魔法理論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 05:13 UTC 版)
六軒島の事件においては魔女や魔法の影が常にちらついているが、これらは曖昧模糊としたものではなく、明確な理論や思想の元に存在するものとなっている。この事から、魔法と自称されるものの正体を探ることもプレイヤーに求められている推理要素の1つになっている。 魔法 魔女や悪魔が使う超自然的な力のこと。不可能を可能にする万能の力のようにも見えるが、実際にはいくつかの魔法大系に分かれており、系統ごとに得意とする魔法が異なるようである。また、反魔法力のある者たちの前では魔法は使えない。「無限」 魔女ベアトリーチェの持つ魔法大系にして称号。作中では「一人を“無限に”殺す力」ともされており、無限の魔法を使えば、殺したものを生き返らせてはまた殺すことが可能である。死者を生き返らせるという意味では後述の称号「反魂」と類似するが、この魔法では死者を生き返らせたままにはしておけず、最終的に必ず殺さなくてはならない。 「黄金」 魔女ベアトリーチェの持つ魔法大系にして称号。過去に10トンもの黄金を生み出したとされる。また、本編中では「黄金郷」と呼ばれる理想郷の伝説が語られており、「黄金の魔女」の称号を持つベアトリーチェは、魔法の儀式を完成させることで六軒島の住人たちを黄金郷へ招待することができるとされている。 「奇跡」 魔女ベルンカステルの持つ魔法大系にして称号。事象を何度も繰り返すことで、確率が完全な0%でない限りは必ず自分の思ったとおりの結果を導き出すことができる。 例としては、スゴロクでサイコロの目が6になるまで何度も振りなおすことを「奇跡」の魔法という。 「絶対」 魔女ラムダデルタの持つ魔法大系にして称号。努力が必ず報われるようになる魔法であり、努力に応じただけの結果がもたらされる。強固な意思の力があれば、どんな不可能なことでも自分の思い通りの結果が導かれる。 「千年」 多くの魔女たちが持つ称号。千年(もしくはそれ以上)の長き時を生きることができることを表す。あまりに長く生きていると退屈により滅びることがあるらしく、退屈を避けるために刺激を求める魔女も多い。中にはニンゲンをいたぶって退屈を紛らわすものもいる。 「原初」 魔女マリアの持つ魔法大系にして称号。想像したものをゼロから創造する魔法。 「反魂」 魔女エンジェ・ベアトリーチェが習得しようとした魔法大系。文字通り死者を蘇らせる魔法。 「真実」 探偵古戸ヱリカが習得しようとした魔法大系にして称号。「真実に堪える」魔法。 「観劇」 魔女フェザリーヌの持つ魔法大系にして称号。メタ世界のさらに外側から『うみねこのなく頃に』の世界を観測することができる。 魔女 魔法の使い手のこと。男の場合は魔術師と呼ばれるが本質は変わらないようである。 ニンゲン 魔女や魔法と言った幻想の世界と関わりが薄い者たちのこと。カタカナで書かれる。 反魔法力 魔法を信じようとしない力。多くのニンゲンが持ち、魔女やそれに類する者からはたびたび「毒素」と称される。反魔法力が高い場所では魔法は効果を発揮しないため、本作においては「魔法を信じない者の前では、魔女は魔法を使えない」という法則が存在している。 魔法を信じようとしない者に魔法を信じさせるためには、「ニンゲンでは不可能なことが行われた痕跡を残しておき、それを目撃した者が『ここで魔法が使われたんじゃないか』と思ってしまうようにする」という方法しかない。その痕跡というのが本作で頻発する「見立て殺人」である。 対魔法抵抗力 魔法的脅威に対抗する力。数値で表されることもあり、これが極限まで高まった場合は神話級魔法攻撃も通用しなくなる。 召喚術 異界から幻想の住人たちを呼び出して、自分の命令に従わせる魔法。本編中に出てくる多くの魔女が使用できる。 カケラ 魔女たちの中でも「航海者」と呼ばれる上位の存在が認識している特殊な概念。カケラとはいわゆる平行世界のようなもののことらしく、可能性の数だけカケラは存在する。航海者たちはカケラを自由に移動することができる。 シュレディンガーの猫箱 量子力学の有名なパラドックスの1つ。量子力学の世界では素粒子レベルの現象は人間が観測するまではあらゆる可能性が交じり合っている状態だという考え方があるのだが、その考え方だと、「ランダムな確率(本来は放射線の発生)で毒ガスが出る箱の中に猫を入れた場合、箱の中の猫が死んでいるか生きているかは箱を開けて中を確認するまでは決定されない」という奇妙な論理がまかり通ってしまうというもの。 魔女によると、1986年10月6日の六軒島は物理的にも魔法的にも外界から隔離されており、「猫箱が開けられる」まではどんなデタラメな虚構も否定しきれないとされ、それゆえに本作のテキストには虚実が混ぜられている。 猫箱理論は、魔女にもニンゲンにも有効である。戦人はメタ世界で見せつけられる直接的な魔法描写に反論できなかったが、猫箱が開けられていないゲーム盤上ではそれが魔女側の「主張(可能性の一つ)」にすぎず、ニンゲン犯人説を否定する根拠にならないとして、以降の論戦を立て直した。 ゲーム盤 無限の魔女にして黄金の魔女であるベアトリーチェが作り出した魔法概念。「カケラ」とは似て非なるもの。「ゲーム盤」は1986年10月4日から5日の六軒島を再現した擬似世界とでもいうべきものであり、『うみねこのなく頃に』の多くのエピソードはこの魔女のゲーム盤上で行われている舞台劇のようなものとされている。メタ世界に登場するキャラクターたちは、物語世界を文字通りのゲーム盤のように俯瞰できる。 メタ世界ではゲーム盤はチェスに似たものとして描写され、魔女たちは物語世界で起こる事件の様子をチェス用語で比喩することも多々ある。 ゲームマスター ゲーム盤を作り出すことができる魔女・魔術師のこと。ゲームマスターとなった魔女・魔術師はゲーム盤上のほぼ全てのキャラクターを「駒」として自由に行動させることができる。そして、メタ世界に閉じ込めたニンゲン側プレイヤーと推理合戦を行うために、「駒」を利用してゲーム盤上の世界に不可能殺人事件を演出しなくてはならない。魔女と推理合戦をすることになるメタ世界のニンゲンもまた、自身を「駒」としてゲーム盤の世界で動かすことができる。 密室の状態、人物の配置などもゲームマスターが決定するが、実は根本的な設定を「完全に反論不能な状態」にすることはできないため、魔女たちは魔法幻想というミスディレクションを多用する。
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