神道政治連盟国会議員懇談会
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/12 13:01 UTC 版)
概要
1969年11月8日、神社本庁は、神社界が抱える政治問題の具体的解決を図るため「神道政治連盟」を設立した。同年12月27日に行われた第32回衆議院議員総選挙で神道政治連盟は23人の候補者を推薦し、そのうち19人が当選した[2]。
1970年(昭和45年)1月、神道政治連盟推薦の当選議員の懇談会が開催[2]。同年5月11日、議員連盟「神道政治連盟国会議員懇談会」が正式に結成された。結成時の「神道政治連盟国会議員懇談会規約」によれば、懇談会は「神道政治連盟の趣旨に賛同する国会議員をもって組織する」と規定されているものの、自身の宗教・信仰について問われることはなく、神道の布教は目的としていない[3]。
2022年(令和4年)7月8日まで自由民主党衆議院議員の安倍晋三が会長を務めていた[4]。会員数は、2021年(令和3年)7月21日時点で295名(衆議院議員:218名、参議院議員:77名)[5]。安倍の死後、中曽根弘文が会長に就任した[1]。
日本共産党の機関紙であるしんぶん赤旗は神政連は日本会議と同じく、自民党の政権運営に強い影響力を行使し、2012年(平成24年)12月に発足した第2次安倍内閣以降、入閣した議員の大半が「神道政治連盟国会議員懇談会」若しくは「日本会議国会議員懇談会」いずれかに所属していることを報じた[6]。2020年(令和2年)9月に発足した菅義偉内閣でも首相・菅義偉を含め21人中18人がいずれかの議連に所属しており、発足時にどちらにも属していなかったのは小此木八郎国家公安委員会委員長と小泉進次郎環境大臣、それに公明党から入閣した赤羽一嘉国土交通大臣の3名のみであった[7]。
エピソード
- 2000年(平成12年)5月15日の国会議員懇談会・結成三十周年記念祝賀会において、森喜朗首相が行った挨拶の中の「日本の国、まさに天皇を中心としている神の国であるぞということを国民の皆さんにしっかりと承知をして戴く」という部分が問題視される出来事があった[8][9]。
- 2000年(平成12年)5月25日、参議院法務委員会で、中村敦夫は、法務大臣の臼井日出男が懇談会の幹事を務めていることを指摘した上で、懇談会の所属議員が、懇談会の意向に沿って選択的夫婦別姓制度の導入に関する法案の賛否の立場を決めていると主張し、憲法違反なのではないかと質問した[10]。それに対し、臼井は、「一般論として申し上げるならば、そうした各宗教団体と宗教団体のカウンターパートである議連、必ずしも考え方が一緒であるということではない、それぞれお互いの意見を交換しながらより理解を深めていく、こういう形になろうかと思います。」と回答した[10]。
- 2009年(平成21年)12月14日、天皇特例会見問題で鳩山由紀夫内閣の内閣総辞職及び天皇(現・上皇)と習近平の会見中止を求める決議文をまとめ、日本会議国会議員懇談会や真・保守政策研究会と共同記者会見を開いた[11]。
- 2010年(平成22年)9月27日、尖閣諸島中国漁船衝突事件への対応をめぐり、菅直人内閣の総辞職を要求する緊急声明を発表した[12]。
- 2022年(令和4年)6月13日に都内のホテルで開かれた会合で、弘前学院大学教授・楊尚眞による「同性愛は先天的なものではなく後天的な精神の障害、または依存症」と記す、LGBTなど性的少数者に対して差別的な内容の「同性愛と同性婚の真相を知る」を配布した。文書には「性的少数者の性的ライフスタイルが正当化されるべきでないのは、家庭と社会を崩壊させる社会問題となるから」などとも記されていた。性的少数者の支援団体からは「ヘイトスピーチに当たり、許されない」と非難の声が上がった[13][14]。7月4日、当事者団体の全国組織「LGBT法連合会」が抗議声明を発表し、当事者らは永田町の自民党本部前に集まり、抗議活動を行った[15]。
会員
- ^ a b c “首相動静 2023年6月9日”. 朝日新聞 (2023年6月10日). 2024年1月30日閲覧。
- ^ a b “『やくわえ』創刊号(1970年3月27日発行)”. 東京都神道青年会. 2024年1月9日閲覧。
- ^ 神道政治連盟 1984, pp. 161–162.
- ^ a b 「神政連国会議員懇が総会 安倍氏「神社通じて日本人の心育った」 事務局長に城内氏」『産経ニュース』、2020年12月16日。2020年12月20日閲覧。
- ^ a b c “「応援しています!」参照”. 神道政治連盟. 2020年12月20日閲覧。
- ^ “「靖国」派ズラリ 自民閣僚/第4次安倍再改造内閣 19人中18人/小泉氏も毎年参拝”. しんぶん赤旗. (2019年9月14日) 2020年12月20日閲覧。
- ^ “菅内閣 「靖国」派ズラリ 改憲・右翼政治も“継承” 議連に18人”. しんぶん赤旗. (2020年9月21日) 2020年12月20日閲覧。
- ^ “森喜朗「日本は天皇中心の神の国である」発言は、神社業界への“おべんちゃら”だった?”. 文春オンライン (2019年4月28日). 2020年12月20日閲覧。
- ^ “「神の国」発言──森首相はただちに退陣せよ”. 志位和夫公式サイト. (2000年5月24日) 2020年12月20日閲覧。
- ^ a b 第147回国会 法務委員会 第17号議事録
- ^ 「天皇会見に批判相次ぐ=自民」『ウォール・ストリート・ジャーナル』(時事通信社)、2009年12月14日。2016年5月14日閲覧。オリジナルの2016年5月21日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「超党派の議員懇、尖閣問題巡り内閣総辞職求める」『YOMIURI ONLINE』、2009年9月27日。2010年9月28日閲覧。オリジナルの2010年10月1日時点におけるアーカイブ。
- ^ “「同性愛は精神障害か依存症」自民会合で差別的文書配布 「性的少数者の正当化は家庭と社会を壊す」”. 東京新聞. (2022年6月30日) 2022年6月30日閲覧。
- ^ 「「神道政治連盟」の会合で“同性愛は依存症”などと記した冊子配布 当事者反発」『TBS』、2022年6月30日。2022年7月1日閲覧。オリジナルの2022年6月30日時点におけるアーカイブ。
- ^ 奥野斐 (2022年7月4日). “LGBTQ当事者らが自民党本部前で抗議「差別やめろ」「平等な権利を」 党議員参加会合での差別文書配布で”. 東京新聞 2022年7月5日閲覧。
- ^ “神道政治連盟、結成50周年の式典中止”. 産経新聞. (2020年8月4日) 2020年12月20日閲覧。
- ^ 小泉龍司との競合から追加公認を巡り、無所属で出馬。
- 1 神道政治連盟国会議員懇談会とは
- 2 神道政治連盟国会議員懇談会の概要
- 3 元会員
- 4 参考文献
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