三重県
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/18 00:24 UTC 版)
地理・地域
三重県は南北の長さは約170km、東西の幅は80kmと、細長い形をしている。伊勢平野をはじめとする平野部から、鈴鹿山脈などの山脈、青山高原などの高地、盆地、低地など様々な地形を有する。北側の愛知県や岐阜県、南側の和歌山県など、6府県と隣接する。伊勢湾から松阪市飯高町にかけて中央構造線が通っており[7]、飯高町月出では大規模な露頭が見つかっている。2002年に「月出の中央構造線」として国の天然記念物に指定された。2007年には長野県大鹿村とともに日本の地質百選「中央構造線(月出)」に選定された。
- 東 - 伊勢平野が広がっており、東側には伊勢湾と熊野灘が開けている。
- 西 - 鈴鹿山脈・信楽山地・台高山脈および紀伊山地を隔てて、滋賀県、京都府、奈良県、和歌山県と接する。但し奈良県との県境は険しい山々に阻まれ直接往来ができない自治体が多い(松阪市→川上村、紀北町→上北山村、熊野市→十津川村など)。また、京都府との県境は僅か3km程度であり、県境部は関西本線や国道163号が通っているが、往来はあまり便利ではない。布引山地の西側には上野盆地が広がる。
- 南 - 熊野川を境に、和歌山県と接している。
- 北 - 養老山地と木曽三川を境に、岐阜県や愛知県と接している。
全国八地方区分では近畿地方に分類される。静岡県、岐阜県、愛知県とともに東海地方とする区分もある。
国土整備行政上は福井県、滋賀県と同様、近畿圏、中部圏のいずれにも含まれている[8]。また伊賀市と名張市の属する伊賀地域を近畿地方(大阪圏)、北勢地域を東海地方(名古屋圏)とする区分もある。
位置
三重県庁(津市) | 東端(鳥羽市) | 西端(熊野市) | 南端(紀宝町) | 北端(いなべ市) | |
経度 | 東経136度30分31秒 | 東経136度59分15秒 | 東経135度51分12秒 | 東経135度58分29秒 | 東経136度31分42秒 |
緯度 | 北緯34度43分49秒 | 北緯34度32分53秒 | 北緯33度51分33秒 | 北緯33度43分22秒 | 北緯35度15分28秒 |
隣接都道府県とその自治体
括弧内はその自治体に隣接する三重県内の自治体。
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地形
- 主な川
- 主な山
鈴鹿山脈:
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養老山地: 布引山地:
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台高山脈:
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その他:
- 主な島
鳥羽市:
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志摩市:
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紀北町: 紀宝町:
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- 湾
- 伊勢湾 - 三重県の北部から中部に面した湾。四日市港など大規模港が存在する。
- 英虞湾 - 志摩市にある湾。真珠の養殖が盛んである。
- 的矢湾 - 志摩市と鳥羽市に囲まれた湾。的矢かきで知られる。
- 五ヶ所湾 - 度会郡南伊勢町にある湾。真珠養殖が盛んである。
- 尾鷲湾 - 尾鷲市に面した湾。重要港湾の尾鷲港がある。
- 熊野灘 - 三重県の志摩市大王崎から和歌山県潮岬にかけての海域の名称
- 賀田湾 - 尾鷲市賀田に面した湾
この他にも、志摩半島南部から熊野市にかけての海岸は、リアス海岸になっているので、多数の湾がある。
- 半島
- 山脈・山地
気候
三重県は南北に長く、長い海岸線を持ち山岳地帯や盆地など多彩な地形を持つため、各地域によって気候がさまざまである。東紀州(南部)は、潮岬からの台風の直撃を受けることが多く「台風銀座」と呼ばれている。伊勢湾沿岸から熊野灘沿岸が太平洋側気候(伊勢湾沿岸は東海型に、熊野灘沿岸は南海型に属する)で、伊賀は内陸性気候(瀬戸内海式気候に含める場合もある。)である[9]。
- 鈴鹿山麓(北部) - 鈴鹿山脈の麓に位置するこの地域(四日市市、桑名市など)は、冬は乾燥した晴天の日が多く、強い冬型の気圧配置になると日本海から流れてくる雪雲の影響で局地的な大雪に見舞われることがある。山間部を除けば、県内で最も雪の多い地域で、いなべ市では、1mの降雪記録もある。
- 上野盆地(伊賀) - 山地を除くと1月の平均気温が約3°Cで、県内では最も寒さの厳しい地域。逆に夏の暑さは場所によっては40℃を超えたという記録がある。鈴鹿山麓地域(北部)と同様、強い冬型の気圧配置や南岸低気圧の通過時になると大雪に見舞われることがある。年降水量は1,300〜1,500mmで県内で最も雨の少ない地域である。年間を通じて霧が多く発生する。
- 伊勢平野(中部、伊勢志摩) - 基本的に温和な気候であるが、中南部はしばしば洪水に見舞われる。(宮川豪雨や津市で記録した時間雨量98mmなど)又、津市では夏になると最低気温が25℃を下回らない熱帯夜の日が多くなる。
- 熊野灘沿岸(紀勢東紀州) - 三重県で最南に位置するため、非常に温暖な地域になっている。又、県内は元より、全国的にも雨の多い地域として有名で、上記でも説明した通り、台風がよく通過する。南四国(高知平野を除く)や九州南東部と似ており、志摩半島海岸では年平均気温は約16℃、年降水量は2000〜2500mmとなっている。特に、尾鷲から大台ヶ原山までの一帯は多雨地帯であり、尾鷲市の年降水量の平均は4,000mm程度に達する(⇒尾鷲の雨を参照)。
気象区分
- 北中部
- 南部
平年値 (月単位) |
北部 | 伊賀 | 中部 | 伊勢志摩 | 紀勢東紀州 | ||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
いなべ市 北勢 |
桑名 | 四日市 | 亀山 | 伊賀市 上野 |
名張 | 津 | 松阪市 粥見 |
伊勢市 小俣 |
鳥羽 | 志摩市 阿児 |
南伊勢 | 大台町 宮川 |
紀北町 紀伊長島 |
尾鷲 | 御浜 | ||
平均 気温 (°C) |
最暖月 | 27.3 (8月) |
26.2 (8月) |
26.1 (8月) |
25.8 (8月) |
27.1 (8月) |
25.4 (8月) |
26.6 (8月) |
26.7 (8月) |
26.2 (8月) |
26.0 (8月) |
26.1 (8月) |
|||||
最寒月 | 4.5 (1月) |
4.0 (1月) |
4.0 (1月) |
3.0 (1月) |
5.1 (1,2月) |
3.8 (1月) |
4.5 (1月) |
3.4 (1,2月) |
5.7 (1月) |
6.0 (1月) |
6.2 (1月) |
||||||
降水量 (mm) |
最多月 | 308.5 (9月) |
240.0 (9月) |
266.7 (6月) |
289.0 (6月) |
213.6 (6月) |
201.0 (6月) |
286.6 (9月) |
387.5 (9月) |
329.1 (9月) |
406.5 (9月) |
328.7 (9月) |
395.4 (9月) |
625.0 (9月) |
462.3 (9月) |
717.6 (9月) |
575.0 (9月) |
最少月 | 55.1 (12月) |
34.5 (12月) |
37.6 (12月) |
37.9 (12月) |
37.0 (12月) |
36.8 (12月) |
34.4 (12月) |
35.8 (12月) |
39.0 (12月) |
47.9 (12月) |
40.4 (12月) |
45.0 (12月) |
59.7 (12月) |
52.6 (12月) |
91.6 (12月) |
77.3 (12月) | |
降水 日数 (日) |
最多月 | 14.4 (7月) |
13.3 (6月) |
12.8 (6月) |
13.5 (6月) |
12.6 (6月) |
12.7 (6月) |
12.2 (6月) |
14.2 (6月) |
12.9 (6月) |
12.9 (6月) |
13.1 (6月) |
13.9 (6月) |
14.5 (6月) |
14.4 (6月) |
14.8 (6月) |
14.9 (6月) |
最少月 | 8.7 (11月) |
6.3 (12月) |
5.1 (12月) |
6.9 (12月) |
5.6 (12月) |
7.0 (12月) |
4.5 (12月) |
5.9 (12月) |
5.0 (12月) |
5.5 (12月) |
5.4 (12月) |
5.1 (12月) |
6.7 (12月) |
4.8 (12月) |
5.2 (12月) |
6.0 (12月) |
地域区分
県庁は、三重県を北勢、伊賀、中勢、南勢、東紀州の5つの地域に区分している。
自治体は、以下の14市7郡15町(29市町)がある[注釈 1]。「町」の読み方は全て「ちょう」である。2006年1月10日の紀宝町と鵜殿村の合併により、本県内から村がなくなった。
北勢
旧伊勢国北部に当たる地域で、国道1号の沿線。鈴鹿川の流域で、緑茶の大産地として有名である。外国人住民の人口と製造業に従事する工業系男性人口が増加している。四日市市及び川越町地域と鈴鹿市で男性人口が多い状態となっている。
四日市以北
江戸時代には東海道(現在の国道1号)の沿線であった。江戸時代には東海道の架橋が禁止されており、かつ洪水も多かったため、木曽三川を越えた尾張国への往来は今程の多さではなかった。しかし、明治以後に架橋が進められて以降は、名古屋の影響も強く受けている。
鈴鹿亀山地域
ホンダの鈴鹿市や、シャープと古河電気工業の亀山市での工業集積が著しい。名阪国道や新名神高速道路の物流が大きい。古代には椿大神社や伊勢国府が置かれるなど、重要拠点であり続けた。鈴亀(れいき)地区などと呼ばれることもある。
伊賀
旧伊賀国に当たる上野盆地の一帯で、名阪国道や国道163号および国道165号の沿線。伊賀市と名張市のこと[注釈 2]。
木津川流域で、布引山地や加太峠よりも西側に位置する地域。そのため、京阪神との結びつきも強い。北部は、名阪国道が通り、大阪と名古屋のちょうど中間に位置し、双方へ車で1時間半で到達できることから、1980年代以降、同国道沿いに工場立地が集中している。南部は、近鉄大阪線が通り、沿線の名張市は1970年代から大阪のベッドタウンとして機能し、人口は増加の一途をたどっていたが、近年は都心回帰の影響で人口は減少傾向にある。そのため、2015年以降の国勢調査では、名張市の属する都市圏は大阪都市圏から伊賀都市圏に変わった。
中勢
旧伊勢国中部に当たる地域で、国道23号の沿線。津市には県庁があり商工業が集積しているが、元来鉄道が津市中心部を迂回しており、さらにモータリゼーションの流れの中、大型ショッピングセンターの郊外への進出、同時に中心部からの撤退などで中心商店街は寂れた。しかし、「アスト津」と呼ばれる高さ94mの高層ビルが津駅前に完成して以来、再び活性化しつつある。津市からは、中部国際空港への高速船でのアクセスがある。
なお、松阪市と多気郡を南勢地域に入れる場合もある。
南勢
旧伊勢国南部に当たる地域と旧志摩国の総称で、志摩を分けず「南勢志摩」と呼ぶ場合がある。観光ガイドでは「伊勢志摩」と呼ばれることが多く、大部分が伊勢志摩国立公園に指定されている。国道23号の沿線。
伊勢神宮や二見浦といった大観光地を抱えており、真珠の養殖でも有名である。
東紀州
紀伊国牟婁郡(当初の熊野国)、当初は度会県、後に三重県となった地域。東紀州、熊野、牟婁と呼ばれることも多い。国道42号の沿線。
日本では屋久島と並ぶ多雨地帯として知られ、熊野古道の伊勢路南部である。熊野市以南では新宮市など和歌山県紀南地域との結びつきも強い。
合併済みの市町村
- ここでは、平成の大合併で変更した市町村を記述している。
- 2006年(平成18年)1月10日に宮川村と鵜殿村がそれぞれ大台町、紀宝町と合併したことに伴い、本県内から村がなくなっている。また、多気町、玉城町、明和町、勢和村の4町村が合併する計画があったが、結び付きの強かった多気町と勢和村が合併するに留まった。
新行政名 | 旧行政名 | 合併期日 |
---|---|---|
いなべ市 | 員弁町、北勢町、大安町、藤原町 | 2003年(平成15年)12月1日 |
志摩市 | 阿児町、浜島町、磯部町、大王町、志摩町 | 2004年(平成16年)10月1日 |
伊賀市 | 上野市、阿山町、伊賀町、青山町、大山田村、島ヶ原村 | 2004年(平成16年)11月1日 |
桑名市 | 桑名市、多度町、長島町 | 2004年(平成16年)12月6日 |
松阪市 | 松阪市、嬉野町、三雲町、飯南町、飯高町 | 2005年(平成17年)1月1日 |
亀山市 | 亀山市、関町 | 2005年(平成17年)1月11日 |
四日市市 | 四日市市、楠町 | 2005年(平成17年)2月7日 |
大紀町 | 大宮町、紀勢町、大内山村 | 2005年(平成17年)2月14日 |
南伊勢町 | 南勢町、南島町 | 2005年(平成17年)10月1日 |
紀北町 | 海山町、紀伊長島町 | 2005年(平成17年)10月11日 |
伊勢市 | 伊勢市、小俣町、二見町、御薗村 | 2005年(平成17年)11月1日 |
熊野市 | 熊野市、紀和町 | 2005年(平成17年)11月1日 |
津市 | 津市、久居市、芸濃町、安濃町、河芸町、香良洲町、一志町、白山町、美里村、美杉村 | 2006年(平成18年)1月1日 |
多気町 | 多気町、勢和村 | 2006年(平成18年)1月1日 |
大台町 | 大台町、宮川村 | 2006年(平成18年)1月10日 |
紀宝町 | 紀宝町、鵜殿村 | 2006年(平成18年)1月10日 |
注釈
出典
- ^ “中京圏の現状と将来像” (PDF). 国土交通省. 2023年1月6日閲覧。
- ^ “三重県は近畿地方なのですか。|株式会社帝国書院”. 株式会社帝国書院. 2023年1月5日閲覧。
- ^ “気象庁|予報用語 地域名”. www.jma.go.jp. 2023年1月5日閲覧。
- ^ “東海地区(静岡、愛知、岐阜、三重) | 事例集 | サービス・ソリューション | 日本通運”. www.nittsu.co.jp. 2023年1月5日閲覧。
- ^ 鈴木英敬三重県知事の政見放送。平成31年4月の選挙での発言。
- ^ https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001389727.pdf
- ^ “中央構造線はどこを通っている?四国・紀伊半島の中央構造線”. 大鹿村中央構造線博物館. 2020年5月6日閲覧。
- ^ 近畿圏整備法第2条第1項、中部圏開発整備法第2条第1項
- ^ 気象庁 Japan Meteorological Agency
- ^ a b c 駒田利治「三重のあけぼの」、稲本紀昭他『三重県の歴史』、山川出版社、2000年
- ^ 『これでいいのか三重県』7頁から8頁
- ^ あなたの知らない東海地方の名字の秘密104頁森岡浩
- ^ 伊勢の国で対立した国人氏族
- ^ 西川洋「近代三重の成立」 橋本紀昭・駒田利治・勝山清次・飯田良一・上野秀治・西川洋『三重県の歴史』山川出版社 2000年7月 260頁
- ^ 日外アソシエーツ編集部 編『日本災害史事典 1868-2009』日外アソシエーツ、2010年9月27日、63頁。ISBN 9784816922749。
- ^ 三重県、公文書12件改ざん 公開請求後、組織ぐるみ 朝日新聞 2012年7月9日
- ^ “来年 三重県で開催「伊勢志摩サミット」”. NHKニュース. 日本放送協会 (2015年6月5日 18時37分). 2015年6月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年6月7日閲覧。
- ^ “伊勢志摩サミット:警備優位性が決め手…当初から最有力”. 毎日新聞 (2015年6月5日). 2015年6月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年6月7日閲覧。
- ^ “2016年は「伊勢志摩サミット」に 首相表明”. 日本経済新聞 (2015年6月5日). 2015年6月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年6月7日閲覧。
- ^ 令和3年(2021年)9月14日三重県選挙管理委員会告示第69号(三重県知事選挙の当選人の住所及び氏名) : 『三重県公報』 令和3年9月14日 号外
- ^ “決算概要”. 三重県. 2017年2月1日閲覧。
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- ^ 株式会社ゼロ(月刊Simple) 編 編『農トリップ まるっと玉城』玉城町、2013年2月5日、30頁。全国書誌番号:22523136
- ^ 成瀬宇平・横山次郎『47都道府県 地鶏百科』丸善出版、2014年7月31日、335頁。ISBN 978-4-621-08801-2。
- ^ “隊長、大内山牛乳が出来るまでを見る!”. ゲンキ3ネット. 特定非営利活動法人サルシカ (2014年5月). 2016年7月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年7月18日閲覧。
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- ^ E1A 新名神高速道路 新四日市JCT~亀山西JCTが2019年3月17日(日)16時に開通します NEXCO中日本(2021/5/10閲覧)
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固有名詞の分類
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