騎兵八彪将
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「月の蛇 〜水滸伝異聞〜」の記事における「騎兵八彪将」の解説
花栄(かえい) 梁山泊八彪将筆頭。軽い性格の色男だが、「小李広(しょうりこう)」と渾名される梁山泊随一の弓の名手。その腕前は数里先の髪を二つに裂くとさえ言われ、梁山泊には初期から参画し数々の功績を挙げてきた。 北京で飛虎一行が蔡兄弟を倒した際、林冲とともに駆けつけ、城壁の上から蔡慶をなぶっていた囚人たちを射殺し、さらに翠華を狙い、これ庇った青慈に弓を射当てその技量を見せつける。 後、李逵、扈三娘とともに扈成の屋敷を襲撃し、翠華を拉致する。飛虎の怒りを煽るために翠華を処刑しようとするが、扈三娘の裏切りにあい阻止される。この展開は呉用によって予想済であり、潜ませていた項充、李袞を投入して逆に扈三娘に致命傷を負わせ、翠華ともども殺害しようと図るが、すんでのところで飛虎が乱入。項充、李袞を倒され盾を失い、逆に追い詰められる。しかし、そのことによって武人としての血が目を覚まし、飛虎と命がけの勝負を行おうとするも、林冲が現れて制止したため、そのまま飛虎と林冲の戦いを見届けることとなる。 なお彼も過去に林冲に挑んだことがあるようだが、どう決着したのかは不明。 穆弘(ぼくこう) 梁山泊の資金源のひとつである江南・掲陽鎮の歓楽街を取り仕切る人物で梁山泊八彪将の1人。血の気が多く、一度火がつくと何者にも止められないため「没遮欄(ぼっしゃらん)」と渾名される。六十二斤の大鉈を操り、剣ごと人間の胴をも断ち切る豪腕の持ち主。穆春から薛永が倒されたことを聞き、飛虎一行を襲撃に向かう。おめおめ逃げ帰ってきた弟に鉄拳制裁を加えるなど苛烈な人物。自ら名乗り出た飛虎と交戦、その実力は飛虎をして「ここに来て本物の豪傑と言える人物に出会った」と評されるが、規格外の破壊力と耐久力を持つ黒蛇矛に得物の大鉈を破壊される。それでも勝負を諦めずに、飛虎との素手と素手での決着を望み、激戦の末、敗北する。飛虎は再戦を期待してトドメを刺さなかったが、気絶し無防備になっていたところを、翠華によって胸を切り裂かれ殺害される。 史進(ししん) 梁山泊八彪将の1人。全身に竜の刺青を施し「九紋竜」と渾名される青年。両刃三尖刀の使い手。 元は史家村の庄屋の息子で、都を逃れた王進から武芸の手解きを受け、一番弟子を自認するほど彼を信望しており、どこの馬の骨とも分からない飛虎が「月の蛇」を受け継いだことに激しい怒りを燃やし(飛虎が王進から一切武芸を教わっていないことを知るとますます激怒した)、自らが「月の蛇」の真後継者であるとして飛虎に挑戦状を叩き付けた。 一番弟子と名乗ることもあり、飛虎の対決では彼をして「まるで王進と戦っているよう」と言わしめる実力を見せつける。さらに王進から餞別代りに教わった奥義「九天夢幻」によって一気に決着を図るが、それは飛虎が王進との戦いの中でいつか破ろうと対策し尽していた技であり、二度目を凌がれ返す刀で重傷を負わされる。ここで王進が、「王進と肩を並べる男」を目指していた自分ではなく「王進を超える男」を目指していた飛虎を後継者に選んだ真意を悟り敗北を認める。飛虎に止めを刺すよう促すが「自分だったら勝つまで何度でも挑む」と飛虎に拒否され、ついに飛虎を「月の蛇」の主として認め、そのことを楊志に伝えた後、治療のため山塞に搬送された。 楊志(ようし) 梁山泊八彪将の1人。功臣楊業の子孫であり、かつては禁軍に所属し、武挙を状元で合格した剣才の持ち主。関西の出身であるためか訛りが強く、文字通り日本の関西弁風の言葉で表現されている。蛇矛の男討伐のため、史進とともに選抜され、飛虎と喧嘩別れして盛り場でごろつきに絡まれていた翠華を助けるふりをしてこれを誘拐、翠華を餌に飛虎を誘いだし討とうと企む。 「青面獣」と渾名され、かつてはその通り右反面に大きな青痣があったが、そのことを軍の高官・高俅に辱められた際、その眼前で自ら焼き潰しており、現在はケロイド状の火傷で覆われ、普段は前髪で隠している。普段は飄々とした態度を取っているが、その本性は残虐かつ陰湿。顔の火傷のことに触れたり怯えた相手には激昂し、苛烈な制裁を加えるが、心的外傷を抱いているというよりは、ただ相手を甚振り優越感に浸るための口実にしているだけであり、自分の部下すら嬉々として嬲り者にする姿を見た翠華は「いままで随分酷い連中を見てきたが、その中でも最低の下衆」「火傷ではなく心根がただれ腐っている」と痛罵した。戦いに関しても戦う前にどれだけ有利な状況を作り出すかが重要であるとし、飛虎や史進のように真正面からの力比べを好む人物を、頭が足りないと見下している。 翠華を誘拐した後、古寺に飛虎をおびき寄せ数十人の部下で取り囲んで討とうするが、飛虎と駆けつけた青慈の前に部下が次々と討たれたため、自らが手を下そうと飛虎に挑みかかる。史進を上回る剣圧と速度で飛虎の攻撃をすべて片手でいなし、さらに史進や部下に負わされた傷を集中的に攻撃することで飛虎を圧倒するが、あまりに優位な状況での戦闘に馴れすぎ、食うか食われるかの真剣勝負への覚悟を忘れてしまっていたことが仇となり、相討ち覚悟で深く間合いに入り込み攻撃を当てに来る飛虎に次第に押され、最後は動揺した隙を突かれて袈裟切りにされ、最後まで自身の敗因を理解できぬまま死亡した。
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