経済運営
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 08:29 UTC 版)
2008年、世界金融危機を踏まえフランス大統領ニコラ・サルコジは、ユーロ圏が存続するにはユーログループに代わって、ユーロ圏における「確固な経済運営機関」を創設するべきであるとの考えを明らかにした。ユーロ圏における経済運営機関の創設議論は欧州中央銀行が独立性を確保できるかという議論にかかわってくる。 このような機関は従来のユーログループのように財務相だけによるものではなく、欧州理事会のようにユーロ圏各国の政府首脳らによる定期的な会合という形態で創設されることが見込まれている。サルコジはその役割に「必要な民主的正当性は政府首脳のみがもつものだ」とした。経済運営機関の創設構想は、2008年にユーロ圏としての金融危機への対応を協議するために開かれたユーロ圏首脳会合を土台としていた。 しかしながらサルコジのような構想とは異なる案がかつてベルギー首相ヒー・フェルホフスタットから提示されていた。これは欧州統合に積極的ではない国から反対を受けるような案ではあるが、フェルホフスタットは欧州委員会に経済運営の主要な役割があると考えていたのである。さらにドイツは、経済危機への対応にかかる負担がドイツに大きいものであるとしてサルコジの構想に反対した。さらにユーログループ議長のユンケルは経済運営機関を創設するほどヨーロッパの統合は成熟していないと考えており、やはりサルコジの案に反対した。 このほかにも構造的欠陥を補うためにユーロ圏公債市場を創設してユーログループの管理下に置くというような案もある。この案では救済策の実施のさいのドイツの負担が軽減され、また調達された資金は金融機関の救済や欧州投資銀行ならびに欧州復興開発銀行の計画に用いられることになる。ユーログループの管理下におかれていてもユーロ圏公債市場の規制などは欧州中央銀行が担い、市場の創設によって統一され、支えられた金融システムができることになる。このシステムは従来の国債市場と並立することになり、またイギリスも参加する可能性がある。 2010年3月、ベルギー首相のイヴ・ルテルムはユーロ圏の公債を管理する「欧州債務管理機関」というユーロ圏における財務省の設置を提案した。またフランスやドイツなどはヨーロッパ版国際通貨基金の創設案が出された。この「欧州通貨基金」構想は欧州社会党も賛同しており、イタリア大統領ジョルジョ・ナポリターノも「欧州中央銀行や欧州連合の機関ではユーロ圏の国において不測の深刻な危機に対応するための単一のツール・ボックスがないということがはっきりとしている」と述べている。欧州委員会は欧州通貨基金の正式な創設案を準備質得るが、この構想に対して一部からは、リスボン条約の発効から間もない時期に基本条約の改定をしようとする動きがなく、非現実的であるという見方がなされている。つまるところ欧州通貨基金にせよ欧州債務管理機関にせよギリシャの財政危機への対処には間に合わないというみとオシがなされている。サルコジは「フランスはギリシャの側に立ち、断固とした対処をとっていく。ユーロはわれわれの通貨であり、結束を表すものである。この結束という表現に疑いの余地はないのである」とし、ユーロ圏からの脱落を認めれば単一通貨の創設は無駄だったということになると述べている。
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