イギリス連邦 制度

イギリス連邦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/07 05:00 UTC 版)

制度

コモンウェルスは独立した事務局(英: Commonwealth Secretariat)及び各種機関を備えており、それらの多くはロンドンのマールボロ・ハウスに設置されている。

コモンウェルス首脳

コモンウェルス首脳は、加盟国56カ国の大統領または首相、ブルネイにあっては国王首相である。

歴代コモンウェルス首長

コモンウェルス首長は、現在54の主権国家で構成される政府間組織であるコモンウェルス・オブ・ネイションズ(旧イギリス連邦)の「独立した加盟国の自由連想法」を象徴する儀礼的指導者に与えられる称号である。任期とその制限は規定されておらず、その役割自体は、連邦内の加盟国における普段の統治には関与していない。この称号は、設立以来、現役のイギリスの君主によって保持されてきた。

1949年までに、イギリス連邦は8か国のグループになり、各国が国王ジョージ6世を君主として持っていた。しかし、インド共和制への移行を希望していたが、イギリス連邦からの脱退は望んでいなかった。これは、王の連邦首長という称号の創設によって対応され、インドは1950年共和制となった。その後、パキスタンスリランカガーナシンガポールを含む他の多くの国が、イギリスの君主を自国の国家元首とすることを廃止したものの、コモンウェルス・オブ・ネイションズの加盟国として、イギリスの君主がコモンウェルスの首長を担うことは認めた[30]

この地位には長らくエリザベス2世(ジョージ6世長女)が就いていたが、在位中の2018年コモンウェルス首脳会議英語版で、ウェールズ公チャールズ(エリザベス2世長男)が指定後継者に任命され、2022年9月8日のエリザベス2世崩御により、チャールズ3世がコモンウェルス首長となった。

  • 以下、歴代のコモンウェルス首長一覧。
肖像 誕生 任期 崩御
開始 終了
1 ジョージ6世 1895年12月14日 1949年4月26日/28日[注釈 2] 1952年2月6日 1952年2月6日
2 エリザベス2世 1926年4月21日 1952年2月6日 2022年9月8日 2022年9月8日
3 チャールズ3世 1948年11月14日 2022年9月8日

歴代事務総長 (Commonwealth Secretary-General)

肖像 就任 退任 経歴
1 アーノルド・スミス
(Arnold Smith)
 カナダ 1965年7月1日 1975年6月30日 エジプトカナダ大使 (1958–1961)
ソビエト連邦カナダ大使 (1961–1963)
2 シュリダス・ランファル
(Shridath Ramphal)
 ガイアナ 1975年7月1日 1990年6月30日 ガイアナ外務大臣 (1972–1975)
3 エメカ・アンヤオク
(Emeka Anyaoku)
 ナイジェリア 1990年7月1日 2000年3月31日 Deputy Secretary-General for Political Affairs (1977–1990)
4 ドン・マキノン  ニュージーランド 2000年4月1日 2008年3月31日 ニュージーランド副首相 (1990–1996)
貿易大臣 (1990–1996)
外務大臣 (1990–1999)
5 カマレシュ・シャーマ
(Kamalesh Sharma)
 インド 2008年4月1日 2016年3月31日 インド国際連合大使 (1997–2002)

駐英インド高等弁務官 (2004–2008)

6 パトリシア・スコットランド
(Patricia Scotland)
 ドミニカ国
 イギリス
2016年4月1日 現職 イングランド、ウェールズ及び北アイルランド法務長官 (2007–2010)
イギリス閣外大臣 (内務省; 2003–2007)
イギリス政務次官 (大法官省; 2001–2003)
外務・英連邦・開発省国務次官 (1999–2001)
イギリス貴族院議員 (1997–現在)

歴代議長 (Commonwealth Chair-in-Office)

※CHOGM:コモンウェルス首脳会議(Commonwealth Heads of Government Meeting)

写真 CHOGM 就任 退任 事務総長
1 タボ・ムベキ  南アフリカ共和国 大統領 1999年 1999年11月12日 2002年3月2日 エメカ・アンヤオク
ドン・マキノン
2 ジョン・ハワード  オーストラリア 首相 2002年 2002年3月2日 2003年12月5日
3 オルシェグン・オバサンジョ  ナイジェリア 大統領 2003年 2003年12月5日 2005年11月25日
4 ロウレンス・ゴンジ
(Lawrence Gonzi)
 マルタ 首相 2005年 2005年11月25日 2007年11月23日
5 ヨウェリ・ムセベニ  ウガンダ 大統領 2007年 2007年11月23日 2009年11月27日
カマレシュ・シャーマ
6 パトリック・マニング
(Patrick Manning)[31]
 トリニダード・トバゴ 首相 2009年 2009年11月27日 2010年5月25日[31]
7 カムラ・パサード=ビセッサー[32] (なし)[32] 2010年5月26日[32] 2011年10月28日
8 ジュリア・ギラード  オーストラリア 首相 2011年 2011年10月28日 2013年6月27日
9 ケビン・ラッド (なし) 2013年6月27日 2013年9月18日
10 トニー・アボット (なし) 2013年9月18日 2013年11月15日
11 マヒンダ・ラージャパクサ  スリランカ 大統領 2013年 2013年11月15日 2015年1月9日
12 マイトリーパーラ・シリセーナ (なし) 2015年1月9日 2015年11月27日
13 ジョゼフ・ムスカット  マルタ 首相 2015年 2015年11月27日 2018年4月19日
パトリシア・スコットランド
14 テリーザ・メイ  イギリス 首相 2018年 2018年4月19日 2019年7月24日
15 ボリス・ジョンソン (なし) 2019年7月24日 2022年6月24日
16 ポール・カガメ  ルワンダ 大統領 2022年 2022年6月24日 現職

高等弁務官

加盟国同士では、通常の国対国のように特命全権大使を交換せず、「高等弁務官」を外交使節長として、大使館の代わりに高等弁務官事務所を置いている。

これは大使が国家元首の代理及びその大使の駐在先を大使館として呼ぶことが、各国の国家元首が同一人物たる同君連合に当たる諸国間では不適当であったためだが、加盟国の中でイギリス国王を君主・元首としなくなった国においても伝統的にこの名称が使われている。

市民権

イギリスは加盟国国民に国政および地方選挙における選挙権および被選挙権を認めている。また加盟国国民には査証発給(免除)やワーキング・ホリデーに関する優遇措置がある。さらに自国の在外公館が置かれていないコモンウェルス外の国において、イギリスの在外公館による援護を受けることができる。

これらの特典はコモンウェルス市民権英語版: Commonwealth Citizenship)と称される。この市民権は旧来の「イギリス帝国臣民」に対応するもので、1948年のイギリス国籍法において制定された[33]。ただし市民権は互恵的なものではなく、加盟国国民に対する待遇は加盟国によってまちまちである。

首脳会議開催履歴

開催日 開催都市 リトリート(会議合宿) 議長
1971年 1月14-22日 シンガポール シンガポール (なし) リー・クアンユー
1973年 8月2-10日 カナダ オタワ モントランブラン ピエール・トルドー
1975年 4月29日-5月6日 ジャマイカ キングストン (なし) マイケル・マンリー
1977年 6月8-15日 イギリス ロンドン グレンイーグルス・ホテル ジェームズ・キャラハン
1979年 8月1-7日 ザンビア ルサカ ルサカ ケネス・カウンダ
1981年 9月30日-10月7日 オーストラリア メルボルン キャンベラ マルコム・フレーザー
1983年 11月23-29日 インド ニューデリー ゴア インディラ・ガンディー
1985年 10月16-22日 バハマ ナッソー Lyford Cay リンドン・ピンドリング
1986年 8月3-5日 イギリス ロンドン (なし) マーガレット・サッチャー
1987年 10月13-17日 カナダ バンクーバー オカナガン ブライアン・マルルーニー
1989年 10月18-24日 マレーシア クアラルンプール ランカウイ マハティール・ビン・モハマド
1991年 10月16-21日 ジンバブエ ハラレ ヴィクトリアフォールズ ロバート・ムガベ
1993年 10月21-25日 キプロス リマソール (なし) グラフコス・クレリデス
1995年 11月10-13日 ニュージーランド オークランド ミルブルック ジム・ボルジャー
1997年 10月24-27日 イギリス エディンバラ セント・アンドリュース トニー・ブレア
1999年 11月12-14日 南アフリカ共和国 ダーバン ジョージ ターボ・ムベキ
2002年 3月2-5日 オーストラリア クーラム英語版 (なし) ジョン・ハワード
2003年 12月5-8日 ナイジェリア アブジャ Aso Rock オルセグン・オバサンジョ
2005年 11月25-27日 マルタ バレッタ メリッハ ローレンス・ゴンズィ
2007年 11月23-25日 ウガンダ カンパラ Munyonyo ヨウェリ・ムセベニ
2009年 11月27-29日 トリニダード・トバゴ ポートオブスペイン Laventille Heights パトリック・マニング
2011年 10月28-30日 オーストラリア パース キングスパーク ジュリア・ギラード
2013年 11月15-17日 スリランカ コロンボ スリジャヤワルダナプラコッテ マヒンダ・ラージャパクサ
2015年 11月27-29日 マルタ バレッタ; メリッハ Fort St Angelo ジョゼフ・ムスカット
2018年 4月19-20日 イギリス ロンドン; ウィンザー ウィンザー城 テリーザ・メイ
2022年 6月20-26日 ルワンダ キガリ Radisson Blu Hotel Kigali ポール・カガメ
27回目 未定 サモア

加盟国の政府の長(首相または大統領)は2年に1度、西暦の奇数年に会議を行う。開催地は1971年以降、加盟各国による持ち回りとなっている。 前身は以下のとおり[35]

加盟国の種類

加盟国には共和制君主制が混在し、共和制においては選挙された大統領や首相が置かれるが、君主制においては国家元首君主を置く国、すなわちイギリス国王を君主とする国(英連邦王国15カ国)やブルネイ王国がある。英連邦王国では、法人としての国王が任命した総督が国王の役割を代行しているが、現代では総督は実質的には首相による指名制とする場合が多い。カナダの総督オーストラリアの総督ニュージーランドの総督などがこの事例に含まれる(詳細は、「現在の英連邦王国」を参照)。

文化・国内制度

共通語としての英語

モザンビーク(旧ポルトガル領、公用語ポルトガル語)を除くほとんどの国では、英語を公用語かそれに準じる言語としている。ルワンダはベルギー統治時代以降、ベルギーの主要公用語であったフランス語を第二公用語としてきたが、親仏(および旧フランス植民地)的な政府が打倒されたルワンダ紛争後は、英語が公用語に追加された。

教育

イギリスの旧植民地やコモンウェルス加盟国は、統治時代に英語教育と共に導入されたイングランド式の教育制度を独立後もそのまま引き継いだり、一部を変更して継続する国が多い。資格制度においてもイギリスの制度設計が導入されていることが多い。

このためイギリスへの留学時に優遇される措置や、本国での資格を有していればイギリスで同じ資格を取得する際に試験の一部が免除されるなどの共通化制度がある。

法と政治の制度

イングランドに倣いコモン・ロー英米法)を導入した国が多い。ただし、コモン・ローは土着の慣行を柱とする法体系でもあるため、それ以前から大陸法が根付いていた地域(南アフリカ共和国など)では大陸法ないし大陸法的な要素が取り入れられている。政治制度では、ウェストミンスター・システム議院内閣制)を採用する国も多いが、これにもナイジェリアのような例外もある。

人権尊重と法の支配が求められ、これらに対して重大な侵害があるという理由で資格停止とされる国もある。

また、国際司法裁判所選択条項受諾宣言における「コモンウェルス留保」というものがあり、2014年時点でバルバドス、カナダ、インド、ケニア、マルタ、モーリシャス、イギリス、ガンビアの8カ国が採用している。この留保を付すると、同じくイギリス連邦諸国から訴えられる場合、紛争は国際司法裁判所の管轄権限外と見做される。特にインドはこの宣言により、パキスタンからの提訴を回避できたことがある[36]

交通

世界的には右側通行が多くを占めているが、コモンウェルスやイギリスの影響が強い国では左側通行が大半を占める(それ以外では旧植民地の香港。またそれ以外だと日本タイインドネシアなど)。また2階建てバスの運行、さらにイギリス本国との航空便数が多かったり、フラッグキャリアの唯一の長距離国際線がロンドンと首都を結ぶ便でことであることも多い(ロイヤルブルネイ航空ビーマン・バングラデシュ航空マレーシア航空など)。

生活・スポーツ

加盟国や旧加盟国ではイギリス本国の影響で、食文化では紅茶を飲む習慣など、元々現地には無かった文化や風習が導入され定着している。また、英語が国民多数派の母語であったり、あるいは多様な母語をもつ国民の共通語として用いられる場合が多いが、その英語の綴りや用法はイギリス英語と共通であることが多い。

スポーツでは、ラグビークリケットポロモータースポーツなどが盛んな国が多い。1930年以降、4年に1回コモンウェルスゲームズと呼ばれる、加盟国による総合競技大会も行われている[37]


注釈

  1. ^ マレーシアブルネイトンガレソトエスワティニの5ヶ国。
  2. ^ ロンドン宣言英語版に基づく。
  3. ^ 1965年8月9日から有効。

出典

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  17. ^ 『イギリス帝国の歴史――アジアから考える』p207 秋田茂(中公新書, 2012年)
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