経済連携協定 自由貿易協定とWTO協定との関連

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経済連携協定

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/11 08:43 UTC 版)

自由貿易協定とWTO協定との関連

自由貿易協定により、協定の当時国間でのみ関税の引下げ・撤廃を行うことが、WTO上の一般最恵国待遇に違反しないのは、次の規定に合致する場合である。

2023年3月13日時点で、356の協定がWTO(世界貿易機関)に有効のもの(in force)として通報[2]されている[3]。WTOに通報されたものは、関税同盟や経済連携協定 (EPA) と呼ばれているものを含む。355の協定の根拠別内訳は下記のとおり[3]。多くの協定は物品とサービス貿易の双方について規定しているため、数に重複がある。種別の詳細は、WTOのHP[4]を参照。最新の通報は、2023年3月13日に通報されたコロンビアイスラエルとの協定(2020年8月13日発効)である。2020年12月31日に、イギリスがEU離脱に伴い締結した協定28件(2021年1月1日発効)を通報したため、大幅に増加した。この中に日英包括的経済連携協定も含まれており、イギリスとEUとの協定も通報された。しかし、2020年1月1日に発効した日米貿易協定、2020年8月1日に発効した日本・ASEAN包括的経済連携協定第一改正議定書、2022年1月1日に発効した地域的な包括的経済連携協定 (RCEP)は、2023年3月13日現在、通報されていない[4]

  • GATT第24条:324
  • GATS第5条:198
  • WTOの授権条項:63

また、2020年11月27日の参議院本会議において、日英包括的経済連携協定の趣旨説明が行われた際の質疑で、立憲民主・社民の白眞勲議員から質問に対して茂木敏充外務大臣は、「WTOのホームページでは、現在、五十四の自由貿易協定がいまだに通報されていないことが公表されており、この中には、香港ASEAN貿易協定やオーストラリア・インドネシア貿易協定も含まれております。」[5]と答弁している。このWTOのHPとは、2020年9月26日のWTO地域貿易委員会の文書[6][7]であるが、このリストには日米貿易協定は含まれていない。


注釈

  1. ^ 例えばオーストラリア政府のHP(Australia's free trade agreements (FTAs)
  2. ^ 自由貿易協定という名称でないものは、発効済みの日米貿易協定及び米国・メキシコ・カナダ協定並びに署名したが離脱を宣言した環太平洋パートナーシップ協定のみである。
  3. ^ 日米貿易協定のみ関税撤廃・削減だけ規定している。
  4. ^ 関税暫定措置法施行令第10条の2に規定がある。なおこれは関税暫定措置法第7条の3、第7条の8に基づくもの
  5. ^ これは関税法第3条ただし書の規定で条約の直接適用のことであるが経済連携協定にのみの規定ではない。関税暫定措置法施行令にいう経済連携協定の規定は、協定に基づくセーフガードの実施のためのものである
  6. ^ CPTPP協定第3条第2項
  7. ^ CPTPP及びRECP署名国のうち、まだ発効していない国は、すべて既に個別のEPA関係にあるため、今後の発効があっても、現行の日本が締結中の数字になる。日中韓FTAが発効した場合も同じ数字になる。またインドとは、すでに日インドEPAが発効しているため、インドがRCEPに復帰しても同じ数字である。

出典

  1. ^ 経済連携協定の意義と課題-日本の通商政策は転換したか、「東アジア共同体」結成は間近か- RIETI 法律時報 2005年6月号
  2. ^ 2006年のWTO決定(WTO文書WT/REG/16)に基づく。
  3. ^ a b List of all RTAs, including accessions to RTAs”. WTO (2021年6月14日). 2023年1月11日閲覧。
  4. ^ a b Figures on Regional Trade Agreements notified to the GATT/WTO and in force”. WTO. 2023年1月11日閲覧。
  5. ^ 203回国会 参議院 本会議 第5号 令和2年11月27日”. 国立国会図書館 (2020年11月27日). 2020年1月7日閲覧。
  6. ^ WT/REG/W/151
  7. ^ LIST OF RTAS WHICH HAVE APPEARED IN FACTUAL PRESENTATIONS (ISSUED UP TO 14 SEPTEMBER 2020) AND HAVE NOT YET BEEN NOTIFIED TO THE WTO”. WTO (2020年9月26日). 2020年1月7日閲覧。
  8. ^ a b c d EPA・FTAとは 外務省HP
  9. ^ a b c “通商政策(2) 知財・人の移動もカバー”. 朝日新聞. (2010年5月27日). http://www.asahi.com/business/topics/keizainavi/TKY201005260250.html 
  10. ^ 「EPA/FTAって何?」 外務省 FTA広報動画
  11. ^ 答弁書第八号 内閣参質一九七第八号 参議院議員山本太郎君提出日米通商交渉に関する質問に対する答弁書。”. 参議院 (2018年11月2日). 2018年11月16日閲覧。
  12. ^ a b c d 「EPA/FTAのメリットとは?」 外務省 FTA広報動画
  13. ^ 植松佳香(早稲田大学大学院アジア太平洋研究科の浦田秀次郎教授へのインタビュー) (2019年11月20日). “読み方はアールセップ 日本も中国も参加のRCEPとは”. 朝日新聞. 2019年11月21日閲覧。
  14. ^ a b 第200回国会 外務委員会 第4号(令和元年11月6日(水曜日))”. 衆議院. 2019年11月25日閲覧。
  15. ^ 外交青書(2020年)p219 第3章 国益と世界全体の利益を増進する外交 第3節 国益と世界全体の利益を増進する経済外交 2 自由で開かれた国際経済システムを強化するためのルール作り”. 外務省 (2020年5月). 2021年6月22日閲覧。
  16. ^ 外交青書(2021年)p148 第3章 国益と世界全体の利益を増進する経済外交 第1節 自由で開かれた国際経済システムを強化するためのルール作りの推進 2 経済連携の推進”. 外務省 (21-06). 2021年6月22日閲覧。
  17. ^ 外交青書(2022年)p233 第3章 国際社会で存在感を高める日本 第1節 自由で開かれた国際経済システムを強化するためのルール作りの推進 2 自由で開かれた国際経済システムを強化するためのルール作りの推進(1)経済連携の推進”. 外務省 (22-07). 2022年7月19日閲覧。
  18. ^ 経済産業省HP 日本とインドネシア間の「日・ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定」運用開始に関するお知らせ
  19. ^ 税関HP(国立国会図書館による2018年4月1日時点のアーカイブ) 日本国とインドネシア共和国の間の「日・ASEAN 包括的経済連携協定 (AJCEP)」の実施
  20. ^ 日・ASEAN包括的経済連携協定第一改正議定書の効力発生のための通告”. 外務省 (2020年6月16日). 2020年6月17日閲覧。
  21. ^ 日・ASEAN包括的経済連携協定第一改正議定書の効力の発生に関するベトナムの通告”. 外務省 (2020年7月28日). 2020年7月29日閲覧。
  22. ^ 日・ASEAN包括的経済連携協定第一改正議定書の効力の発生に関するブルネイの通告”. 外務省 (2020年9月11日). 2020年9月11日閲覧。
  23. ^ 日・ASEAN包括的経済連携協定第一改正議定書の効力の発生に関するカンボジアの通告”. 外務省 (2021年1月29日). 2021年1月29日閲覧。
  24. ^ 日・ASEAN包括的経済連携協定第一改正議定書の効力の発生に関するフィリピンの通告”. 外務省 (2021年3月23日). 2021年3月23日閲覧。
  25. ^ 日・ASEAN包括的経済連携協定第一改正議定書の効力の発生に関するマレーシアの通告”. 外務省 (2021年4月20日). 2021年4月21日閲覧。
  26. ^ 日・ASEAN包括的経済連携協定第一改正議定書の効力の発生に関するインドネシアの通告”. 外務省 (2021-012-24). 2021年12月27日閲覧。
  27. ^ CPTPP underway – tariff cuts for our exporters on December 30
  28. ^ Viet Nam seventh nation to ratify CPTPP”. New Zealand Goverment. 2018年11月15日閲覧。
  29. ^ ペルー共和国におけるTPP11協定(CPTPP)の発効日等について”. 財務省関税局 (2021年7月30日). 2021年8月18日閲覧。
  30. ^ マレーシアにおけるTPP11協定(CPTPP)の発効日等について”. 財務省関税局 (2022年10月17日). 20222-11-07閲覧。
  31. ^ “チリによるTPP11発効のための国内手続完了の通報”. 内閣官房TPP等政府対策本部. (2022年12月23日). https://www.cas.go.jp/jp/tpp/tppinfo/2022/pdf/20221223_tpp_kaiken.pdf 2022年12月25日閲覧。 
  32. ^ “日・EU経済連携協定の効力発生のための外交上の公文の交換”. 外務省. (2018年12月21日). https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press1_000310.html 2018年12月21日閲覧。 
  33. ^ “日米貿易協定・日米デジタル貿易協定の効力発生のための通告”. 外務省. (2019年12月10日). https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press6_000627.html 2019年12月16日閲覧。 
  34. ^ “日英包括的経済連携協定の効力発生のための外交上の公文の交換”. 外務省. (2020年12月18日). https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press1_000474.html 2020年12月18日閲覧。 
  35. ^ 第4回RCEP首脳会議及びRCEP協定署名式の開催”. 外務省 (2020年11月15日). 2020年11月16日閲覧。
  36. ^ 地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が署名されました”. 経済産業省. 2020年11月15日閲覧。
  37. ^ 報道発表 地域的な包括的経済連携協定に関する我が国による受諾書の寄託”. 外務省. 2021年6月26日閲覧。
  38. ^ 巨大経済圏「RCEP」発効 中韓も参加、GDP・人口は世界の3割”. 朝日新聞社. 2022年1月26日閲覧。
  39. ^ 산업통상자원부 (2021年12月6日). “한국, 역내포괄적경제동반자협정(RCEP) ’22.2.1일 발효” (朝鮮語). 산업통상자원부. 2021年12月6日閲覧。
  40. ^ ソウル聯合ニュース (2021-12-061). “韓国で来年2月1日にRCEP発効 日中など10カ国より1か月遅れ” (lp). 聯合ニュース. 2021年12月6日閲覧。
  41. ^ 報道発表 マレーシアによる地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の批准書の寄託”. 外務省 (2022年1月18日). 2022年1月19日閲覧。
  42. ^ マレーシアによるRCEP協定の批准について”. 税関 (2022年1月18日). 2022年1月19日閲覧。
  43. ^ マレーシアについても地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が発効します”. 経済産業省 (2022年1月18日). 2022年1月19日閲覧。
  44. ^ マレーシアに対するRCEP協定の発効について”. 税関 (2022年3月18日). 2022年3月18日閲覧。
  45. ^ 報道発表 インドネシア共和国による地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の批准書の寄託” (jp). 外務省 (2022年11月7日). 2022年11月8日閲覧。
  46. ^ インドネシアについても地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が発効します” (jp). 経済産業省 (2022-). 2022年11月8日閲覧。
  47. ^ 2022年3月10日発表の輸出確々報、輸入確々報
  48. ^ 財務省貿易統計 Trade Statistics of Japan 国・地域の表記は、貿易統計で用いる表記(外国貿易等に関する統計基本通達(昭和59年10月17日蔵関第1048号)別表第1に定めるもの)による。






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