メディア・コングロマリット メディア・コングロマリットの概要

メディア・コングロマリット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/20 07:55 UTC 版)

概要

コングロマリットは通常、業務内容において直接の関係がない分野を多数傘下に収める企業グループとする企業形態である。マスメディア関連のコングロマリットの分野がそれぞれ無関係かどうかは議論が分かれるところである。

現在、様々なコンテンツ(ニュース、映画、映像、音楽など)をいくつかのメディアで共有する動きが盛んであり、それに合わせてメディア関連企業が買収などを通じより巨大な複合企業体を形成する傾向が強くなってきた。

世界のメディアコングロマリット

アメリカ合衆国を本拠地とする代表的なメディア・コングロマリットは4社ある。

これらに加えて、ソニーグループ[注 1]ヴィヴェンディベルテルスマンが世界的な巨大メディア・コングロマリットとして取り扱われることがある。コムキャストの745億ドル(ただしケーブルテレビ・通信事業の売上を含む; 2015年)を筆頭に、連結売上高が100億ドル単位の巨大企業である。

この他、ジョン・マローン率いる「リバティ帝国」(マローンが筆頭株主で会長を務めるリバティメディアリバティ・グローバルなど)、マイクロソフトビデオゲーム、インターネット事業など)なども巨大メディア・コングロマリットとして取り扱われることがある。

世界のメディアコングロマリット
名称 メディア・ムガル 売上高
(2022年度)
映画・映像制作 放送 新聞・出版 音楽 インターネット ビデオゲーム 電気通信 テーマパーク、スポーツ等
ウォルト・ディズニー・カンパニー 825億ドル ウォルト・ディズニー・モーション・ピクチャーズ・グループ ABCESPNディズニーチャンネルSTAR マーベル・コミック

ディズニー・パブリッシング・ワールドワイド

ディズニー・ミュージック・グループ ESPN3huluDisney+

マーベル・アンリミテッド

ディズニー・インタラクティブ ディズニー・エクスペリエンスロサンゼルス・エンゼルス
コムキャスト ブライアン・L・ロバーツ 1,214億ドル(コムキャスト連結) ユニバーサル・ピクチャーズ コムキャストSkyグループ

NBCTelemundoUSAネットワークCNBCMSNBCGolf ChannelE!

NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン Peacock

ファンダンゴ・メディア

Xfinity フィラデルフィア・セブンティシクサーズフィラデルフィア・フライヤーズユニバーサル・スタジオ・ジャパン

ユニバーサル・パークス&リゾーツ

ワーナー・ブラザース・ディスカバリー 338億ドル ワーナー・ブラザース TBSCNNTNTHBOCWディレクTVディスカバリーディスカバリーチャンネルアニマルプラネットTLCフード・ネットワーク等) DCコミックス MaxDiscovery+

DC Universe Infinite

ワーナー・ブラザース・インタラクティブ・エンターテイメント英語版 ワーナーブラザース スタジオツアー(ハリウッド・ロンドン東京
パラマウント・グローバル シャーリ・レッドストーン 301億ドル パラマウント・ピクチャーズ MTVニコロデオンBETCBSCW(50%)、Showtime Paramount Music Paramount+

Pluto TV Last.fm

ニッケルオデオン・スイーツ・リゾート・オーランド
Amazon.com Amazon MGMスタジオメトロ・ゴールドウィン・メイヤー MGM+ アマゾン・パブリッシングKindle ダイレクト・パブリッシング Amazon Prime VideoAmazon FreeveeAmazon Music

ComiXology Twitch IMDb

Amazon Games
アクセス・インダストリーズ Access Entertainment ワーナー・ミュージック・グループ DAZNDeezer
ヴィヴェンディ 95億ユーロ スタジオカナル Canal+M7 Group英語版 アシェット・リーブルアシェット・ブック・グループ

Prisma Media

Dailymotion ゲームロフト Group Vivendi Africa L'Olympia
ベルテルスマン 202億ユーロ UFA RTLグループ ランダムハウス BMG Rights Management Videoland.

日本のメディアコングロマリット

日本では、フジサンケイグループ[1]及びフジ・メディア・ホールディングスがメディア・コングロマリットと自己定義している[2]。フジ・メディア・ホールディングスはフジサンケイグループの一部企業で構成され、2023年3月期の連結売上高は5,356億円(都市開発・観光事業の売上高約1,088億円を含む)。

その他の日本のマスメディアもクロスオーナーシップによって、グループ化している(傘下に日本テレビホールディングスや読売テレビを持つ読売新聞グループなど)。この他、ドワンゴと経営統合したKADOKAWAも放送メディアを所有していないものの、サブカルチャー・エンターテイメント分野に特化したメディア・コングロマリットと見なされる事もある[3][4]。また毎日新聞グループホールディングスNHKはそれぞれ新聞事業、放送事業が事業の大半を占めているため、メディア・コングロマリットには該当しない。

日本のメディアコングロマリット
名称 メディア・ムガル 売上高
(2022年度)
映画・映像制作 放送 新聞・出版 音楽 インターネット ビデオゲーム テーマパーク、スポーツ等
ソニーグループ 11兆5,398億円 ソニー・ピクチャーズソニー・ピクチャーズ テレビジョン

アニプレックス、PlayStation Productions

Culver Max Entertainment(Sony Pictures Networks)

Get、Sony Movie Channel、Sony Cine Channel、Game Show NetworkAXN、Sony Channel エムオン||

ソニー・ミュージックエンタテインメントSony Music Entertainment Crunchyroll ソニー・インタラクティブエンタテインメント コロンビア・ピクチャーズ・アクアバース[注 2]
フジサンケイグループ
フジ・メディア・ホールディングス
日枝久 5,356億円(FMH連結) フジテレビジョン[注 3]共同テレビジョンデイヴィッドプロダクション フジテレビジョンBSフジニッポン放送文化放送大阪放送(ラジオ大阪)フジネットワーク仙台放送[注 4]日本映画放送[注 5]WOWOW[注 6]スカパーJSAT[注 7]スペースシャワーネットワーク[注 8] 産業経済新聞社産経新聞サンケイスポーツ夕刊フジなど)、扶桑社 ポニーキャニオンフジパシフィックミュージック、Fuji Music Group, Inc. FODFNNプライムオンライン、めざましmedia、産経電子版 フジゲームス お台場東京ヤクルトスワローズ[注 9]グランビスタ ホテル&リゾート鴨川シーワールド神戸須磨シーワールドなど)、彫刻の森美術館美ヶ原高原美術館
TBSホールディングス TBSアクトTHE SEVENSeven Arcs TBSテレビTBSラジオBS-TBSCS-TBS 日音 TBS NEWS DIG Powered by JNN

マンガボックス U-NEXT(20%)

TBS GAMES リトプラ(24.7%)
読売新聞グループ本社
(旧・読売新聞社
渡邉恒雄 2,720億円(基幹7社合算)[注 10] 日テレアックスオンマッドハウスタツノコプロスタジオジブリ日活(35%) 日本テレビホールディングス日本テレビ放送網BS日本CS日本アール・エフ・ラジオ日本(1990年から))、讀賣テレビ放送 讀賣新聞スポーツ報知中央公論新社中央公論)、福島民友 バップ日本テレビ音楽 hulu よみうりランド読売ジャイアンツ東京ドーム(20%)、アンパンマンこどもミュージアムジブリパークティップネスジェイエスエス(24%)
(参考)
朝日新聞社
2,670億円 テレビ朝日映像シンエイ動画ディー・エル・イーSILVER LINK.東映[注 11]東映アニメーション[注 12]東映チャンネル東映ビデオ テレビ朝日ホールディングス(24.83%; テレビ朝日BS朝日)、朝日放送グループホールディングス(14.88%; 朝日放送テレビ朝日放送ラジオスカイA 朝日新聞日刊スポーツ朝日新聞出版ニュートンプレス

ABCアーク

テレビ朝日ミュージック ABEMA(40%)、TELASA
(参考)
日本経済新聞社
3,584億円 テレビ東京ホールディングステレビ東京BSテレ東アニメシアターX)、テレビ大阪、日経CNBC、ラジオNIKKEI 日本経済新聞フィナンシャル・タイムズ日経BP日経サイエンス テレビ東京ミュージック テレビ東京オンデマンドQUICK
(参考)
中日新聞グループ
大島宇一郎 1,076億円 中日映画社 中部日本放送CBCテレビCBCラジオ)、東海ラジオ放送東海テレビ放送テレビ愛知フジネットワーク 中日新聞東京新聞中日スポーツ東京中日スポーツ日刊県民福井北陸中日新聞 東海パックCBCクリエイション 中日新聞電子版東京新聞電子版東京中日スポーツ電子版、中日BIZナビ 中日ドラゴンズナゴヤドームジブリパーク
(参考)
阪急阪神東宝グループ
角和夫松岡宏泰 1兆8,402億円(合算値)[注 13] 東宝TOHO animation STUDIO阪神コンテンツリンクTigers-aiBillboard JAPAN 関西テレビ放送日本映画放送宝塚スカイステージ 宝塚クリエイティブアーツ、阪急阪神マーケティングソリューションズ メディアプルポ、東宝ミュージック hulu[注 14] 宝塚歌劇団東宝演劇部、TOHOシネマズ阪神タイガース阪神甲子園球場
(参考)
KADOKAWA
2,554億円 KADOKAWAENGI KADOKAWA KADOKAWAU&R records ニコニコドワンゴジェイピームビチケBOOK☆WALKER

dアニメストア(40%)

フロム・ソフトウェアスパイク・チュンソフト ところざわサクラタウン、各種イベント運営事業(ニコニコ超会議Animelo Summer Live

注釈

  1. ^ 本社は日本
  2. ^ 2022年10月にタイで開業[5]
  3. ^ フジテレビの映画部門は日本有数の映画製作企業
  4. ^ 仙台放送はフジ・メディア・ホールディングスの連結子会社には該当するが、フジサンケイグループには属していない。
  5. ^ マスメディア集中排除原則の上限33.3%をフジ・メディア・ホールディングスが保有しており、加えてグループ会社のフジランド、系列局の関西テレビ及びフジサンケイグループと関係の深い東宝が株式保有し、代表取締役社長もフジテレビから派遣するなど実質的に支配している。
  6. ^ フジ・メディア・ホールディングスの持分法適用会社(筆頭株主)。
  7. ^ 伊藤忠商事とフジ・メディア・ホールディングスのJVである伊藤忠・フジ・パートナーズ株式会社の持分法適用会社。
  8. ^ フジ・メディア・ホールディングスの持分法適用会社。
  9. ^ 「サンケイアトムズ」だった期間があり、主催試合はニッポン放送が中継する。
  10. ^ 読売新聞グループ本社独自の会計基準であり、グループ本社の連結売上高の数値とは異なる。グループ本社東京本社大阪本社西部本社中央公論新社読売巨人軍よみうりランドの単純合算。
  11. ^ 東映の筆頭株主がテレビ朝日ホールディングス、テレビ朝日ホールディングスの第2の大株主が東映という関係。また、テレビ朝日映像を合弁会社として朝日新聞社と東映によって設立され、朝日放送も含めて関係が深い。
  12. ^ テレビ朝日が第2の大株主
  13. ^ 阪急阪神ホールディングスエイチ・ツー・オー リテイリング東宝の合算値
  14. ^ 東宝はHJホールディングスに出資している。

出典

  1. ^ フジサンケイグループとは|FUJISANKEI COMMUNICATIONS GROUP”. www.fujisankei-g.co.jp. 2023年7月8日閲覧。
  2. ^ 会社情報―コーポレート・ガバナンス フジ・メディア・ホールディングス
  3. ^ 角川&ワーナーの日米メディアコングロマリット提携で加速するコンテンツ市場のワールドワイド化――安田善巳 角川ゲームス社長に聞く、ダイヤモンド社、2011年8月8日
  4. ^ KADOKAWA、ドワンゴ経営統合へ。最強のサブカル・メディア・コングロマリットが誕生 Archived 2014年5月31日, at the Wayback Machine.、Yahoo!ニュース、2014年5月14日
  5. ^ タイに映画テーマパーク ソニー系初、観光再生期待”. 時事通信 (2022年9月16日). 2022年9月23日閲覧。
  6. ^ 山本浩『仁義なき英国タブロイド伝説』
  7. ^ 株式会社旺文社とのマルチメディア事業ならびにインターネット事業に関する提携について”. ソフトバンクグループ株式会社 (1996年6月20日). 2023年7月8日閲覧。
  8. ^ ソフトバンク・ニューズ・コープ・メディア株式会社の全株式売却に関する件”. ソフトバンクグループ株式会社 (1997年3月3日). 2023年7月8日閲覧。
  9. ^ 制度見直しに向けた検討状況について(総務省、デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会事務局)”. 2023年7月9日閲覧。
  10. ^ AT&T「16兆円メディア」 ディスカバリーと新会社発表”. 日本経済新聞 (2021年5月17日). 2023年7月8日閲覧。
  11. ^ バーンド・デバスマン・ジュニア、ケイティー・ラザル (2023年9月22日). “「メディア王」マードック氏が米FOXの会長退任へ 後任は長男”. BBCNEWS JAPAN. 2023年11月22日閲覧。
  12. ^ “米メディア大手ワーナー、パラマウントと合併交渉=関係筋”. ロイター通信. (2023年12月21日). https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/4NDUGHA4U5N7ROEKHBW37C3JDA-2023-12-20/ 2023年12月24日閲覧。 
  13. ^ 米FCC,メディア所有の規制を大幅に緩和|NHK放送文化研究所”. NHK放送文化研究所. 2023年7月7日閲覧。
  14. ^ https://www.facebook.com/asahicom+(2022年3月14日).+“持ち株会社によるグループ経営の制限を撤廃 放送局経営の規制緩和案:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2023年7月7日閲覧。


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