髭黒 髭黒の概要

髭黒

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/06/04 05:50 UTC 版)

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概要

玉鬘に求婚する貴公子の一人として登場する。登場時の官位は右大将右大臣を父に、承香殿女御を妹に持つということから血筋には何ら問題はないものの、髭が濃く、色黒な外見(「髭黒」の通称はこれに由来する)や、すでに兵部卿宮正妻長女(つまり紫の上の異母姉にあたる)を妻にしており、その妻との間に子もいることなどから玉鬘も養い親の光源氏も乗り気ではなかったが、玉鬘付きの女房をうまく手引きさせて強引に玉鬘を自分のものにしてしまう。

当時は複数の妻を持つこと自体は何の問題も無いとされている時代であり、すでに妻を持ちながら玉鬘を新たな妻として迎えること自体は問題とされることはなかったものの、最初の妻(兵部卿宮の長女)が以前から心に病を抱えていたため、玉鬘を新たな妻に迎えたことで最初の妻との仲が決定的に壊れてしまい、この先妻は娘の真木柱をつれて実家に帰ってしまう。

前述のように玉鬘を妻にした経緯こそ強引ではあったものの、妻とした玉鬘との間には幾人もの子を儲けており、光源氏の五十の賀の際には髭黒と光源氏の養女である玉鬘との間に出来た男子が、光源氏の孫の一人として光源氏の実子である夕霧の長男とともに光源氏の前で舞を舞っているなど光源氏一族との良好な関係を築くのに成功している。

また玉鬘の夫の地位を争ったライバルであった蛍兵部卿宮には先妻との娘である真木柱を嫁がせるなど、さまざまな勢力との良好な関係を築いており、今上帝の庇護者として右大臣までなった父を超えて太政大臣にまで登ることになる。

この髭黒は巻と匂宮巻の間の光源氏や頭中将と相前後する時期に死去したと見られるが、紅梅巻では先妻の娘真木柱(最初の夫である蛍兵部卿宮とは死別して紅梅と再婚している)とその娘(髭黒から見ると孫にあたる)「宮の御方」の様子が、また竹河巻では残された妻玉鬘とその子供たちの様子が描かれている。

登場する巻

髭黒は典型的な玉鬘系の人物の一人として直接には以下の巻で登場し、本文中ではそれぞれ以下のように表記されている[1]

呼称

「髭黒」という呼称は源氏物語の本文中には現れない。髭が濃く、色黒なことに由来する後世生まれた通称である。平安時代末期の成立と見られる九条家本古系図には「髭黒大臣」との呼称が見られる。その他この人物は「野路大臣」と呼ばれることがあり、紫明抄によれば行成卿自筆本には「野路太政大臣」という記述があったとされているが、この「野路大臣(のぢのおとど)」という呼称については本文中にある「後の大臣(のちのおとど)」を写し誤ったのではないかとする説がある。




  1. ^ 稲賀敬二「作中人物解説 髭黒」池田亀鑑編『源氏物語事典下巻』東京堂出版 1960年(昭和35年)(合本は1987年(昭和62年)3月15日)、pp. 388-389。 ISBN 4-4901-0223-2


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