体への厳しい対処のほか「関係者の日本再入国禁止など厳格な『圧力』が必要。日本の意思を、態度で示すべきだ」という意見を表明した[13]。
北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(通称「救う会」)の西岡力は、北朝鮮側では「拉致被害者を帰さなくても日本からカネや物、経済支援をとれる。金正恩朝鮮労働党委員長はそう報告を受け決裁を下した」と推測する一方、日本側も拉致被害者帰国という「具体的成果を見込んだ」結果、双方がたがいの意図を理解せず、合意を公表したという見方を示した[13]。そして、「北朝鮮が被害者全員を帰す決断のない合意に意味はなかった」「調べたら実はまだ被害者がいたというエクスキューズを北朝鮮に与え『出口』とすることにのみ合意の意味がある」との考えを示した[13][注釈 3]
自身拉致被害者である蓮池薫は、拉致被害者の安否確認について、「北朝鮮は調査すると言うが、どこに誰が暮らしているかはすべて把握しているので必要ない」と指摘している[14][注釈 4]。
2017年4月、宋日昊(朝日国交正常化交渉担当大使)は、平壌訪問中の日本人記者団に対し、日本の要望があれば残留日本人問題に取り組む用意があるとした上で、拉致問題について「誰も関心がない」と言い切った[13]。こうした発言や繰り返される「拉致は解決済み」発言などには、日本と協議することによって多額の過去清算資金を得たいという思惑がみえるとの指摘がある[10][13]。西岡力は、北朝鮮は、拉致についてゼロ回答では日本からカネを取れないことを理解しているが、一方、秘密を知っている横田めぐみたちを生きて返したくないという諜報サイドの企みもあり、今後はいっそう対日工作活動を本格化させるだろうと予測した[10]。具体的には「国交正常化後に拉致問題を解決」という意見や「平壌に連絡事務所を置いて日朝合同調査をおこなう」という意見を表明する政治家・官僚が日本国内にいることで、連絡事務所を作って日朝が合同調査をすることは、2002年に北朝鮮が発表した「被害者死亡」の確認作業をするのに等しい行為であると西岡は指摘している[10]。
なお、石破茂は内閣総理大臣就任(2024年)以前より、拉致問題解決のために東京と平壌に連絡事務所を置くことを提案しているが[10]、その是非に対して、産経新聞は2025年7月にアンケートを行っている[15]。これによれば、事務所設置に賛成したのは、日本共産党、れいわ新選組、社会民主党、みんなでつくる党、再生の道の5党派、事務所設置に反対が立憲民主党、国民民主党、参政党、日本維新の会、日本保守党、NHK党の6党派で、自由民主党と公明党は「その他(家族に寄り添うべき)」であった[15][16]。
脚注
注釈
- ^ この政府間協議では、いわゆる「ストックホルム合意」以外で、北朝鮮側からは、改めて在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)本部の不動産競売問題に関して強く懸念するとの声があがり、それに対し、日本側からは現段階の、裁判所により進められている手続について説明した[1]。また、日本側から、北朝鮮による核・ミサイル開発及び地域・朝鮮半島の緊張を高めるような挑発行動について、北朝鮮の自制を求め、日朝平壌宣言、関連国連安保理決議、六者会合の共同声明等国際的な取り決めやルールを守るよう求めた[1]。
- ^ 在日本朝鮮人総聯合会は2月12日、「北朝鮮の脅威を煽り、在日朝鮮人の生活を不当に規制する暴挙だ」との声明を発し、規制強化の撤回を要求し、「ストックホルム合意を一方的に破棄する行為である」として今後の悪影響を指摘した[9]。
- ^ 政府に拉致被害者と認定されていない特定失踪者(北朝鮮による拉致の可能性を排除できない失踪者)の家族は、従前被害者の家族とともに活動してきたが、ストックホルム合意以降も進展がみられない状況に対する焦慮がある[13]。2017年5月に結成された特定失踪者家族会会長の大沢昭一(大沢孝司の兄)は「被害者が忘れ去られ、拉致問題が幕引きされることが非常に心配」と発言し、啓発活動やICCに拉致問題の実行責任者処罰を働きかける運動をおこなう意向を示した[13]。特定失踪者問題調査会(通称「調査会」))代表の荒木和博は「民間レベルでも局面打開の動きにつなげられれば」と希望を述べる一方、「合意には完全に裏切られた。家族の置かれた状況は前よりひどくなった」と発言している[13]。
- ^ 蓮池薫は、日本政府に対しては「核問題やミサイル問題もあるが、同一にせず拉致を最優先にして解決してもらいたい。日本の関心が薄れたと思ったら何をするか分からない。必死に『返せ』と言い続けること」が大切であり、北朝鮮の望む経済支援に関連して「犯罪者に何の見返りか、というのは正論だが、食糧支援など核やミサイルに使われない形での見返りも必要になる」と述べ、被害者の帰還を最優先として「見返り」を含めた交渉の推進を提案している[14]。
出典
- ^ a b c d e f “日朝政府間協議(概要)”. 外務省 (2014年5月30日). 2025年8月22日閲覧。
- ^ a b c d e f “ねほりはほり聞いて! 政治のことば”. NHK/NHK政治マガジン. 2025年8月22日閲覧。
- ^ a b c d “合意内容”. 外務省. 2025年8月22日閲覧。
- ^ a b c d 蓮池(2025)巻末年表p.3
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s “拉致問題をめぐる日朝間のやり取り”. 外務省 (2024年3月13日). 2025年8月22日閲覧。
- ^ a b c “日朝政府間協議/特別調査委員会と日本の対北朝鮮措置の一部解除”. 外務省 (2014年7月4日). 2025年8月22日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y 西野純也. “第9章 日朝協議の再開、合意、そして停滞/拉致問題再調査をめぐる日本の対北朝鮮政策”. 日本国際問題研究所. 2025年8月22日閲覧。『朝鮮半島のシナリオ・プランニング』(2015年3月)pp.93-104
- ^ “北、日本海へ"短距離弾道ミサイル"発射”. 日本テレビ (2015年3月2日). 2025年8月22日閲覧。
- ^ “北朝鮮への独自制裁強化に、朝鮮総連が反発”. 日本テレビ (2016年2月2日). 2025年8月22日閲覧。
- ^ a b c d e “★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2018.08.06)日朝「拉致」合同調査に反対せよ”. 北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会. 2025年8月22日閲覧。
- ^ “ストックホルム合意に関する質問主意書(提出者:松原仁)”. 衆議院/質問本文情報. 2025年8月22日閲覧。
- ^ “衆議院議員松原仁君提出ストックホルム合意に関する質問に対する答弁書(内閣総理大臣安倍晋三)”. 衆議院/答弁本文情報. 2025年8月22日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k “拉致被害者を帰さなくてもカネとれると金正恩氏が決裁か 日本が裏切られたストックホルム合意とは何だったのか”. 産経新聞社 (2017年6月3日). 2025年8月22日閲覧。
- ^ a b “拉致被害者、蓮池薫さん講演会「命以外すべて奪われた」「北に見返り必要」 南あわじ市議会議員公開研修会”. 産経WEST. 産経新聞社 (2016年8月24日). 2025年8月22日閲覧。
- ^ a b “石破茂首相主張の「日朝連絡事務所」に賛否拮抗、自公は明示せず 参院選拉致アンケート”. 産経新聞社 (2025年7月18日). 2025年8月22日閲覧。
- ^ “★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2025.08.04) 拉致が無風だった参院選”. 北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会. 2025年8月22日閲覧。
参考文献
- 蓮池薫『日本人拉致』岩波書店〈岩波新書〉、2025年5月。ISBN 978-4-00-432064-7。
関連項目
外部リンク
- ストックホルム合意のページへのリンク