19インチシステム規格の適用とメトリックシステムの開発とは? わかりやすく解説

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19インチシステム規格の適用とメトリックシステムの開発

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 01:05 UTC 版)

19インチラック」の記事における「19インチシステム規格の適用とメトリックシステムの開発」の解説

1970年代および80年代通じて19インチシステム(DIN 41494シリーズあるいはIEC 297シリーズ)は主として欧州で、通信機器交換機機構として採用される一方で1982年発表されたVMEbusの仕様では、そのコンピュータモジュールとシステム機構に、DIN 41612コネクタとともに19インチサブラック/プラグインユニットの構造採用した。VMEbusは32ビットマイクロプロセッサ利用するオープンアーキテクチャー標準コンピュータバスの仕様として、米国において産業用あるいは軍事用コンピュータとして大きな注目集めマーケットにおける普及とともにIEEEIEEE 1014-1987 - IEEE Standard for A Versatile Backplane Bus: VMEbusとして規格化される。そこで用いられている19インチシステムもより実用的な構造規格として、IEEE 1101:1987 (Mechanical Core Specifications For Microcomputers, Standard For Describes the basic dimensions of a range of modular subracks conforming to IEC 297-3-1984, for mounting in equipment according to IEC 297-1-1986)が発行された。 19インチシステムにおけるサブラックとプラグインユニットは、19インチラック規格からスタートしプリント基板相互接続技術的課題を、既存寸法系の中で解決しようしたものである。プリント基板をプラグインユニットとしてモジュール化し、堅牢な構造のサブラックに収納する収納されモジュールはサブラックに固定されバックプレーンによって相互接続される。その接続用に信頼性確立したコネクタ採用する。すなわち19インチシステムの機構とDIN41612コネクタ組み合わせである。この構造通信機器電子計測、VMEbusなどの産業用コンピュータなど、様々な分野採用されることになる。19インチラックはこうした電子機器システムの一番外側のハウジングとして利用された。 1980年代後半になるとDINIECETSI新たな電子機器用の機構開発標準化検討がはじまる。プリント基板高密度実装コネクタ多極化電子機器動作周波数高速化、これらに付随するEMC対策放熱対策要求顕在化したからである。プリント基板上の電子部品はデュアルインラインIC0.1インチピッチから、SMD/SMTの採用によるメトリック実装グリッド移行しコネクタDIN 41612コネクタ0.1インチピッチ/96ピン)から2.5ミリメートルあるいは2ミリメートルピッチでより多極化高性能化したメトリック寸法コネクタ開発されつつあった。さらに、19インチシステムではインチ系の寸法基準となるためCAD/CAEの利用馴染みにくいとして電子機器用の機構寸法体系メートル系で統一するための基本寸法規格 (Generic Standard)、IEC 917 (Modular order for the development of mechanical structures for electronic equipment practices)が1988年発行され、これに基づく実用規格としてメトリックシステムの開発DINIECIEEEスタートした。 メトリックシステムでは19インチシステムと同様に四つレベル階層を持つ。DINでは90年代初頭コネクタ2.5ミリメートル (mm)ピッチのメトリックコネクタ (DIN 41642)の採用前提DIN 43356シリーズ完成していたが、IEEEでVMEbusの次世代を担う標準バスとしてFuturebus+ (IEEE 869)の開発進んでおり、そこでは2ミリメートルピッチのコネクタ採用決まったことから、IECIEEE並行してメトリックシステムの開発進めIEC 60917シリーズおよびIEEE 1301シリーズ90年代初頭完成した。これを受けて19インチラック寸法規格であったANSI/EIA RS310-Cは、IEEE1301シリーズ連携してメトリックキャビネット・ラックの寸法導入したANSI/EIA-310-D 1992改定された。 メトリックシステムの特徴次のようにまとめることができる。 電子機器用の機構寸法体系メートル系で統一した。その基本モジュール寸法25ミリメートルで、ラックキャビネット設置される室内空間においてもこのモジュール寸法敷衍される。一方で最小モジュール寸法0.5ミリメートルである。 プリント基板高密度実装にともなうコネクタ多極化対応して、プラグインユニットは挿抜機能持つハンドル採用される。 プラグインユニットとバックプレーン相互接続におけるコネクタ多極化挿抜ハンドル採用によるサブラックの剛性の向上が図られた。 電子機器動作周波数高速化によるRFI対策のため、サブラックにおける電磁シールド機能の追加が行われた。 プリント基板・プラグインユニットにおける熱の放散考慮したサブラックの構造採用された。 メトリックシステムは高度化する電子機器要求対応する機構国際規格として標準化されたため、産業用コンピュータ通信機器分野で、19インチシステムに取って代わる予想された。しかし、一連の規格開発の終了前後して起きた東西冷戦構造解消とともに米海軍でのFuturebus+の採用プロジェクト中止となり、米国におけるFuturebus+とメトリックシステムに対す期待急速に低下しその結果VMEbusの後継システムとしての開発プロジェクト途絶えた一方ヨーロッパでは、メトリックシステムは通信機器用のETSIキャビネット/ラックとして採用定着した90年代中ごろ以降は、VMEbusの高性能化図られる一方でPCIバスなどのWindows PCI/Oインターフェイス産業用コンピュータバスに利用する動き出てきた。その中で19インチシステムを採用したCompactPCI仕様1996年開発されている。ここにおいて19インチサブラックはメトリックのそれと同じような2ミリメートルピッチ多極コネクタ採用し、それに対応するプラグインユニット用の挿抜式のハンドル、サブラックにおける電磁シールド機能の追加などが開発され規格化IEEEIEC行われたその結果、メトリックシステムの採用大きく後退して今日至っている。 19インチシステムは現在もなお、産業用コンピュータ主要な機構として、VMEbusやCompactPCIとともに採用されている。また、1990年後半以降インターネット爆発的な普及で、ルータースイッチサーバがIT機器として新たなマーケット形成したが、 これらの機器大半19インチラックへの搭載前提としており、19インチシャシーの外形寸法採用している。ここにISPVoIP電話網構築するテレコムキャリアにおいて、19インチラック広く採用されることになった。さらに2010年以降IP網クラウドコンピューティング普及によってデータセンタ建設急増すると、ここにおいて19インチラック需要拡大している。

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