さんざしとは? わかりやすく解説

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さんざ‐し【山査子/山×樝子】

読み方:さんざし

バラ科落葉低木。よく枝分かれしとげがある丸みのあるくさび形で縁に粗いぎざぎざがある。春、白い花をつけ、実は黄色または赤色熟し薬用中国原産で、庭木にする。《 花=春


さんざし 【山査子】

バラ科落葉低木中国原産庭木として栽培キリストの荊冠はこの木で作られたと伝説にある。冠をかぶせられたとき飛び散ったキリストの血は山査子を清めたとして、この木は厄除とされ、健康の女神カルナ(Carna)の聖木ともするカルナ新生児の血を吸う魔追い払うので、揺りかごにこの小枝をさす風習生まれたアリマタヤのヨセフ聖杯運んだとき、この木の地面刺して休んだところ、根づいて花開いたという。花言葉は「希望」。

サンザシ

(さんざし から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/28 14:09 UTC 版)

サンザシ
サンザシ(キミサンザシ)の花
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: バラ目 Rosales
: バラ科 Rosaceae
: サンザシ属 Crataegus
: サンザシ C. cuneata
学名
Crataegus cuneata Siebold et Zucc.[1]
英名
haws
Japanese hawthorn

サンザシ(山査子[2]、山樝子[3]、山楂子[4]学名: Crataegus cuneata)は、バラ科サンザシ属の落葉低木。別名では、サモモ[1]ともよばれる。中国中南部の原産[5]。日本には江戸時代、八代将軍吉宗治世の1734年に中国から薬用の樹木として小石川御薬園に持ち込まれて[2]、その後は庭木盆栽として栽培されている[5][6]

名称

中国植物名は野山楂(やさんざ)[7]。中国では、漢名を山樝(さんざ)としたので、音読して和名ができ「山査子」と書かれた[8]

英語名でホーソーン(Hawthorn)というが、ホーは垣根を意味する古い英語 haga に由来し、ソーンはを意味する[9]

特徴

サンザシの偽果(筑波実験植物園

落葉広葉樹低木[6]、樹高は1.5 - 3メートル (m) になり[5][8]、枝分かれをして[8]、小枝には短枝が変形した長さ2 - 8ミリメートル (mm) の刺がある[5][6]。葉は長さ3 - 8 mmの倒卵形で、基部は楔型、葉縁に粗い鋸歯があり、葉の上部は浅く3 - 5裂する[5][6]

花期は春(4 - 5月)[5]、新葉と共に枝先に白い5花弁の花を咲かせる[6][8]。花は、独特な爽快な甘い香りがする[9]果実は球形の偽果で、秋に黄色から赤色に熟して目立つ[6][8]。果実の頂は窪んでが残存したまま熟し、特異な匂いで、酸味があって食用になる[5][6]

挿し木が難しく、カリンやサンザシの台木を使ったつぎ木苗が販売されている。増やす場合、家庭では種で増やす。なお、園芸品種は種から育てると親と同じ花は咲かない。また、八重咲きの品種は結実しない。

10月上旬から11月下旬に熟した果実を採取し、水で洗って果肉を完全に取り除き、種だけにする。種は、乾燥させると発芽能力がなくなるので、すぐに赤玉土小粒などにまいて、厚さ1cmほど覆土する。種をまいた容器は戸外に置き、乾かさないように管理すれば、春に発芽する[10]

利用

サンザシを含む菓子

庭木盆栽として、花や果実が鑑賞されている[5]実生挿し木取り木などで繁殖できる[6]。樹勢は強健で、寒地にも耐えるため栽培しやすい[6]

熟すると赤くなる果実生薬になり、山査子(さんざし)とよばれる[6]果実酒ドライフルーツなどの用途がある。果実が黄色に熟するものをキミノサンザシ (C. cuneata f. lutea) という。

果実(偽果)には、オレアノール酸。フラボノイドクエルシトリンクエルセチンタンニンクロロゲン酸を含むほか、豊富なビタミンCも含んでいる[8]。オレアノール酸やクエルセチンは利尿作用があると言われている[8]。果実の赤や黄色の色素はカロテンプロビタミンA)によるもので、体内に入り消化されるとビタミンAに変化する[8]

生薬

サンザシや近縁のオオミサンザシ(C. pinnatifida)の干した果実は、生薬名で山査子/山楂子(さんざし)といい、健胃、整腸、消化吸収を助ける作用があると考えられている[6][8]。秋(9 - 10月ころ)に完熟前の果実を採取して核を取り除き、天日で乾燥して作られる[11][8]漢方としては高血圧健胃効果があるとされ[2]、加味平胃散(かみへいいさん)、啓脾湯(けいひとう)などの漢方方剤に使われる[8]

民間では、食べ過ぎでも油ものや肉を消化してくれる薬草として用いられ[11]健胃消化、軽い下痢に、山査子1日量5 - 8グラム200 - 600 ccでとろ火で半量に煎じ、1日に食間3回、温かいうちに服用する用法が知られている[6][8]二日酔い食あたりに同様の煎じ汁を飲むのもよいと言われている[8]

近縁種のセイヨウサンザシC. oxyacantha)の果実や葉は、ヨーロッパではハーブとして心悸亢進、心筋衰弱などの心臓病に使われる。

飲用・調理用

果実は生食もできるが、完熟しても酸味が強く、そのままでは食べにくい[8]。生の果実は、種子を取り除いて3倍量のホワイトリカーに付け込んで冷暗所に置き、果実酒にすることができる[6]。味は甘酸っぱく、一部の中華料理店などでは、中国酒として提供されている。獣肉や魚肉を煮て調理する際に、サンザシ果実を数個入れて煮ると、肉が柔らかくなる[6]。果実を輪切りにして日干しした山査子片を2 -3個ほどカップに入れて、砂糖や蜂蜜を加えて熱湯を注いで、酸味と芳香を楽しむ飲用の仕方もある[8]

ドライフルーツ

果実を潰して、砂糖寒天などと混ぜ、棒状に成形して乾燥させたものが多い。中国では、「山査子餅」(シャンジャーズビン)(Haw flakes)という円柱状に成形した後、薄くスライスして10円玉のような形状にしたものも多く、酢豚の様な料理に入れる場合もある。

ほかにも、果実をそのまま種子抜きして乾燥させ麦芽糖などでコーティングしたものもあり、この場合に限り含有成分から厚生省認可基準「ビタミンC含有栄養機能食品」にあたり表記ができる。

菓子

中国では「山楂餅」のほか、「山楂糕」(シャンジャーガオ)という平たい羊羹状の菓子も作られている。中国ではこの菓子を酢豚の酸味付けに使うこともある。

また中国では全体に大きい種のオオサンザシを生食用に栽培していて、竹串などに刺して、糖蜜蜂蜜をかけた「冰糖葫芦」(ビンタンフール)という、りんご飴の様な駄菓子も街角で売られている[8]

サンザシをテーマにした作品

脚注

  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Crataegus cuneata Siebold et Zucc.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2025年5月13日閲覧。
  2. ^ a b c 辻井達一 2006, p. 70.
  3. ^ 日本国語大辞典,動植物名よみかた辞典 普及版, 精選版. “山樝子(さんざし)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2025年5月28日閲覧。
  4. ^ 新村出 編『広辞苑』(第七版)岩波書店、2018年1月12日、1216頁。 
  5. ^ a b c d e f g h 平野隆久監修 1997, p. 121.
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n 馬場篤 1996, p. 57.
  7. ^ 貝津好孝 1995, p. 218.
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 田中孝治 1995, p. 146.
  9. ^ a b 辻井達一 2006, p. 72.
  10. ^ サンザシの育て方・栽培方法”. |植物図鑑|みんなの趣味の園芸. NHK出版. 2025年5月13日閲覧。
  11. ^ a b 貝津好孝 1995, p. 216.

参考文献

外部リンク


さんざし

出典:『Wiktionary』 (2018/07/05 16:26 UTC 版)

異表記・別形

名詞

  (さんざし)

  1. バラ科サンザシ属落葉低木学名:Crataegus cuneata


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