KD2とは? わかりやすく解説

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KD2,3

1.世界で初めての無気噴射開放式衝突弁を有する商用車直接噴射式2サイクルディーゼル機関
2.1926年トラック搭載され走行したドイツクルップ ユンカース特許になるエンジン(1924年ベンツも初のディーゼル機関搭載車走行させたが間接噴射式の一種である予燃焼室式で、以来長年それを踏襲した)。
3.1935年日本ディゼル初代社長 足立竪造がドイツクルップ社からクルップユンカースの特許権購入しトラックシャシと共に国産化した大型トラック・バスディーゼルエンジンで、第2次大戦中は主に石油掘削及び発電機セット用に使われた。
4.社名創業時日本デイゼルから―鐘淵デイゼル民生産業民生ディゼル工業幾多変遷経て終戦後本格的に自動車用生産されるようになった戦火壊滅的打撃を蒙った東京都内復興第1号幹線バス路線となった荻窪東京駅間に始めて登場した大型ボンネットバス当時国最大積載量の7.5トン積みTN93型ボンネットトラック及びわが国初のリヤエンジン・モノコック・バスに搭載された。
5.エンジン構造は、上下対向ピストン式で、上方ピストン長いコンロッド2本でクランクシャフトつながれている。上方ピストン下方ピストン対しクランク位相的に15度遅れて取り付けられ下方ピストン側にある排気ポートからの排気行程済んでから掃気が始まるようになっている掃気ポート排気ポート閉じてから7.5度後に閉じる。
6.掃気ポンプ上方ピストンの上取り付けられピストン径210mmであった初期のものポンポン乃至コモコモという特異な吸気音がしていたが、ヘルムホルツ共鳴器応用した吸気サイレンサーにより対策された。
7.エンジンの背が高く回転速度当初は1500rpmと低かった1951年になって回転速度20%上げられ1800rpmとなり、出力も1気筒辺り35PSに引き上げられ、更に1954年になって同じく40PSへと一層の出力アップが行われたが、それ以上高速化は無理であったため、1955年にその生産機種の座を頭上排気弁式のUD型に譲ることになる。
8.KD型エンジンの名称は日本デイゼル時代は、できた順に、ND1、ND2などと呼ばれたが、鐘淵ディゼル時代社名頭文字をとり、KD改称され数字気筒数を表すように改められた。但し、KD5だけはボアアップ4気筒である。

保管場所:(株)クリエイトセンター 川口研修所 (〒332-0002 埼玉県川口市弥平3-13-16) 日産ディーゼル工業株式会社(〒362-8536 埼玉県上尾市大字壱丁目番地)

製作(製造)年:1938

製作者(社):鐘淵デイゼル工業株式会社 日本デイゼル工業

資料種類:KD2型量産品 ND6型及び鐘淵デイゼル工業製KD2型カットモデル

現状:非公開

型式 / 製作
型式:KD2,3

種類:ディーゼル

会社名:日本デイゼル工業(現 日産ディーゼル工業)

用途:大型トラック・バスブルドーザ

実物所在:KD2のみ有り

搭載車:LD1型トラックTT9トラック、KB3B型ボンネットバスBR30型リヤエンジンバス

製作年:1938

設計者:ユーゴーユンカース博士

諸元
シリンダ配列・数:垂直対向直列3

サイクル冷却方式:2/水冷

型式/数:吸排気ポート式16/12個

燃焼方式:直接噴射

燃焼室:上下対向ピストン平頭

内径×行程:85x(下方ピストン144+上方96)

圧縮比:17:1

質量(重量):650/550kg(KD3/2)

寸法:1452x742x1111(KD3)

噴射ノズル:開放式衝突

性能
最大出力回転数:KD3:66.2kW[90PS]/1500rpm; KD2:44.1kW[60PS]/1500rpm

最大トルク回転数:KD3:480.5Nm[49kgm]/1100rpm; KD2:304.0Nm[31kgm]/1100rpm

燃料消費率:271.8g/kWh[200g/PSh]/1250rpm

排気ガス対応:なし

装置
過給機形式:なし

インタークーラー:なし

可変装置:なし

エピソード話題性:自動車用ディーゼルエンジンとして世界で初めトラック搭載され実用化された直接噴射式エンジン(1926年)。

特徴:無気噴射燃料噴射ポンプ採用しユンカース航空機用ユモ ディーゼルエンジン親類関係にある。クルップ・ユンカースの特許導入国産化の上製造したもの。気筒数を変えることによりバランス良い系列エンジン形成されやすいという2サイクル特有の特徴がある。

参考文献:長尾不二夫、阿知二郎対向ピストン車両用2サイクルヂーゼル機関性能(Ⅰ、)」機械及び電気 第8巻9号P.1-8、同10号P.1-6、1943.9.10
阿知二郎富塚清「バス・トラック用2サイクルディーゼル機関衰退の原因内燃機関Vol.30、No.185、P.29-36、1976.10
大塚新太郎、石原荘一「わが国における2サイクル自動車エンジン変遷(5)日産ディーゼル工業内燃機関Vol.30、No.376、P.36-44

その他事項:通称名:KD2、3;協力者:ドイツ クルップ社;吸気方式:自然吸気;点火方式:圧縮;燃料供給方式:ユンカース無気噴射式プランジャポンプ(自家製);掃除ポンプ種類:往復ピストン直結 直径x行程 210x96;掃気方式:一方流ポート掃・排気;KD3-4.086、KD2-2.724L;比出力:16.2kW{22PS}/L;三元触媒:なし;トーショナルダンパ:ランカスタ式;吸気系:吸気サイレンサ;排気系:なし;



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