【YJ-8】(わいじぇいはち)
NATOコード:CSS-N-4 Sardine(YJ-8)/CSS-N-8 Saccade(YJ-82)
輸出名称:C-801/-802/-803/-805
中国海鷹電気技術学院(CHETA)で開発された対艦ミサイル。
鷹撃8のほか、輸出名称としてC-801とも呼ばれ、タイに輸出された物は「Eagle Strike」と呼ばれている。
中国海軍の艦艇は一部を除き、改良型・派生型含めてこの対艦ミサイルを装備している。
ミサイルの形状と大きさはフランスのエグゾセ対艦ミサイルとほぼ同じで、3軸慣性制御装置はアメリカのハープーン対艦ミサイルのそれと類似している。
誘導方式は慣性誘導で、終末段階はJバンドレーダーによるアクティブレーダー誘導を使用する。
弾頭は165kgの高性能爆薬(HE)を使用する。
バリエーションには地上・艦艇発射型の他、空中発射型や潜水艦発射型がある。
主な搭載艦艇
近年では、中国海軍のほとんどの艦艇が従来型のYJ-8を最新型のYJ-83に更新している。
- 旅洲型(051C型)駆逐艦(YJ-83)
- 旅洋Ⅰ型(052B型)駆逐艦(YJ-83)
- 旅海型(051B型)駆逐艦(YJ-83)
- 旅滬型(052型)駆逐艦(YJ-83)
- 旅大型(051型)駆逐艦(YJ-83)
- 江凱Ⅰ/Ⅱ型(054/054A型)フリゲート(YJ-83)
- 江衛Ⅰ/Ⅱ型(053H2G/H3型)フリゲート(YJ-8/YJ-8I/YJ-83)
- 江滬Ⅲ/Ⅳ/Ⅴ型(053H2/053H1G型)フリゲート(YJ-83/YJ-81/YJ-8)
- 紅稗型(052型)ミサイル艇(YJ-83)
- 紅星型(037-II型)ミサイル艇(YJ-8)
- 紅箭型(520T型)ミサイル艇(YJ-8)
- 黄蜂型(21型)ミサイル艇(YJ-8)
- 宋型(039型)ディーゼル潜水艦(YJ-8)
- 漢型(091型)原子力潜水艦(YJ-8Q)
- チャオプラヤ級フリゲート(タイ海軍,C-801)
- ズルフィカル級フリゲート(パキスタン海軍,YJ-83)
- トンダル級ミサイル艇(イラン海軍,Noor(ノール))
スペックデータ
全長 | 5.814m(地上・艦発射型)/4.65m(空中発射型) 6.392m(地上・艦発射型)/5.30m(空中発射型)(YJ-82) |
直径 | 36cm |
翼幅 | 1.18m |
発射重量 | 815kg(地上・艦発射型)/655kg(空中発射型) 715kg(地上・艦発射型)/555kg(空中発射型)(YJ-82) |
射程 | 42km(地上・艦発射型)/50km(空中発射型) 120km(地上・艦発射型)/130km(空中発射型)(YJ-82) |
最大速度 | マッハ0.9 |
飛行高度 (巡航時) | 20m(YJ-8) |
命中精度 | 75% |
推進装置 | タンデム式固体燃料ロケットモーター(重量160kg) ターボジェット・固体燃料ロケットモーター(YJ-82) |
弾頭 | HE弾頭(165kg) |
誘導方式 | 慣性誘導/Jバンド・モノパルスアクティブレーダー誘導(終末段階) |
配備国 | 中国,北朝鮮,イラン,イエメン,タイ |
YJ-8のバリエーション
- YJ-8(鷹撃8/C-801):
基本型。最大射程は40km。
- YJ-8K(C-801K):
空中発射型。殲轟7(JH-7)攻撃機や轟作6(H-6)爆撃機に搭載可能。
- YJ-8Q(C-801Q):
潜水艦発射型。
水中発射用のコンテナに収められており、533mm魚雷発射管からコンテナごと射出されたあとに海面からミサイルが発射される。
- YJ-8I:
射程延伸型。最大射程は80km。
- CY-1(長纓1):
YJ-8をベースに弾頭部に短魚雷を搭載した対潜ミサイル。アスロックに相当。
中国海軍での運用状況に関しては不明。
- YJ-81(鷹撃81/C-801A):
ロケットの推進部を拡大して射程距離を延伸した改良型。
- YJ-82(鷹撃82/C-802):
YJ-81をベースに胴体を延長し、推進部をターボジェット・エンジンに変更した陸上発射型。
射程は120km。NATOコードはCSS-N-8 Saccade.
- YJ-82A(C-802A):
YJ-82の改良型。射程が180kmに延伸されている。
- YJ-83(鷹撃83/C-803):
YJ-82の発展型。データリンクによるアップデート機能を持ち、射程は150~200km。
今後、中国海軍の主力艦載対艦ミサイルとしてYJ-8を置き換える形で配備が進んでいる。
- YJ-83K(C-803):
YJ-83の空中発射型。
- YJ-85(鷹撃85/C-805):
YJ-81をベースに開発された対地巡航ミサイル型。
GPSを搭載しており、多彩な飛行コースの設定が可能。
また海上ではINS、陸上ではTERCOM(地形等高線照合装置)により精密攻撃が可能になっている。
YJ-8 (ミサイル)
(YJ-8 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/23 01:34 UTC 版)
種類 | 対艦ミサイル |
---|---|
製造国 | ![]() |
性能諸元 | |
ミサイル直径 | 36cm |
ミサイル全長 | 5.814m |
ミサイル翼幅 | 1.18m |
ミサイル重量 | 815kg |
弾頭 | 165kg 遅延信管付半徹甲弾 |
射程 | 42 km (23 nmi) |
推進方式 | 固体燃料ロケット |
誘導方式 | 中間:INS 終末:ARH |
飛翔速度 | M0.9 |
YJ-8(中国語: 鷹撃-8, 拼音: )は、中国で開発された艦対艦ミサイル。輸出名はC-801であり、また、西側諸国においては、アメリカ国防総省(DoD)識別番号としてはCSS-N-4、NATOコードネームとしては「サーディン」(英: Sardine)とされている[1]。
概要
従来、中国人民解放軍海軍はP-15 テルミート(SS-N-2 スティクス)の系譜に属する上游(SY)および海鷹(HY)系列のミサイルを主力対艦ミサイルとして運用してきた。しかし、1950年代に開発されたP-15をベースとしていたために、誘導装置の限界から飛翔高度は数十メートルより低空化することができなかった。また、東側諸国のドクトリンに基づいていたことから、大型の弾頭を搭載するため弾体重量も2トン以上という重量級のシステムとなっていた[2]。
これに対して、フランスのエグゾセ MM38に似た全く新しい設計のミサイルとして開発されたのが、本ミサイルである。開発は、北京にある中国海鷹電気技術学院(CHETA、別名:第三航空宇宙学院)において1970年から開始されたものの、文化大革命のために遅延し、完成は1986年までずれ込んだ[2]。
YJ-8は、中国人民解放軍の主力艦対艦ミサイルとして配備され、空対艦ミサイル型のYJ-81、潜水艦発射型のYJ-82も派生した。また、のちには翼を折りたためるようにした艦載型改良版のYJ-8Aも開発・配備された[1]。
なお、当初は、YJ-81はYJ-8の射程延伸型(80km)、YJ-82はサステナーをターボジェットエンジンに変更した発展型ともされていた[3]。実際には、サステナーをターボジェット化したものは、YJシリーズの第2世代にあたるYJ-83として配備されている[4]。
脚注
- ^ a b Dennis M. Gormley, Andrew S. Erickson, and Jingdong Yuan (2014) (PDF). A Low-Visibility Force Multiplier: Assessing China’s Cruise Missile Ambitions. National Defense University Press
- ^ a b Norman Friedman (1997). The Naval Institute guide to world naval weapon systems 1997-1998. Naval Institute Press. ISBN 9781557502681
- ^ 多田智彦「ウエポン・システム (特集・中国海軍)」『世界の艦船』第774号、海人社、2013年3月、90-95頁、 NAID 40019570973。
- ^ 陶慕剣 (2011年10月18日). “中国の先進兵器に対する4つのでたらめな噂”. 中国網. 2014年7月8日閲覧。
外部リンク
- YJ-8のページへのリンク