陸海軍爾後ノ作戦指導大綱
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「捷号作戦」の記事における「陸海軍爾後ノ作戦指導大綱」の解説
陸海軍爾後の作戦指導大綱 大本営陸軍部 大本営海軍部 第一 方針 一本年後期アメリカ軍主力の進攻に対し決戦を指導し、その企図を破摧す 決戦方面を本土(北海道、本州、四国、九州附近及情況により小笠原諸島を指す)、連絡圏域(南西諸島、台湾及東南支那附近を指す)及び比島方面(地上決戦方面は北部比島附近とす)と予定し決戦の時機を概ね八月以降と予期す 決戦実施の要域は大本営之を決定す 第二 要領 二 対米決戦指導(イ)西太平洋方面に対しては敵の来攻に先だち機会を捕捉し極力敵戦力を漸減しその進攻を防止するに努め又手段を尽くして敵情偵知に努む (ロ)速に小笠原諸島、大東島及千島要域の戦備を増強すると共に概ね八月末頃を目途として連絡圏域及比島方面要域に置ける。又概ね十月頃を目途として直接本土に於ける決戦準備を概成し爾後更に之を増強。此の間本土枢要部の防空戦備を更に促進強化す (ハ)敵の決戦方面に来攻に当たりては空海陸の戦力を極度に集中し敵空母及び輸送船を所在に求めて之を必殺すると共に敵上陸せば之を地上に必滅す 此の際機を失せず空海協力の下に予め待機せる反撃部隊を以て極力敵を反撃す 敵の決戦方面に来攻二方面以上に亘る場合決戦実施要域は敵主力機動部隊の指向方面その他全般の戦況に鑑み之を決定す (ニ)国力戦力の維持培養の為特に連絡圏域方面に於ける対潜対空兵力の重点的配備を構成し以て敵機動部隊の策動及基地よりする敵空襲の激化に備へ又潜水艦の跳梁を封殺し本土及南方資源要域間海上交通の確保を期す 三 中部太平洋方面作戦(イ)機宜航空基地を活用して奇襲攻撃を行い敵基地の利用封殺並びに敵兵力の漸減を策す (ロ)小笠原及「パラオ」両方面より主として航空機を以て「マリアナ」方面の敵に対する攻勢を極力持続するに努む (ハ)敵来攻せば概ね所在兵力を以て之を撃破し敵の進攻を阻止するに努む 四 南西方面作戦(イ)南西方面作戦の重点は比島方面に於ける決戦指導並びに油田地帯、艦隊主要泊地(「ギマラス」「タウイタウイ」「コルネー」「リンガ」)の確保防衛とす (ロ)豪北方面(「ソロン」「ハルマヘラ」「アンボン」附近の地区を重点とす)は南方圏東翼の支撐 として来攻する敵を撃破して極力之を確保す (ハ)ビルマ方面は南方圏北翼の支撐とし印支分断の戦略根拠及び西南支那方面の把握と相俟って印度支那方面安定確保の前哨たる如く来攻する敵を撃破しつつその要域を確保す (ニ)情況之を許せば一部潜水艦を以て機宜印度沿海及び豪州西岸に於ける敵情偵知及び敵補給路の遮断に努む 又独国潜水艦の印度洋に於ける交通破壊戦に対し積極的に協力し之を促進す 五 北東方面作戦千島、樺太方面に於いては概ね所在兵力を以て来攻する敵を撃破してその要域を確保す 北海道方面敵来攻に当たりては機宜決戦を指導す 六 南東方面作戦所在兵力を以て来攻の敵を撃破して極力其の要域を確保す。尚一部飛行場の機に投ずる利用を可能ならしむるに努む 七 対支作戦(イ)概ね本年末頃迄に一号作戦の全目的を達成し右に引き続き全般状況之を許す限り西南支那方面に於ける戦略態勢を強化し主として印支分断及び印度支那方面の安定確保を容易ならしむ (ロ)浙東沿岸要地を占拠して米支連絡を未然に封殺すると共に連絡圏域周辺の確保及び船艇連絡を容易ならしむ (ハ)中支三角地帯(南京、上海及び抗州附近の地帯)方面に於ける東面の空地戦備を極力強化し九州、沖縄、台湾と相俟って東支那海に於ける強力なる支撐を構成す 八 対蘇施策蘇聯に対しあらゆる戦政略施策を講じて日蘇戦の惹起を防遏するに努む 九各方面に後方断絶に備へ極力各地域の自活自戦能力を向上し長期克くく独力を以て作戦を遂行す 右に関連し特に特に船艇輸送及び之が掩護並びに主要幹線鉄道の強化確保を重視す
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